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日本ていい国? 子どもの自殺について思う

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 2月24日付、読売「くらし欄」の連載、「防げ若者の自殺」の第5回(最終回)は、全国で我が子を自殺(自死)で亡くした親が自助グループをつくり、同じ境遇の親たちが集い語りあうことで心の傷を癒し、また若者の自殺防止のための発信活動も手掛ける様子を紹介した。

 

 そのグループの一つである「あんじゅ」を立ち上げた、横浜市の南山みどりさんは1996年に次男(当時21歳)を亡くした。その経緯はこうだ。次男は暴走族とのトラブルに巻き込まれた4人の子を助けたことで逆恨みをされて、リンチを受け、大怪我を負った。警察への相談後も「家族にも報復する」と脅され、次男は次々とトラブルに巻き込まれた。南山さんが「しっかりしなさい!」と叱責をすることが増え、約2か月後に自ら命を絶ってしまったという。

 

 川崎市の篠原真紀さんは10年、当時中学3年生の次男をいじめによる自死で失った。いじめられている友人をかばっているうちに自身が標的になり、その遺書には「困っている人を助ける。人の役に立ち優しくする。それだけを目標に生きてきました。友だちのことを護れなかった」と綴られていたという。

 

 そして親御さん自身が二重被害に遭う実態も。神奈川県の40代の女性は、いじめを受けていた高校1年の長男を12年に自死で亡くした。インターネットで前述の「あんじゅ」の存在を知り、「わらをもつかむ思い」で参加したという。この母親いわく、「自死に対する社会の偏見は根強い。『子どもを死なせた親』と言われ、どんなに頑張っても自分の存在を否定されているような感じがして、人と関わるのがつらい。ここは同じような立場で本音を語り思いっ切り泣くことができ、素の自分になれる」のだそうだ。

 

 自殺を余儀なくされた若者は誰しも心優しく、正義感が強かったが、それを認めて、一緒に戦ってくれる人間が周囲に一人もいなかった。両親以外には。親が手塩にかけ立派に育てた息子であったのに、この暴風雨を乗り超えれば、将来は人望あふれる指導者となるべき人材だったろうが、鬼畜のごとき連中の毒牙に抗しえなかった。またその陰惨極まる人間失格の連中に息子を奪われた悲痛の涙も乾かぬ間に、あらぬ誹謗中傷を周囲から受け、二度殺されたような立場で立ちすくむ親御さん。当方は涙と怒りを禁じえなかった。

 

 先進国で若者の自殺が増えている国は日本だけ。一体、今の日本ていい国か?正直者がバカを見る社会ほど唾棄すべきものはない。ただ、わが国で人の命の尊さの裏付けを保証するものがないのも事実。本来、誰しも指一本触れることのできない神から預かったこの上ない尊き命だということ。ま、神が存在しなければ言うだけ無駄だが…。

 

 それはともかく、この憂いを共有する者がともに立ち上がって、罪の芽を未然に摘み、社会悪に立ち向かって少しでも地域社会を、故郷を、わが日本をよくしていこうではないか。お為ごかしでない、子どもたちと日本の未来のために少しでも役立つ実践を。


映画「一陽来復」を観る

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 東日本大震災からまもなく7年を迎える。東京はじめ被災地以外ではもう何事もなかったかのように、特にテレビなんか愚にもつかない馬鹿番組が目白押し。だが、被災地ではそうはいかない。表面上復興も進んできていることは事実(地域による濃淡はあるにせよ)としても、被災者は悲痛な思いを秘めながら、毎日を懸命に生きている。

 

 本作は特に甚大な地震津波被害のあった宮城県石巻市、同南三陸町、岩手県釜石市と原発事故の影響が酷かった福島県川内村、同浪江町を舞台に10ヵ月間のロケと100人以上の人との出会いを映し撮ったドキュメンタリー。ちなみに3月2日の世界日報最終面で全面広告が掲載されました。

 

 地震のあと、家で子供三人の無事を確認して、知人の安否確認に向かったが、津波に子供らを家屋ごとさらわれ、取り残された夫婦…。震災5日前に結婚式をあげ、11日は入籍の日だったが、夫は津波の犠牲となり、その四か月後、女児を出産した母親と当の娘…。アメリカから語学指導員として来日し、幼稚園と小中学校で教えていたが、震災当日、教え子たちを無事避難させた後、自身は津波の犠牲となった米国人女性…。この女性の両親は全米から集まった寄付金を元に基金(テイラー・アンダーソン基金)を設立し、娘がすごした石巻市の被災者のサポートに尽力している…。そして政府から放射能汚染による殺処分の指示に反発し、いまだ330頭の牛を飼育し続ける福島県浪江町の畜産農家の男性…。そのほか涙なしには聞けないエピソードで綴られていく。

 

 あの日あの時、想像を絶する苦難との遭遇を与儀なくされた被災者たち。運命とはかくも苛烈で情け容赦ないものか。「なぜ?」「どうして?」「これからどうすれば?」―慟哭にも似た叫びも、自然が相手ではただ虚しく空を切るのみ。それでも被災者はこんにちまで一歩一歩、歯を食いしばって生きてきた。今では笑顔も浮かび、冗談も言える。

 

 7年の節目にあらためて思う。かかる苦難は被災者のみが引き受ければいいというものではない。われらは同胞であり、日本全体が運命共同体として痛みを分かちあうべきだ。そういう意味であの大震災には意味があった。単なる自然の猛威ではないし、またそうしてはならない。被災地の犠牲は、人が生きる真の意味を知るための産みの苦しみだ。それを知るきっかけが本作といえるかもしれない。1時間20分の短編映画で被災地のすべてをカバーできるはずもない。ただ、甚大な被害を受けた三県を均等に、そして語る人の言葉を意図して切りとらず、自然体の姿を収めることによって被災地の今の声を凝縮した作品となったといえよう。

 

 東京ではヒューマントラストシネマ有楽町にて午前中2回のみの超限定公開(いつまでかは不明)ですが、ぜひご家族で。

月刊ビューポイント4月号発行しました

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月刊ビューポイント4月号の内容は以下の通り

 

◇フォトギャラリー

  人気急上昇中の石垣観光

◇憲法改正 私はこう考える

 ・色摩力夫(元チリ大使) 

     平和欲せば戦争に備えよ/9条2項削除し軍隊明記を

 ・篠田英朗(東京外国語大学大学院教授) 

     国際法に沿った憲法解釈を/9条自民両案は折衷可能

◇国益ネット放送局 パトリオットTV

  「21世紀の日本のミッション」

    ゲスト:中根滋(UWiN株式会社代表取締役社長兼CEO)

◇どう見る北の脅威

 ・ラリー・ニクシュ(米戦略国際問題研究所上級アソシエイト)

     今年後半に国連制裁崩壊も/米で「融和論」広がる恐れ/「断油」が北を止める最後の道

◇トップニュース

 ”融和五輪”の裏でサイバー攻撃

   北朝鮮 芸術団解説なりすましメール(ソウル・上田勇実

◇高永喆の半島NOW

  米が準備する”鼻血作戦”

◇ミニストップ有害図書追放

  販売中止、8割が賛同/東京五輪、訪日客も意識(編集委員・片上晴彦

◇ワシントン発 ビルガーツの眼

  ・米資金がテロ組織に 

  ・FBI が「孔子学院」を調査

◇ワールド・スコープ

  ・EU経済の好調あと2年続く?

    独、伊など政治に不安要素(パリ・安倍雅信

  ・ポーランドで「ホロコースト法案」施行へ

    収容所に「ポーランド」は違法(ウィ―ン・小川敏

  ・北の言いなり? 文政権に非難

    挑発指揮した北幹部受け入れ(ソウル・上田勇実

◇建国記念の日特集

  「板橋の田遊び」  民族宗教史家 菅田正昭氏に聞く

    ―縄文起源の「花籠」

       子孫繁栄と豊穣を祈願した予祝行事

◇WHO’S WHO ひと

  元気な姿を大勢の人に  演歌歌手 松原のぶえ

◇沖縄から

  ・名護市長選、辺野古移設容認の渡具知氏当選

    経済効果に期待高まる(那覇・豊田剛

  ・國場幸之助衆議院議員に聞く

    自衛隊に米軍基地の管理権を(那覇・豊田剛

◇持論時論

  ・内こもり日本人/国内居心地よく海外雄飛せず

     川島博之(東京大学大学院准教授)

  ・新学習指導要領の全面実施/力量問われる教師

     吉田洋一(北海道師範塾「教師の道」会長)

  ・西郷隆盛に学ぶ/鹿児島では神のような存在

     冨山正勝(夢開拓学校副校長)

◇世日クラブ講演会要旨

  「北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方」

    古川勝久(国連安保理北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員)

◇防衛レーダー

  欧州に徴兵制復活の動き濱口和久

◇救国救世ビジョンー家庭再建講座7

  第二章 日本社会を蝕む結婚文化の衰退

     1.共同体による結婚サポートの消滅

◇内村鑑三を読む

  「宗教と文学」(7)

    全き光を仰げなかったゲーテ(増子耕一

◇国際レーダー

  ・国際NGO報告から

    逆方向の「歴史の終わり」へ

  ・スポーツとさわやかさ

    韓弼花選手を応援したころ(山田寛

◇教育

  「秋田学習旅行」40周年 東京・町田の和光中学

    農村と都市の懸け橋として注目(市原幸彦

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html

    

 

映画「リメンバー・ミー」を観る

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 メキシコをモチーフにしたサンタ・セシリアという町に住む主人公、ミゲル(12歳)は、四世代にわたって靴職人を営む大家族と暮らす。両親と祖父母、それに100歳を超えた曾祖母ココまで一緒だ。

 

 とても仲が良く、みな働き者で、ミゲルは愛情いっぱいに育てられていたが、この家族には一つだけ侵してはならない掟があった。それは音楽が厳禁ということ。そこには高祖父母(ひいひいおじいちゃんおばあちゃん)の代において起きた悲しい出来事があった。

 

 家の祭壇にある家系図のような先祖の顔写真の最上部は、高祖父母とその娘であるココのスリーショットが掲げてあるが、なぜか高祖父の顔は破かれていた。

 

 元々町中が常に音楽であふれているという環境で、ミゲルの家族は異質だったが、それでもミゲルの両親までは大した問題にはならなかった。しかし、ミゲルは生まれながらの音楽好きで、当地が生んだ伝説の国民的ミュージシャン、エルネスト・デラクルスにあこがれ、納屋の屋根裏部屋で密かにギターの腕を磨きながら、いずれプロのミュージシャンになることを夢見ていた。

 

 先祖を迎える伝統行事である「死者の日」を迎え、町中があでやかに装飾され、音楽が鳴り響くなどお祭りムード一色に。ミゲルはその日行われる音楽コンテストに出場する決心をしていたが、家族にそのことがばれ、手作りのギターも壊されてしまう。失意のうちにコンテスト会場へ向かうミゲルだったが、ギターがなくてはどうにもならない。窮余の策で近くにあるエルネスト・デラクルスの霊廟に忍び込み、そこに掛けてあったデラクルス愛用のギターを奏でた瞬間、ミゲルは突如霊眼が開け、「死者の国」に迷いこむことになった。なぜか仲良しの野良犬ダンテも一緒に。そこにはファンタジックで光り輝く世界が広がり、ガイコツ姿の死者たちが”生き生きと”暮らしていた。ミゲルの先祖たちの姿もあった。死者はガイコツの姿になるらしい。

 

 「死者の国」に迷い込んだ”生きている人間”は、先祖からの「許し」を得るという手続きを経て、夜明けまでに元の「生者の国」に戻らなければ、存在自体が消えてしまうという。ミゲルはエルネストが自分の高祖父ではないかと思い、それを確かめて彼から許しを得て戻ろうと奔走中に、エルネストと知り合いだというヘクターというお調子者と出会い、一緒に彼を探すことに。

 

 ヘクターはエルネスト探しを手伝う代わりにミゲルに自分の写真を「生者の国」に持って帰ってほしいと頼む。実はそのことを果たさなければヘクターもまた存在が消えてしまう運命だったのだ。

 

 目にも鮮やかなCGアニメーションの風景。メキシコの「死者の日」という日本のお盆にあたる先祖を迎える伝統行事の舞台設定も日本人にはしっくりくる。もっとも厳かで静粛な日本と違い、底抜けに明るいのは対照的。死者の世界ではみなガイコツになってしまうというのは滑稽だけど、「生者の国」と「死者の国」の行き来のシステムなど良く考えられている。何より家族の大切さはもちろんのこと、先祖とのつながりまで描いているという点において傑出している。ただ欧米人には理解されるのかなと思いきや、いえいえどういたしまして、今年度アカデミー賞の長編アニメ賞受賞。ただ、打ち上げ花火がガイコツになるシーンはタイムボカンを彷彿とさせたが…それでも素晴らしい作品です。ぜひご家族で。

 

 and…スペシャルフィーチャー「アナと雪の女王 家族の思い出」(22min)同時上映!!

第178回世日クラブ講演会のご案内

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    テーマ  

     北朝鮮問題と同床異夢の米中露

 

講師:河添 恵子氏

 

 世日クラブの第178回定期講演会を4月17日(火)に開催いたします。今回は、 国際問題を専門とするノンフィクション作家の河添恵子氏を講師に迎え、 「北朝鮮問題と同床異夢の米中露」と題して開催いたします。
 4月末の南北首脳会談、5月までの米朝首脳会談の開催が決まり、北朝鮮の核・ミサイル問題は、急展開の兆しを見せています。一方で、北朝鮮と国境を接し、深い関係と影響力を持つ中国とロシアは、この事態をどうみているでしょう。
 表立っては朝鮮半島の非核化を支持するものの、本音を探れば、まさに同床異夢。講演では河添氏が米中露それぞれの思惑に迫ります。

 

<講師プロフィール>

かわそえ けいこ

 1963年千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、1986年より北京外国語学院、1987年より遼寧師範大学(大連)へ留学。1994年に作家活動をスタート。2010年に上梓した『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)は、ネット書店Amazon〈中国〉〈社会学概論〉の2部門で半年以上、1位を記録するベストセラー。その他、『だから中国は日本の農地を買いにやって来る TPPのためのレポート』『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(共に産経新聞版)、『世界はこれほど日本が好き No.1親日国・ポーランドが教えてくれた「美しい日本人」』(祥伝社)などがある。産経新聞や『正論』『WiLL』『週刊文春』『新潮45』『テーミス』などで連載含め執筆。NHK・民放等でTVコメンテーターとしての出演も多数。ネットTVではレギュラー出演中。40ヵ国以上を取材。
 

【演題】「北朝鮮問題と同床異夢の米中露」
【講師】河添恵子氏 (ノンフィクション作家)
【日時】平成30年4月17日(火)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒112‐0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター26階スカイホール
【会場に関する問い合わせ】03-5803-1100(財)文京アカデミー施設管理係
【交通案内】東京メトロ丸の内線、南北線の後楽園駅徒歩3分、都営地下鉄三田線、大江戸線の春日駅徒歩3分、JR中央・総武線の水道橋駅徒歩10分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

映画「ペンタゴン・ペーパーズ」を観る

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 「ペンタゴン・ペーパーズ」とは、ケネディとその後を引き継いだジョンソン政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラが1967年に作成したベトナム戦争に関する機密文書。その中身は衝撃的で、トルーマン、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソンと4代にわたる米政権は、ベトナム戦争について国民に何度も虚偽の報告をし、戦況の打開が見込めないにも関わらず、軍事行動を拡大させていった。加えて、「暗殺、ジュネーブ条約違反、不正選挙、アメリカ連邦議会に対する嘘といった闇の歴史の証拠が記されていた」(本作パンフレットより)。

 

 この一部が71年6月、ニューヨークタイムズ(N・T)によってすっぱ抜かれる。文書作成を担当した政府系シンクタンク、ランド研究所の研究員によるリークだった。ただN・Tの幹部らは事の重大性に鑑み、3ヵ月の精査を経て、可能な限り政府や国民を刺激しないという体裁をとったが、当時のニクソン政権が請求した連邦裁判所による記事の差し止め命令が下る。

 

 出し抜かれた他紙はやっきになって文書を追うことになるが、そんな中、ワシントン・ポストの編集部がいち早く文書のコピーを入手する。ポストの編集主幹であるベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は権力の監視役を自任するとともに、当時マイナーな地方紙でしかなかったポストを何とか全国有力紙へと引き上げようという野心に燃えており、また、女社主であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は折も折、ポストの株式公開を目前に控えていた。ポストが手にした文書の入手元がN・Tと同じだとわかると共謀罪に問われる恐れがあるとして、顧問弁護士も経営幹部も色をなして記事掲載に反対。ポストの命運を賭けた伸るか反るかの最終判断はキャサリンに委ねられた…。

 

 本作のメッセージを象徴する言葉が、ブラッドリーが発する「報道の自由を守るのは報道しかない」だ。彼が寄って立つ根拠は、合衆国憲法修正第一条にある「連邦議会は、国教の樹立、あるいは宗教上の自由な活動を禁じる法律、言論、または報道の自由を制限する法律、ならびに人々が平穏に集会する権利、および苦痛の救済のために政府に請願する権利を制限する法律を制定してはならない」であり、連邦最高裁の判決も政府による差し止め請求をこれに触れるとして却下した。

 

 ただ、正義のためなら、法を犯すのもやむなしと取られやしまいか。果せるかな、反権力志向のマスコミは、国益そっちのけで売らんかなの報道姿勢に終始し、今日まで増長の一途だ。しかし、内容がどうであれ、政府の機密文書が堂々と朝刊の一面を飾る事態は、ニクソンであれ、トランプであれ、そりゃブチ切れだわ。

 

 ペンタゴン・ペーパーの暴露により、世界的なベトナム反戦運動に火が付き、米軍は戦場というより、国内メディアに敗れ去った。73年に和平協定が成立し、米軍はベトナムからの撤退を余儀なくされたが、北ベトナムは協定を守らず、その後南側を軍事侵攻。75年4月にはサイゴンが陥落(解放なもんか)し、ベトナムは完全に共産化され、数十万のボートピープルや百万人以上の粛清が行われたが、メディアはこれには口をつぐんだ。続く、カンボジアやラオスの共産化ドミノも傍観した。

 

 アメリカは自由陣営の盟主を自任し、旧ソ連を盟主とする戦闘的無神論に立つの国際共産主義の世界赤化戦略の野望を指をくわえて見ていていいはずはなく、断乎としてそれを阻止するドクトリンを旨としたのではなかったか…。

 

 12日付、世界日報国際面、ワシントンタイムズ特約の記事によれば、ミレニアル世代(2000年以降に社会人になった者)の8割がメディアを信頼していないとの調査を伝えている。トランプが一人異常ではないのだ。これはネット隆盛だけが原因ではないのは衆知の通りだ。当事者たる新聞はじめメディア人は、本作が描く、誰もが新聞報道を頼りにしていた時代をノスタルジックに回顧し、恍惚感に浸るのもいいが、自らの置かれた厳しい現状を見つめ直す必要がある。

世日クラブ/ノンフィクション作家 河添恵子氏講演

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世日クラブ 世界を欺いた中国の嘘
   ノンフィクション作家 河添恵子氏講演
 

 国際問題を専門とするノンフィクション作家の河添(かわそえ)恵子氏は17日、世界日報の読者でつくる「世日クラブ」(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)で講演し、世界は「(豊かになれば)いずれ民主化する」との中国のプロパガンダにだまされたと総括した。

 「北朝鮮問題と同床異夢の米中露」のテーマで講演した河添氏は、米英仏によるシリア攻撃を「北朝鮮の前哨戦」と位置付けた上で、「漁夫の利を得るのは中国」との認識を示した。武器輸出を外貨獲得手段としている中国は、どこかで戦争が始まるのは基本的に歓迎だという。北朝鮮とシリアの関係は深く、シリアの武器製造施設には北朝鮮の専門家が派遣されているとも指摘した。
 


 

 また河添氏は、金王朝はウイグルにも武器を売っており、「日米は100年の敵、中国は1000年の敵」とする北朝鮮と中国が一時的に握手してもうまくいかないと強調した。

 さらに、習近平国家主席がロシアを訪問するなど中露蜜月時代と言われているが、ロシアはシベリア・極東問題を危惧していることに言及。中国と国境を接するロシア極東地域の人口は600万人にすぎないが、中国東北部には1億人以上の中国人がおり、極東地域の安全保障を心配せざるを得ないという。

 ただ、プーチン大統領の本音は「(極東で)戦争してほしい。無法地帯になれば、ロシアがコントロールできるチャンスがある」とし、現在使っている北朝鮮の羅津港だけでなく、極東のクリミアとして「(韓国の)釜山港を使いたい」と分析した。

 講演に先立ち、同クラブの近藤会長は「貿易戦争では中国の知的財産権侵害などが浮上しているが、中国ではだまされるのが悪いという考え方もある。日本人は基本的に疑うことを嫌うところがあり、だまされないように教えないといけない」と警鐘を鳴らした。

 

月刊ビューポイント5月号発行しました

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月刊ビューポイント5月号の内容は以下のとおり

 

◇PHOTO GALLERY

 「西郷どん」の縁の地に学ぶ多田則明

◇「米国第一」を問う

  ◎トランプを動かす世界観

  ・ジョン・フォンテ(米ハドソン研究所上級研究員)

    敵対的多文化主義を拒否/超国家機構から主権を防衛

  ・ヘンリー・ナウ(米ジョージ・ワシントン大学教授)

    同盟国に平等な負担求める/今も世界の基礎は国民国家

  ・ダニエル・トワイニング(米国際共和研究所所長)

    失われた競争力を取り戻す

  ・アーサー・ハーマン(米ハドソン研究所上級研究員)

    ウィルソンの理想主義と決別/米中露の均衡で安定の時代に

◇国益ネット放送局 パトリオットTV

  ゲスト・岩田温(政治学者) ―政治思想の誤用に物申す

◇高永喆の半島NOW

  スリーパーセルの知られざる脅威

◇NEWSクローズアップ

  ・迷走する「男女共同参画」

     文科省の組織再編案にリベラル系女性団体が反対

                      (社会部・石井孝秀

  ・自民党総裁選

     安倍3選街道に逆風、竹下派の動向も影響

                      (政治部・亀井玲那

  ・信頼揺らぐ広辞苑、誤り目立つ第7版

     「台湾省」「従軍慰安婦」など訂正せず(編集委員・片上晴彦

◇ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・高まる宇宙戦争の脅威

  ・中国が空中発射弾道ミサイル開発

◇ワールド・スコープ

  ・フランシスコ法王就任から5年

    病める教会 回復の道まだ遠く(ウィーン・小川敏

  ・イスラエル、ガザ境界で続く攻撃の応酬

    軍が地下トンネル破壊、ハマスは支援金「埋蔵」

                      (エルサレム・森田貴裕

  ・韓国財界・市民団体

    南北交流・協力に前のめり(ソウル・上田勇実

◇WHO'S WHOひと

  ―復興へ前向きな姿伝える

    尹美亜(ドキュメンタリー映画『一陽来復』監督)

◇沖縄から

  ・石垣市長選 保守系・中山義隆氏が3選

    尖閣防衛、陸自配備実現へ前進(那覇・豊田剛

  ・辺野古移設工事差し止め訴訟

    那覇地裁が県の訴えを”門前払い”(那覇・豊田剛

◇持論時論

  ・没後20年、黒澤明監督/主役だけじゃなく脇が大事

    渡辺清也(㈱黒澤エンタープライゼズ元専務)

  ・明治の国づくりと神道/不可欠だった精神的支柱

    加藤隆久(生田神社名誉宮司)

  ・中国の野心/二つの100年構想で覇権構築へ

    野口東秀(拓殖大学客員教授)

  ・遺跡から見たアイヌ民族/調査進む小氷期の古環境

    浜田雄二(北海道立北海道博物館学芸員)

◇防衛レーダー

  自衛隊員確保は死活問題濱口和久

◇救国救世ビジョン―家庭再建講座8

    第二章 日本社会を蝕む結婚文化の衰退

       3.若者の「結婚観」はどこから?

◇内村鑑三を読む

   「宗教と文学」(8)

    「自由の郷」米国の詩を弁護する(増子耕一

◇国際レーダー

  ・アジアでもミー・トゥー/魔男狩り、政治利用ない前進

  ・走れ新幹線/日中、アジアでの鉄路の戦い(山田寛

◇教育

  青森県立五所川原農林高校の取り組み

    GGAP認証の農産品を海外輸出(市原幸彦

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html


映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を観る

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 本作は、1940年5月9日、英議会における首相チェンバレンに対する囂々たる非難の場面から始まり、野党が認める後継として、チャーチル海軍大臣に白羽の矢が立てられてのち、同年5月28日、仏ダンケルクに追い詰められた英軍将兵30万人の救出作戦(=ダイナモ作戦)の決行と、その完了までの27日間を描く。

 

 本作の核心テーマはこうだ。ヒトラー率いるナチスドイツ軍により、東欧や北欧が制圧され、ベルギーまで攻め落とされるに及んで、やむなくヒトラーと和平するのか、それとも仏カレーに残る守備隊4千人を敢えて犠牲にして、ダイナモ作戦を決行し、断固として戦い抜くのか。

 

 さしものチャーチルもその心中は激しく揺れ動くのだったが、最後に彼の背中を押したのは、国民だった。チャーチルが国会議事堂に向かう車を途中で降りて、初めて地下鉄に乗り、市井の人々の生の声を聞くというシーンはフィクションだそうだが、ともかく、国民はヒトラーへの宥和などこれっぽっちも望んでおらず、徹底抗戦を説くチャーチルを励ましたのだ。

 

 チャーチルの信念を伝える名言が、「勇敢に戦って敗れた国はまた起き上がれるが、逃げ出した国に未来はない」だ。チャーチルは戦争屋と呼ばれたり、週に100本の葉巻を吸い、昼間から酒を呷るなど変わり者で、政界一の嫌われ者だった。なおかつ第一次大戦においてオスマントルコに対して挑んだガリポリの戦いで悲劇的な敗退をもたらした失策により、当初、国王からの信用もなかった。ただヒトラーに対する観察眼はピカイチで、さらに、前任のチェンバレンや前外相だった貴族のハリファクスと違い、肚を持った政治家だった。彼なくして英国の今はなかったといえるのだが、それにも増して、彼を支持した英国民に唸らざるを得なかった。

 

 翻ってわが日本である。戦後73年、GHQ製の憲法を後生大事に、一言一句変えることなく、安全保障は米国におんぶに抱っこで来た。本作は、平和ボケに浸りきったわれわれ日本人に、それでいいのかと覚悟を突き付ける。それでなくても東アジア情勢は不穏であり、うさん臭い南北融和など眉にツバ付けてみておくべきで、中共の覇権主義はとどまることを知らない。日本国民は、一旦緩急あれば、あの英国民のように立ち上がってみせるのか。せめてまず、第一弾の憲法改正くらいはクリアしようね。

 

 ただ、チャーチルは一方では、米国を第二次大戦に引きずり込み、日本を挑発して真珠湾に至らせた張本人であり、ヤルタ会談においては、スターリンに対日参戦を認めた。その歴史もおさえるべきである。

 

 本作は、第90回アカデミー賞において、ゲーリー・オールドマン主演男優賞、日本人の辻一弘がメイクアップ&ヘアスタイリング賞をそれぞれ受賞。心から拍手を送りたい。

西村幸祐氏の講演を聞く

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(西村幸祐氏)

 

 さる4月25日、正論を聞く集いが行われ、ジャーナリストの西村幸祐氏が、「アジア情勢と日本の危機」のタイトルで講演しました。以下その要旨


 安倍内閣の支持率の低下が報道されているが、モリカケ問題は足掛け1年以上、加えて自衛隊の日報問題、財務次官のセクハラなど噴出してきた中での数字。30%台後半だとか、30%ギリギリなどばらつきはあるが、いずれにしても不支持率が支持率を上回ったと発表している。しかし逆に言えば、あれだけ叩かれてこの数字であるというのはむしろ立派だし、トランプ米大統領と似ているところがある。

 

 トランプ氏の場合は、明らかに米メディアの世論操作の結果、支持率が30%だとか言われていたが、最近はメディアによっては50%という数字が出ている。ともかく、こういう数字に一喜一憂しないことが肝要だ。本質は何かを見極めなければならない。

 

 先週、安倍首相が訪米し、日米首脳会談が行われた。会談で北朝鮮問題なかんずく拉致問題が取り上げられて、一般的な見立てとして会談後、内閣支持率は上がるだろうと言われていた。しかしそれが一向に上がらないという報道になっているが、それも当たり前。実際は非常に大きな成果のあった今回の訪米にもかかわらず、それをキチンと報道しているメディアがほとんどないのだ。

 

 そもそも長期政権というのは、過去の例から言えば、支持率は30%台になる。かつて森内閣では一桁になった。あれもメディアによって仕掛けられた。神道政治連盟での「神の国」発言は典型だ。インターネット上の世論調査は、任意の時間帯にアクセスした人が投票する形式だが、ニコニコ動画の調査では、安倍内閣支持率は50%台後半。ツイッター上での調査では、80%台後半が出ている。また、財務次官のセクハラ問題で、麻生財務大臣は辞任すべきかという質問について、一般のメディアでは辞任すべきという人の方が多いが、アメーバTVでは辞任しなくてよいが多い。年齢層は10代~30代で辞任の必要なし、辞任すべきという声はだいたい60歳以上というデータが出ている。ここには明らかに世代間のギャップがあり、それは情報の取り方に起因している。

 

 実は今、解散説がささやかれている。ただこれは政権の中枢からではなく、その周辺からの声。今現在、確かに安倍内閣の支持率が下がったのは事実でも、野党の支持率もまったく上がってないのだ。新たに国民民主党を結成するという希望と民進を足してやっと1%という具合。立憲民主党がせいぜい10%。そういう意味で圧倒的に安倍政権が支持されているということになる。数字に惑わされることなく、実際何が行われているのか、何が行われていないのか、どういう成果があるのか、それをどう評価するのかなどの客観的な視点を持つことが必要だ。

 

 先週の日米首脳会談において、特にテレビ報道でひどかったのが、「日本は蚊帳の外に置かれた」というもの。金正恩が北京を訪問して、その後、南北首脳会談と米朝首脳会談が矢継ぎ早に発表されるという事態が4月頭に起きた。この時点で日本は蚊帳の外に置かれている、安倍政権は何やっているんだという声もあったが、それこそメディアに騙されている好例だ。実際は4月1日にポンペオCIA長官が韓国から軍用機で極秘に平壌に入って金正恩と会談し、これはその会談内容も含め、全部日本にも伝えられている。安倍首相が訪米する前にNSCの谷内局長が米国に単独で渡って、トランプ大統領、ボルトン大統領補佐官、ポンペオCIA長官から情報を得ているのだ。このことを踏まえておれば、何も驚くことではないし、今現在の日米関係を考えれば 「蚊帳の外」などという批判が出てこようはずもない。

 

 地上波でよくコメンテーターとして出演する元共同通信の某氏などひどいものだ。ちなみに共同通信は日本で唯一、平壌に支局を持っている。だが、いまだかつて平壌電でこれといったニュースを配信したことがない。支局のある意味がわからない。ただこの前、共同通信が珍しくいいニュースを配信した。金正恩が核とICBMの実験を止めると発表し、これが世界平和に貢献するとして韓国では文在寅とともにノーベル平和賞かとおめでたい人たちがネットで書いたりしているのだが、その舌の根も乾かないうちに、新しい核施設が稼働を始めたというニュースだった。ただしそれは平壌発ではなく、カナダ発だった。


 あともう一点、よく地上波で安倍政権批判のフレーズで、日本は圧力、圧力というばかりで、何も貢献してないじゃないかというもの。だが、ここにきて南北首脳会談や米朝首脳会談が決定されていった背景には、この1年間の日本の外交が支えていた実態があるのだ。昨年6月1日、日本海上で、カール・ビンソンとロナルド・レーガンの米空母2隻に日本の護衛艦ひゅうがとあしがらが参加して日米連合艦隊による合同演習を行った。そこには韓国は入っていない。そして同時に海底深くでは、潜水艦がにらみを効かせていたのだ。これ自体あまり報道されていないだろう。実は6月5日はミッドウェイ海戦の日だ。この演習が実施される75年前のこと。かつて干戈を交えた日米が連合艦隊を組んで東アジアの安全保障上の危機にくさびを打った記念すべき演習だったのだ。こういう評価をする評論家もジャーナリストもまたいないのが実情。

 

 さらに昨年11月にも日本海で、日米連合艦隊による演習が行われたのだが、その時は、B-1戦略爆撃機が空母艦載機とともに上空を飛行している。もちろんミサイルや実弾を装填しての訓練だ。なおかつそれに先立つ昨年9月に日米が主導した北朝鮮に対する経済制裁が、国連安保理で採択され、実施されたのだ。こういうことが、今回の北朝鮮をめぐる一連の動きの背景にある。北としてはどうにもかわしようがなくなって、今年の1月1日急に路線変更をせざるを得なくなった。そして最初に習近平に泣きついた。それが3月26日の北京入り。当然これは米国も注視しているわけで、問題は日本がこれをどれだけ自分の問題として捉えられるか。

 

 同時に今、南シナ海が非常に危ない。また台湾が危ない。つい先日も中国の人民解放軍は、空母遼寧を中心として一応空母打撃軍の形をとって台湾海峡で実弾演習をしている。そのあと、宮古海峡を抜けて太平洋に出て戦闘機の発着訓練を与那国の南方海域で行っている。またこれもさんざん米のメディアでは報じられて、日本では産経のみしか書いていないのだが、人民解放軍が2020年に台湾を武力侵攻するプランがあるというのだ。

 

 こう見てくると、やはり日本は危ない状況にある。前述した日米連合艦隊による2度の日本海での演習だが、これが可能になったのは、実は安保法制が大きいわけだ。これによって集団的自衛権の一部行使が可能になった。海上自衛隊は垂直離発着のできる戦闘機F-35Bの導入を決めている。実現すれば、「いずも」にしろ、「かが」にしろ、実質空母になる。

 

 そういったプランを日本はキチンと立てていて、もう20年くらい前から視野に描いているので、可能になっているのだ。それこそそういう先見性のあった当時の海上自衛隊幹部に感謝すべきだ。政治家は全くダメだが、軍人は大丈夫なのだ。ちゃんと考えている。
 

 第一次安倍内閣が6年前の12月26日に発足して、我が国は今日までかろうじて持ちこたえているというのが実態といえる。だからこそ安倍首相は昨年の5月3日、9条改正のプランとスケジュールを発表した。その改正の中身についてはいろいろ意見があり、当の私も実は反対だ。2項を削ればいいだけの話で、9条の2など必要ないと思っている。しかし曲がりなりにも改正するプランを発表したのだ。するとここからモリカケに拍車がかかり、こんにちまで政権攻撃が続いている。

 

 ただ反安倍勢力にしても今すぐ立憲民主党が政権を取るとは思っていない。そういう中で自民党の総裁選で安倍を下ろしたいというキャンペーンをメディアを中心に総力を挙げてやっているだけだ。これから何が一番大変になるかといえば、韓国の文在寅政権は、もはや北の出先機関と化している。南北朝鮮の停戦協定を終わりにすると発表しており、間もなく行われる南北首脳会談で平和協定を締結するということで南北が同意するだろうと報道されている。しかしのその実体は、北が韓国を飲み込む形での将来的な統一を視野に入れたものになるはずだ。同時に先だって金正恩が習近平に泣きつきに行ったというのは、朝鮮半島そのものがいよいよまた中華帝国の元に帰っていくということ。

 

 第二次大戦後、幾度か世界秩序が大きく動いたことがあったが、もっと長いレンジで考えてみる必要がある。現在の東アジアの状況は、100年、200年という長いレンジで考えたときに起こりうる大きな地殻変動が起こっているということだ。

 

 日清戦争以前は、宋、明、清と続く中華帝国がアジアで形成していた華夷秩序があって、その中に朝鮮半島はずっと入っていた。すなわち朝鮮はシナの属国であったのだ。それが日清戦争で日本が勝利することによって華夷秩序が崩壊し、朝鮮が独立した。そして講和条約である下関条約から123年後の現在、新たな華夷秩序が作られようとしているのだ。その証拠に中国の習近平は、つい先日”終身皇帝”という身分を手にした。国家主席の任期が連続2期10年との制限を撤廃した。
 

 習近平はかねて「偉大なる中華民族の復興」を掲げてきた。新たな華夷秩序のための具体的な手段がAIIBであり、一帯一路である。一帯一路は平たく言えば、闇金と同じだ。周辺の国に金を貸して、返せなくなったら土地を分捕る。スリランカ、ネパール、パキスタンなどがすでにやられている。これを見てインドは今必死に対抗しようとしている。よって日印関係も益々重要になってくるが、安倍内閣の外交は、この5年間ずっとやってきている。

 

 私が言いたいのは、今安倍攻撃をしているメディアはこれをわからないでやっているのではない。わかっているからやっている。要するに中華帝国の力を削ぐようなことはさせない。日本が自立した国家として力をもってもらったら困ると。なぜなら、日本が属国になれないじゃないかとの思いからだ。だからこその安倍攻撃であり、自衛隊への攻撃なのだ。

 

 私のフェイスブック及び、ツイッター上で、米国で作られた1分間の動画をアップしている。それは米国の日常にある軍人に対する敬意を表す内容である。この私のアップした動画に対して元自衛官が以下のコメントを残している。こういう光景はアメリカで何回も見ています。本当にうらやましいと思ったと。なにしろ我が国ではPKO派遣の際に制服を脱げという議論があったくらいだ。

 

 クリント・イーストウッドが監督した「15時17分、パリ行き」という作品がある。休暇中でタイトルにある列車に乗っていた空軍と陸軍の兵士2人とその友人である民間人の3人の米国人が銃による無差別テロを計画し同乗していたテロリストに戦いを挑み、逮捕に至らしめるという内容。私はこの映画を紹介するときに、日本人にはその良さが伝わらないのではないかと思った。劇中海兵隊の兵士がハンバーガーを買い求めにきて、店員である主人公がいつもお世話になっているからと代金をサービスするシーンがあるが、これは米国では日常の光景であり、軍人は映画館も無料だ。ことほど左様に軍人に対する敬意が払われているという話だが、わが国では逆のことが行われている。自衛隊員に対する人権侵害が。

 

 そういう現実の中で、米国製憲法を一部であっても日本人の手によって改正する。なかんずく9条を真っ先に手を付けるということがいかに重要なことか。だからこそ、安倍攻撃が続いているという話だ。理由はそれだけで他には何もない。ただ近年では自衛隊への信頼度は増しているし、9条についても改正した方がいいという人のほうが多いという世論調査がずっと出ている。だからこそ必死になって阻止せんとしているのだ。
 

 今後アジアはどこへ向かうか。先述のように華夷秩序が復活し、朝鮮半島がシナの属国のようなかたちで華夷秩序に入っていくという状況。そうなると38度線は停戦ラインでなくなり、対馬海峡まで下がってくる。そうであれあるほど日本にとって台湾が重要なポイントになってくる。だからこそ米国は台湾旅行法を民主、共和の別なく上下両院で全会一致で通過させ、トランプが署名して成立させた。この法律はあらゆるレベルのアメリカ当局者および台湾高官が米台を往来し、当局者と会うことを認め促す内容。今までは台湾の高官でも一民間人としての身分でしか米国米国を訪問できなかった。かつて米国は北京を承認するかわりに台湾関係法を作って台湾を自由主義陣営の一員として残した。それでも公務員の行き来は事実上禁止されていたのだ。それが今回の台湾旅行法でクリアされた。これは事実上の台湾の国家承認にほかならない。
 

 1979年に米中国交正常化で一つの中国の代表が北京ということで、台湾を切り捨てた。これは元々はキッシンジャーが敷いた路線だったが、それが大きく変化するということになる。今後台湾に米海兵隊が駐留するということもありうるだろう。それは前述したように2020年に人民解放軍が台湾を武力侵攻するというプランの情報がすでに出ているわけで、それに備えて米国も動いているのだ。台湾に潜水艦を供与することも決定している。
 

 また日印の関係も安倍政権以前と比べてはるかに密接になってきた。昨年、日印米3か国による海軍の合同演習「マラバール2017」が行われた。これは対潜水艦の訓練であり、日本からは、いずもが参加している。時々刻々の世界の動きに対して少なくとも、自衛隊は現実に向き合わざるを得ない。現実に向き合ってないのは、政治家とメディアだけだ。

 

 そんな中で、今非常にいい兆候があるのが、沖縄だ。沖縄における地方選挙で立て続けに反安倍勢力が負けている。先だっての沖縄市長選、その前の辺野古を抱える名護市長選もそうだが、もっとも大事だったのが、石垣市長選だった。石垣島は宮古島と同じように第一列島線の要だ。南西諸島から台湾、そして南シナ海の南沙諸島までをつなぐ第一列島線はもともと人民解放軍が自国防衛のために設定した概念。第二列島線は日本列島の真ん中から伊豆諸島を通り、グアムに抜けるライン。
 

 中国は今、第一列島線をいかに突破して、西太平洋で人民解放軍の海軍、空軍が活動するかということが重大な課題。先述したように、人民解放軍は与那国の周辺で空母艦載機の離発着訓練をやるなど着々とプランを進めている。そういう意味からして石垣、宮古への自衛隊配備が非常な重要性を持つ。そこにミサイル基地を構築することにより、第一列島線を通過する人民解放軍の艦船を壊滅することができる。このことは米国の専門家はもう何年も前から公言していることで、日本が中国の軍事力増強に付き合わなくて済む日本防衛の方法などと紹介している。実際この通り自衛隊は計画を進めている。自衛隊は現実としっかり向き合っている。向き合ってないのは政治家だが、それを選ぶ国民にも責任があるといえる。

 

 今まさに正念場といえるのは、憲法改正が予定通りできるかということ、そして日本が主権国家としてこれから存続できるかはパラレル。西部邁氏は2010年の主権回復記念日の集会におけるあいさつで、日本が未だ主権国家にあらずと慨嘆した上で、主権回復がいかに困難かを力説した。敗戦から73年この方、総理大臣に就任した者で、憲法を改正すると言って就任したのはたった一人しかいない。こんなバカな国があるか。私は本当に信じられない。そしてそのたった一人に対して、メディアを総動員して総攻撃を行っている。

 

 安倍首相が第一次政権発足から1年足らずで引きずり降ろされてのち、やはりもう一度、安倍晋三を総理大臣にしようと西部邁氏を中心に、私と富岡幸一郎氏で安倍氏を励ます勉強会を始めたのだった。
 

 今から132年前に福沢諭吉が時事新報の社説に書いた「脱亜論」がある。当時の時代背景は、日清戦争の10年前であり、日本は朝鮮の独立を支援した。朝鮮の中でも開明派と呼ばれる人たちが出てきて明治維新を見習って、鎖国を解いて西洋列強と渡り合わなければならないとして、福沢の元を訪ねて来ていた。金玉均などがそうだ。しかしロシアがどんどん南下してきても李朝は何もできず、右往左往し、相変わらず清の属国のままで良しとしていた。
 

 「脱亜論」の結論部分はこうだ。

<我が国は隣国の目覚めと文明開化を待ち、ともにアジアを発展させていこうなどと考える時間的猶予はないのである。むしろ、支那と朝鮮という仲間意識から脱出し、西洋の文明国、先進国とともに進まなければならない。支那、朝鮮に対しても、「隣国だから」と特別な配慮をすることなく、まさに西洋人が接するように国際的な常識と国際法に従って処置すべきである。悪友と親しく交わり、悪事を見逃す者は共に悪名を免れないものである。私は心の中で東アジアの悪友と謝絶するものである>

 これは、要するに日本が旧弊を断ち切り、どんどん近代化を進めなければ、朝鮮半島と支那大陸に飲み込まれて一緒になって西洋列国に扱われてしまうという危機感が表れている。この10年後に日清戦争が起きているということは非常に重要だ。そして日清戦争の勝利によって、華夷秩序が壊されて朝鮮が独立できたわけだが、その後も相変わらずあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。そして日露戦争後、日本は安全保障上の理由にせよ日韓併合という過ちを犯してしまった。そこには朝鮮半島がしっかりしてもらわないと困るという前提もあったが、欧米に押し付けられたという見方もできる。

 

 これからの動きだが、もうすぐ南北首脳会談が行われて朝鮮戦争の終結を宣言し、平和協定を結ぶというプランが発表されるだろう。そして、愚かなメディアはこれでアジアに平和が戻ったなどと言うだろう。しかし大事なことは北は核を廃棄するとは言っていない。核実験を止めたと言っただけ。今までの核実験場を閉鎖するといっても、土砂崩れがいっぱい起きていてあれはもうすでに使えないものだ。もっともアメリカは重々承知だが。

 

 ただ朝鮮半島の非核化という時に、そこに中国が入ってきて進められると、かつての6か国協議のようなことになって、形式ばかりが重視され、事実上の時間稼ぎでしかなくなる恐れあり。そうなればいずれ北は核保有国としての立場を鮮明にする。そして北が核保有国としての正当性をアピールしたときに韓国は私たちも核保有国にと言うだろう。そういう現実が遠からず起こりうるはずだ。

 

 ここ2、3年で米国において公言され始めたのが、日本の核武装論で、当の日本では全く議論されていないにも関わらず米国の専門家の間では何人も出てきている。そういう時代になっているというときに、憲法9条に自衛隊を明記するくらいのことが通らないとすれば、それこそ真の危機である。

映画「ダンガル」を観る

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 インド版「巨人の星」といえる本作で、父娘が挑むのは、レスリングの金メダル。インド国内ではチャンピオンとなった父マハヴィルだったが、何としてもインドに金メダルをもたらしたいという思いを生まれてくるであろう息子に託す。だが、一人目も女の子、二人目も…四人の子全て女の子という現実に、日ごろから鼻息が荒いマハヴィルも運命とあきらめざるを得なかった。

 

 それから十数年が経ったある日、長女ギータと次女バビータが男の子と喧嘩をして、打ち負かす事件が発生。相手の親が押しかけてきて、平謝りのマハヴィルだったのも束の間、これはひょっとして…ピンときちゃた。息子がダメなら娘があるさと。嫌がる娘らを引っ張りだして、傍目からはほぼ虐待としか映らない猛特訓が始まった。

 

 星一徹の代名詞がちゃぶ台返しなら、マハヴィルは髪バッサリ切りか。ともかく今現在、日本でさえ問題ありと思われる仕打ちを女性の地位が未だ低いままのインドにおいてやってしまうという脚本はどーよと思いきや、はい、実話です。ま、インドにおける身分制度や女性の地位向上のためのブレークスルーという政治的メッセージが込められているのも事実。ただ核家族に慣れて、個人主義が堂々と幅を利かす現在の日本に、家族とは、親子とは、もっと胸襟を開き、肝胆相照らしてストレートに接しあうことも大事だよ、はみだし気味の親父もありだよと語りかけてくるようだった。

 

 父娘の壁を乗り越えて、ギータが世界大会で勝ち上がって、決勝まで突き進み、金メダルを掴んでいく姿にはさすがに涙を禁じ得なかった。実話であることもあるが、そこにはエッジを効かせるためのテクニカルな演出でなく、父が果たせなかった金メダルだけを目指して愚直に戦う健気な娘の姿に素直に感情移入できるからだろう。これはマーベルのヒーローがいくら束になっても呼び起こせるものではない。

 

 本作を観てつくづく思う。日本よ、巨人の星に帰れ。

第49回 新しい憲法をつくる国民大会が開催されました

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 一年に一回くらいは、憲法について、真剣に考えてみようということで、毎年恒例の5月3日憲法記念日に開催される、新しい憲法をつくる国民大会に参加してきました。ちょうど一年前のこの日、安倍首相は、9条改正と2020年の新憲法施行をブチ上げられ、以降、賛成反対入り乱れつつも、闊達な憲法論議が行われたことは、安倍氏も我が意得たりの心境でしょう。そして自民党は改正項目を4つに絞り込んだ改正原案を先ごろ発表。今年はいよいよ憲法改正が発議される時を迎えるかもしれません。ただ国会は野党が審議拒否から漸く復帰したものの、与野党対立構図のまま、憲法審査会は開店休業状態で、先行き暗雲が漂います。そういう中で行われた国民大会。今回は自民党国会議員5名に加え、野党から日本維新の会の議員が1名参加。

 政治評論家の高橋利行氏の時局講演からはじまって、「改憲川柳」の発表、清原会長による講話、そして来賓の国会議員各氏による講話がありました。以下それぞれの要旨。

 

 

「時局講演」 

   高橋利行氏(政治評論家、元読売新聞論説委員)

 

(高橋利行氏)

 

 今憲法改正の機が熟していると感じる。国会は様々なスキャンダルで審議も滞っているという状況。そういう状況でも必要なものは必要、やらなければいけないことはやるんだということは改憲派の議員においては同じ気持ち。憲法改正の作業はいわゆる忖度動機で、総理大臣や自民党総裁や政治家だけがいくら力んでも出来ることではない。その権限は国民にあるのだ。国民がその気にならなければ出来ない。卵から雛が孵るときに、上からつついただけでは壊れてしまう。やはり内からの生まれ出ようとする力と呼応してつつかなければならない。そういう意味で今、機が熟しているといえる。

 

 永田町では、野党がバラバラなのだから、この際思い切って1967年の黒い霧解散のように解散すべきだという人もいる。だが、そんなことは意味がない。黒霧解散のときは、いわゆる伴食大臣のスキャンダルが原因だった。今回はもっと深刻だ。多分勝てないだろう。メリットがないと同時にこの機を逃せば憲法改正はなかなかできない。安倍晋三政権は国政選挙で5連覇だ。これが意味することを考えるべきだ。これは単に自民党政権が続いているというだけではない。そのトップリーダーたる安倍晋三という政治家が憲法改正の信念を高々と掲げて引っ張ってきた。それに対して国民はしっかりやれと国政選挙5連覇で応えたのだ。

 

 機が熟しているにも関わらず、やらないとなればこれは政治家が怠慢の誹りを免れない。現憲法施行から71年間、一度も国民が権力行使できない事態というのは、政治家にもっと考えてもらわなければならない。ぜひとも今年中に改憲の発議をしていただきたい。そして、私たちの本当に尊い権利である憲法改正のための国民投票に1票投票したい。結果はどう出るかはわからない。ただ、少なくとも一生のうちに一度も権利行使できないというのは耐えきれないのだ。

 好事魔多しというように、いろいろなことが起きている。シェークスピアも言うように、「肥える土地には雑草が生える」のだ。いろんなことが起こっていることは事実でもそれと憲法改正を絡める必要はない。憲法は憲法で進めていくべきだ。山登りにおいて、だんだん頂上に近づくにつれて、胸突き八丁に差し掛かる。現下の憲法改正作業はその胸突きッ八丁に差し掛かっているといえる。これをなんとか乗り越えて、新しい開けた世界を見てみたいと思う。
 
 政治とは人だ。今まで憲法改正を口にした政治家はたくさんいた。鳩山一郎、岸信介、中曽根康弘…。中曽根氏は憲法改正の歌まで作って自身の誕生日に歌っていた。しかし、いざ総理大臣になってみれば途端に口を閉ざした。これは憲法改正よりも時の政権を優先させた考え方。ただ政権を取らなければ憲法改正もできないのも事実。加えて安定した政権でなければ憲法改正という大作業は叶わない。そうとしてももう少し憲法改正を政治日程に乗せる努力をすべきではなかったかと思う。

 

 その点、安倍総理は自民党総裁として憲法改正を具体的に政治日程に乗せた初めての総理大臣。これに対して国民は衆参選挙で5連覇という応援をした。だから機は熟している。これを逃しては憲法改正はなかなかできない。安倍さんに続く総理候補はいろいろおられるが、憲法改正やりそうもない顔ぶればかりだ。チャンスは一回逃せば再び得ることは難しい。

 政治とはリーダーの器量、手腕、能力によってできものはできるし、できないものはできない。あるいはできるものもできなくなる場合もある。昔、宮澤喜一という総理大臣がいた。頭のいい人だった。この人が面白いことを言った。全く同じことを竹下登が言えば実現するが、宮澤喜一が言えば反発を食らうと。これが政治だ。全く同じ憲法改正を色んな人が口にされたが、それは実現していない。今、憲法改正発議にもう一歩のところまで近づいているのは安倍晋三という愚直な政治家がここまで引っ張ってきたから。そう思えばまさに政治は人だ。
 
 安倍さんも非常な力業でここまでもってきたということもあるが、安倍首相のもとでの改正は嫌だという人もおられる。だがそういう人は他の誰でもいやなのだ。だからこのチャンスをしっかりつかんで突き進んでもらいたい。

 また改正発議が年内にできるか否かの大きな分岐点は、この秋の総裁選で安倍さんが3選できるかどうか。今日の新聞を見ると、「遠のく改憲発議」などと出ている。3選は難しいという空気がかなり強い。私は長い間、日本の政治を見てきたが、安倍さんは3選すると思う。なぜ3選がダメなのかわからないくらいだ。

 まず今日明日に安倍さんが辞めることはあり得ない。そして、憲法改正だけは自分がやるという執念がある。その場合総理大臣を辞めさせることはまず不可能。かつて三木おろしがあったが、結局できなかった。森おろしもそうで、加藤の乱も起こされたが、ダメだった。ことほど左様に日本の総理大臣をおろすというのはほとんど不可能。

 そうなれば総裁選で総裁を変えるしかない。総裁選の候補となり得る人は今現在6人いる。安倍晋三、岸田文雄、石破茂、野田聖子、河野太郎、小泉進次郎。小泉さんはまだ若すぎるので出ないだろう。引く手あまたの環境を楽しんでいるようでもある。石破氏は確かに地方に待望論がたくさんある。なぜなら地方で会合を開く場合、国会の状況から安倍さんは呼べず、その代わりに手っ取り早く石破さんが呼ばれている。地方にとっては国家議員とりわけ実力者が来てくれるというのは非常に歓迎される。石破氏の地方党員票は着実に増えている。よって石破氏優位という見方も強まっている。野田聖子氏は女性初の総理大臣を目指して期待も大きいわけだが、まだまだそこまでは至っていない。河野太郎氏は私も大変買っているが、日本にいないことも多く、永田町で票を集めるのは至難。結局は安倍vs石破の戦いがまた行われる。

 ではその勝敗の行方は。今の政治はどういう基準で動いているのかをみなければならない。終戦直後の日本政治のメルクマールは保守vs革新だった。それがやがて与野党となった。そして今現在は好きか嫌いかとなった。誰かを好きか嫌いかで政治行動が起き、グループが出来ていくことになっている。小沢一郎氏は典型だ。

 有り体に言えば、安倍さんは石破さんが嫌いなのだ。石破氏だけには政権は渡したくない。もし自分ができなくなれば、自分の同期生で話も合う岸田文雄氏に渡したい。ところが、それはなかなか難しい。岸田氏は地方票がほとんどない。このままなら岸田氏は総理大臣になれない。特に来年は4月に統一地方選挙、7月に参議院選挙が控えている。この秋に岸田氏を総理にして、来年選挙に勝てるかといえば勝てない。通常の総裁選挙(党員投票+国会議員投票)をやったら岸田氏は負ける。ではどうすればいいか。唯一の方法は安倍さんが3選して、途中でやめること。自民党の党則に書いてあるが、最も緊急で、必要な場合は、両院議員総会で決める。これなら勝てるのだ。多くの人が竹下派がどっちにつくかわからないというが、竹下派は勝つ方に付くに決まっている。

 こういう内容は安倍さんと岸田さんの間でずーっとやっているのだ。岸田さんの心配はかつて前尾繁三郎が佐藤栄作の4選の時に協力したにも関わらず裏切られたということがあったことだが、安倍さんはそれはしないだろう。

 今世界のトップリーダーは非常に長い任期をもっている。習近平氏は2期10年の規定を撤廃して終身皇帝と言われている。ロシアのプーチン氏は通算20年間大統領に就く。日本で安倍さんが5年やったら長すぎるなどという声が出ているが、20年や終身などという世界のリーダーに、5年そこそこのリーダーが伍していけるか。安倍氏には充分な任期を与え、改正した憲法を武器に世界と渡り合ってもらいたい。

 

 

「来るべき国民投票のための憲法改正学のすすめ」 (清原淳平会長)


(清原淳平国民会議会長)

 

 学校教育で、憲法第3章に国民の権利義務が規定してあり、そこには基本的人権、思想および良心の自由、教育を受ける権利、職業選択の自由など多くの権利があることを教わったはすだ。しかし今日取り上げるのは、憲法改正のための国民投票権という極めて大きな権利を国民が持っているということをお話ししたい。

 この国民投票権というのは、学校ではあまり教えていない。なぜなら前述した第3章の国民の権利義務は憲法の10条から40条までという前半部分に位置しているが、国民投票権は96条という、最後に近いほど後ろの方にあるということも関係していよう。

 

 それ以外にも現在の憲法ができてからずっと、国民投票を実施するための手続きの規定がなかったゆえに、存在はしていても抽象的権利といわれていた。しかし今現在は手続法もできて具体的なものとなって、衆参の憲法審査会で検討される段階にまでなった。

 日本国憲法第9章 改正 第96条(改正の手続、その公布)
 ①この憲法も改正は、各議員の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 ②憲法改正について、前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを交付する。

これを分解すれば、4つの内容に分かれる。 

(一)国会における憲法改正の発議
   衆議院の総議員の三分の二以上の賛成で、発議案
   参議院の総議員の三分の二以上の賛成で、発議案
   ※衆参別々ではなく、一致した内容でなければならない。
   →→正式発議案
(二)発議案を国民投票にかける場合(それには1~4の四つの場合が考えられる)
   1.その発議案だけのために、特別の国民投票日を設けて行う。
   2.総選挙(衆議院の解散による衆議院議員の選出選挙)の日に併せて行う。
   3.参議院の通常選挙(三年毎の半数改選選挙)の日に併せて行う。
   4.議員の補欠選挙(議員の逝去や辞任に伴う補充のための選挙)の日に併せて行う。
(三)発議案の成立要件
   国民による投票総数の過半数以上の賛成票があれば、憲法改正が成立する。
(四)天皇が、国民の名において、その改正案を日本国憲法と一体を成すものとして、直ちに公布する。

   (天皇の公布は国事行為=憲法第七条一号にも明記)

 国民投票の手続法として、国民投票法(日本国憲法の改正手続に関する法律)が平成22年5月18日に施行、その一部を改正する法律の公布・施行が平成26年6月20日になされた。これは憲法上の法文があってもそれを実施する手続き法が定めてなければ施行ができないという法制度上の問題があるのだ。

 そして発議の手続き(国会法改正、平成19年、法五十一号、憲法改正について五ヶ条が決められた)には、衆議院(定数465)で100人以上、参議院(定数250)で50人以上の賛成で、発議された改正原案を、それぞれの院の憲法審査会で審査し、それぞれの本会議で、その総議員の三分の二以上の賛成により改正案を発議するとなっている。

 国民投票について、一般の感覚からして、投票ならいつも行ってるし珍しくもないと言われるかもしれないが、これは実は珍しいのだ。なぜならば、これまでは政治家個人か政党に投票していた。地元の政治家ならその評判が聞こえてきたり、メディアを通じてその政策を聞く機会もある。つまりこれまでは”人”に対する選挙をしてきた。これに対して憲法改正のための国民投票は人でなく法文に対して投票することとなるので、質的に異なってくる。よってその際には国民サイドも法の基礎知識くらいは勉強してもらう必要はあるだろう。

 ただそうなるとそんな厄介なことはよくわからないので棄権するとか、わからないから誰かの意見を聞いてその人の判断に従っていこうといった程度の国民投票になる可能性もある。われわれはこれを恐れるところだ。

 

(秋元司自民党衆議院議員)
 

 憲法改正は国会議員が決める話ではない。国会では発議内容を国民に提示させていただいたのち、国民投票で実現していく。国会の運営において、正しく国民に情報が伝わり、改正の中身も正しく伝わっていかなければならない。

 天皇陛下のご決断により、いわゆる退位が決定した。この件について国会において法律を作っていく過程で議長が各党会派の代表を集め、そこで議論しそれを各党に持ち帰り結果的には国会で大きな論争をすることなく、すなわち反対の声はなく、静かに退位が決定されたということだった。

 憲法も国のかたちを表すものであってみれば、最終的な民主主義の決定プロセスである国民投票も本来同様であってしかるべきではないか。またそうでなければ過半数は難しいだろう。



(櫻田義孝自民党衆議院議員)
 

 自民党は1955年の結党当時から自主憲法制定が党是だった。しかしいまだそれが成し得てしないというのは怠慢の誹りを免れないし、大変遺憾に思うところだ。

 最近の世論調査では改憲に賛成の割合が51%、反対46%などという数字が出ている。その理由としては軍備拡張を続ける中国の台頭、そして、核・ミサイル開発にこれまで邁進してきた北朝鮮などの脅威が国民に共有されてのことだろう。

 先月、南北朝鮮の首脳会談が実現し、融和ムードが広がっているが、ただ、北朝鮮という国は自国民を飢え死にさせても核・ミサイル開発を続けてきた独裁国家であることを忘れてはならない。はっきり申せば、テレビに映し出される南北融和は我が国の安全保障にとっては全く関係ないことだと断じたい。これから米朝首脳会談もセットされているが、北に対しては断固たる態度で、拉致問題の解決、完全で、検証可能かつ不可逆的な核・ミサイル廃棄を迫って欲しい。

 


(平沢勝栄自民党衆議院議員)


 今の憲法は改正しなければならない項目がいっぱいある。例えば、裁判官の給与を下げてはいけないという規定がある。その結果どうなるか。公務員は刑事事件を起こせば休職扱いになって給与は払われるにせよ、ガタッと下がる。ところが、裁判官は同じ立場になっても給料を下げられない。クビになるまで。なぜこういう規定があるのかといえば、時の政府が気にくわない裁判官を懲らしめるために給料を下げるなどということを防ぐためだが、まさか裁判官がセクハラだ、猥褻行為だなどということをやるなど想定していなかった。実際は裁判官にもそういう人はいるわけで、これはおかしな規定であり、改正するのは当たり前だ。

 改正絶対反対などと言う人は極々少数だ。野党は「反対」ではないのだ。例えば、首相の解散権についてもっと制約した方がいいという人は多い。あるいは憲法裁判所を設けた方がいいという人や地方自治をもっと充実させた方がいいという人もいる。また”護憲護憲”などと叫ぶ一方で、憲法24条の結婚は両性の合意に基づき成立という規定には反対で、同性のカップルも前提にして”両者”の合意とすべきという。要するに自分の都合のいいところは改正したいが、今はそれを言わないだけなのだ。

 今日の東京新聞の1面トップに「憲法9条は世界の宝」とあった。私は政治家になる前の最後のポストは防衛庁の審議官で、世界各国をまわっていろんな方と話しをさせていただいたが、9条が世界の宝などと言ってくれた人は誰もいなかった。むしろ、日本という国は身勝手だと言われた。日本だけが安全であればいい、他の国はどうなってもいいという考えじゃないかとなじられた。


 

(船田元自民党衆議院議員)

 

 憲法改正について、まず9条の2項(交戦権、戦力の不保持)をどうするかで自民党内で議論百出した。最終的には国民にわかりやすく原案を提示し、国民の9条改正に対する不安をなるべく少なくしていくためには、残さざるを得ないのではないかとなった。そして、第3項あるいは9条の2という新しい項を起こして自衛隊の存在を明記するということを目指した。ただ、2項を削るという意見がなお強いこともあり、自衛隊をそのまま等身大に書くということではなく、必要な自衛の措置を妨げないという、いわゆる自衛権の発動を盛り込んだ。自衛隊の組織の明記とともにその役割をきちんと書くことによって、2項を削る削らないという対立を少し和らげるということで対応しようという結論だ。

 

 2つ目は緊急事態条項。世界各国ほとんどの国で、何らかの形で緊急事態条項を取り入れている。2011年3月11日に東日本大震災が発生した。統一地方選の3週間前だった。東北3県の県議会選挙が当然できなかった。どうしたかといえば、東北3県については、県会議員の任期を約半年延長するということで急場を凌いだ。もし衆議院選挙、参議院選挙が近づいていて、あのような大震災が起こった時にどうするか。法律を作ればいいという人もいたが、これはできない。衆議院は4年、参議院は6年と憲法上決められている。よって、憲法を改正しなければ衆議院議員も参議院議員も任期を延長できないのだ。

 

 そういうことで、緊急事態条項においては衆議院、参議院の任期の延長をすることができるとした。ただ、緊急事態において、参議院の緊急集会があるじゃないかと言う声もある。しかし国の大事な法律を決める、とりわけ国民の生命と財産を緊急に守らなければならないという時に、参議院の一部だけでそれを決めてよろしいのか。やはりできる限り国会はフルサイズでどんな時でも存在していることが大事。これが本当の意味での民主主義じゃないかということで、このような制定をするようにした。ただその際、新幹線が止まって飛行機も飛ばないという中で、地方に散らばった国会議員が急には集まれないことも想定されるので、その間は内閣において緊急政令を出すことができるということも付け加えた。

 

 3つ目は教育の無償化。これは日本維新の会が大変熱心に進めてこられた。今現在、義務教育は無償化すると憲法に書かれている。それに加えて幼児教育、高校教育、高等教育にも無償という言葉を使えば、大変な国費が必要となる。そこまで我々が対応すべきなのか。やはりそこは自己責任ということもあるのではないかと。よってこれらについては無償は使わずに、経済的理由によって教育の機会が失われないように国は教育環境の整備に努めるべきだとした。義務教育の無償化と比べればややレベルが低いが、これがわれわれがやれるギリギリの線だろう。

 

 4つ目、憲法の14条が法の下の平等を謳っていて、1票の格差は本来はないのが正しい。しかしそれを全部やってしまえば、大変な事態になる。そういう中で、最高裁としては当面衆議院は2倍以内の格差、参議院は3倍以内という判断を示している。最高裁は実は昔は衆議院は4~3倍、参議院は6~5倍でも容認した時代もあったが、それから段階的に格差を縮めてきた経緯がある。ともかく、最高裁の判断によって、今現在、参議院では合区が生まれた。もちろん衆議院でも大変な事態になっている。特に東京ではキメラ状態の選挙区となってきていて、しかも毎回の選挙ごとに区割りが変わるという状況。これが続くと、有権者は自分の選挙区や候補者がわからなくなる。そうなると政治と国民の距離が広がり、政治に対する国民の関心が低くなってしまうという弊害が生まれる。これは人口比だけでやるからそうなるのであって、それとともに行政単位(都道府県、広域自治体)も加味すべきということを書き加えるという内容だ。

 

 憲法改正については政局に囚われず、常に議論するという癖をつけなければいけない。与野党の対立によって議論ができないというのは国民に対しての侮辱だと思うところだ。

 

(串田誠一日本維新の会衆議院議員)

 

 今年の予算委員会で憲法26条と9条について質問した。まず26条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」となっている。では普通教育はどうやって決まっているのか。普通教育が決定されたのは1886年(明治19年)森有礼初代文部大臣の学校令による。学校令では普通教育は小学校までとなっていた。それから60年後の昭和21年には、中学までが普通教育となった。昭和21年当時の進学率は中学までが65%。それから72年を経た今年、平成30年は97%が高校進学を果たしている。これを普通教育と言わずして何を普通教育と言うのか。ところが、学校基本法には、高校を普通教育とは定められない。何と言っているかと言えば、高度な普通教育と謳っている。なぜそういう言い方をしなければならないかといえば、憲法26条は普通教育を受けさせる義務を負うとなっていて、普通教育を高めていくと自動的に義務教育にしていかなければならない。いまだに中学までを普通教育と呼ぶというのは憲法26条が全く改正されていないからだ。

 憲法9条についてもおかしな議論だと思う。頭の上に火の粉が降ってくれば払いのけるのと同様に各国が自衛権を持つというのは固有の権利であり、国連憲章にも規定している。憲法にどういう文言があって、どういう解釈がされるかという以前に自分たちの国を守るというのは当たり前のこと。よって憲法に自衛隊が明記されているか否かに関わらず、自衛隊の存在は固有の権利だというところからスタートしなければならないと思う。ではなぜ憲法にあらためて明記しなければならないかといえば、違憲だという主張をする人たちがいるから。その人たちがいつか政権を取ったら、すぐに自衛隊をなくすのかと思えば、当分の間働いてもらうなどと言う。こういうことをこれ以上言わせてはならないから9条改正をしなければならない。

 

(宮川典子自民党衆議院議員)

 

 憲法改正について、私は正しくは自主憲法制定というべきだと思っている。なぜなら、憲法改正なら今までの憲法を残していくということ。しかしこの憲法はどこかの憲法をコピー&ペーストしたものだという指摘もある。であればこそ自分たちの力でもう一度作り直していくということが重要だ。私は前文の改正こそ重要だと思う。前文とはこの憲法がどういう精神、どういう現状分析で書かれ、またこの国がどういう立ち位置なのかなどなどが正確に書かれているべきだ。前文を改正した国には冷戦体制下に組み込まれていた国、内戦が起きていた国、大きな経済体制を組んでいたような国などがあるが、そういう体制から一歩外れた時にそれらの国の在り方は変わってくる。よって、前文を改正し憲法改正をやってきた国が多くあるのだ。自民党も前文に対する思いが弱いと感じる。日本の背骨を作るのは前文。敗戦国だったあの時代の言葉ではなく、もっと広い視野でもっと広い心で、日本がどうやって生きていくかを皆様とともにそこに記すことができれば、自主憲法制定がわが国にとって本当に大きな意味をもってくると思う。

 

「閉会の辞」 小林正氏(国民会議理事)

 

(小林正国民会議理事)

 

 国会議員の先生のお話の中で、かなり切実な問題として、参議院の合区の問題が出た。これは社会保障人口問題研究会の未来予測も指摘するように、日本の人口は待ったなしで急減していく。そしてそれに併せ人口比で議員定数を決めていくというのはもはや袋小路に入っている。どこへ持っていっても必ず矛盾が出る。どうしたら解決できるか。この間の政治改革で一番問題だったのは、議員定数を減らすことによって、身を切る覚悟で云々…。しかしその方式は果たしてこれからも通用するか。私は通用しないだろうと思う。人口はどんどん減っていく。日本は間接民主制。したがってどうしたらいいか。これについて世界各国の総人口と議員定数の比率を見れば自ずから回答がでる。日本は議員定数を減らし続けた。その結果、矛盾が拡大している。国民の立場からすれば、自分たちの代表を100人で1人選ぶのか、1000人で1人選ぶのか。どちらがより民意を反映することができるか。これは議員定数を増やすことによってのみ、間接民主制における個々の有権者の意向を反映することが可能になる。選挙制度改革について、東大の佐々木毅元学長が国会に持ち込んだら、減らすことばっかり言っていると。しかし私はそればっかりを言った憶えはないと。増やすことによって政治改革を断行することも可能なのだ。だから、ここでちょっと立ち止まって考えてみる必要がある。

 もう一点、国民投票へ向かうには、まず発議をしなければならない。今安倍内閣の状況を考えると、参議院の段階では3分の2は162名。現在自民党が125人、公明党が25人。維新の会が11名。足せば161。1名足りない。これには他の6野党から心ある人が党議拘束を破って参加してくれるかもしれない。しかししないかもしれない。となれば具体的には来年の参議院選挙において、与党で3分の2を優に超えるという体制を作る必要がある。よって、来年の参議院選挙は憲法改正への大変大きなステップとなる。加えて、教育の無償化の問題で、自民党は教育の充実として案をまとめたが、これで維新がOKするかと言えば私はしないと思う。そうなれば、3分の2は非常に危ういものとなる。もっと維新とも膝を突き合わせて話し合い、もっと広く仲間を増やす必要がある。

月刊ビューポイント6月号発行しました

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月刊ビューポイント6月号内容は以下のとおり

 

◇PHOTO GALLERY

  フィリピンの夏の祭典「アリワン・フィエスタ」

            (マニラ・福島純一

◇トップニュース

  南北首脳が「板門店宣言」(高陽<韓国北西部>・上田勇実

◇検証 南北首脳会談(ソウル・上田勇実)

  ・幕開けた文在寅版「太陽政策」

  ・体制維持へ米と「核取引」狙う

  ・「日本配慮」に実利確保の思惑

◇平昌五輪で訪問の北幹部

  韓国に協力基金拠出迫る(編集委員・上田勇実

    首脳会談の条件? 制裁破りを誘導

◇ワシントンから

  ・「孔子学院」 米で広がる警戒感

    中国政府の政治拠点化危惧/監視強化訴える議員も

  ・強硬姿勢に評価の声

    トランプ米政権の対中貿易制裁(ワシントン・山崎洋介

◇キング牧師暗殺50年と黒人社会―深刻な家庭崩壊・暴力

  米ジョージ・メイソン大学特別教授 ウォルター・ウィリアムズ氏に聞く

              (編集委員・早川俊行

◇高永喆の韓半島NOW

  シリア空爆は対北軍事行動の予告編だ

◇憲法改正問題

  ・新しい憲法をつくる国民会議/改憲投票権行使へ前進

  ・改憲派集会に首相メッセージ/憲法改正の主役は国民

  ・沖縄・那覇市で県民集会/早く国会で改憲発議を

  ・改憲4項目で条文素案/自民、9条改正へ見切り発車

◇ニュースクローズアップ

  ・暴走する性教育

    生命の尊厳より「避妊」「中絶」(社会部・石井孝秀

  ・過激化する国会前集会

    「市民」大半は共産系団体(社会部・川瀬裕也

◇「赤旗」役所内勧誘の実態(「しんぶん赤旗」問題取材班)

  ・兵庫県加古川市

    自粛通知に共産市議改めず

  ・「昇進おめでとう」赤旗拡大作戦

  ・兵庫県稲美町

    義理の赤旗購読者は10~15%

◇ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・中露のインフラへサイバー攻撃も

  ・脅威!中露の極超音速兵器

◇ワールド・スコープ

  ・中国、聖書販売差し止めか

    白書で「宗教中国化」明記(香港・深川耕治

  ・イスラエル建国70年

    激化するパレスチナ抗議デモ(エルサレム・森田貴裕

◇WHO'WHO ひと

  人を元気にする音楽を 池田夢実(シンガーソングライター)

◇沖縄から

  ・2企業が「オール沖縄」離脱

    革新色強まり不信募る

  ・那覇市の孔子廟使用料免除 地裁が違憲判決

    「政教分離」原則に違反(那覇・豊田剛

◇持論時論

  ・日本女性の矜持/心にいつも懐剣忍ばせる

     石川真理子(作家)

  ・アグリセラピーの可能性/「農業は農行」農作業は修行

     野田大燈(喝破道場塾長)

  ・リカレント教育/広がる社会人の”学び直し”

     李濟民(小樽商科大学大学院教授)

◇世日クラブ講演会

  「北朝鮮問題と同床異夢の米中露」

     河添恵子(ノンフィクション作家)

◇防衛レーダー

  国際常識無視の日報報道(濱口和久

◇救国救世ビジョン―家庭再建講座

   第二章 日本社会を蝕む結婚文化の衰退

      4.離婚の増加で追い詰められる子供たち

◇内村鑑三を読む

  「宗教と文学」(9)

    米国の天職歌ったホイットマン増子耕一

◇山田寛の国際レーダー

  ・習体制と精日と溥傑・浩夫妻

    若者はどう反応する

  ・南北、米朝首脳会談

    北はベトナム式統一を狙う?

◇教育

  全国「家庭教育支援チーム」が報告会

    虐待予防に訪問型支援充実を横田翠

        

ドキュメンタリー映画「ミフネ ザ ラストサムライ」を観る

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 本作は三船敏郎が主演し、黒澤明が監督を手掛けた「羅生門」(1950)、「七人の侍」(1954)、「蜘蛛巣城」(1957)、「用心棒」(1961)、「赤ひげ」(1965)、そして稲垣浩監督の手になる「宮本武蔵」(1954)などの映像とともに、当時の共演者や親族などのインタビューを通じ、俳優三船敏郎の真実に迫るドキュメンタリー作品。監督は日系三世のスティーブン・オカザキ。

 

 元々俳優志望ではなく、実は、撮影する側を志望していたという三船。食い扶持のため俳優養成所にも通いはじめたというのだが、デビュー当時のポートレートは絵に描いたような昭和のイケメン。黒澤明に見出され、「用心棒」と「赤ひげ」でベネチア国際映画祭主演男優賞を獲得。世界のクロサワとともに、世界のミフネの名を不動のものとした。

 

 黒澤の撮影現場は常に、緊張感漲る厳しい演技指導で知られるが、三船に対してだけは一切口を出さず、自由にやらせたという。二人は共に認め合い、その才能を求め合った間柄といえよう。

 

 黒澤・三船コンビが世界の映画界に与えた影響は計り知れない。「七人の侍」はハリウッドで西部劇「荒野の七人」(1960)にリメイクされ、ユル・ブリンナー、スティーブ・マックイーン、チャールズ・ブロンソンなど当時のスターが夢の共演を果たした。「用心棒」は当時売出中のクリント・イーストウッドをキャスティングし、マカロニウェスタンの「荒野の用心棒」(1964)としてリメイクされた。ただ、これは配給元である東宝や黒澤にもリメイクの許可を得ずに製作されていて、のちに裁判問題に発展し、黒澤は生涯この作品を目にすることはなかったそうだ。なお本作では扱ってないが、黒澤・三船作品の一つ「隠し砦の三悪人」はスター・ウォーズの構想の元となり、作品のところどころにオマージュが見られるという。

 

 黒澤と三船は、日本はおろか世界を魅了し続ける作品を世に送りだしてきたが、「赤ひげ」を最後にコンビ解消。その後、黒澤はスランプに陥り、自殺未遂さえ起こす事態に追い込まれたが、それを救ったのが、ジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグらで、彼らのバックアップによって黒澤が復活を遂げた作品が「影武者」(1980)だ。三船は三船でのちに東宝がら自立し、自ら映画製作会社を立ち上げ、社長に収まるが、その経営と俳優業とのはざまで四苦八苦。挙句に不倫問題を起こし、三船ブランドに自ら傷を付けた。最晩年は、年相応の役どころが見当たらず、国内には仕事がなかったが、海外ではそのビッグネーム欲しさにオファーが引きも切らず、三船の信念とは似ても似つかぬB級作品にも出演していたようだ。87年には「男はつらいよ 知床慕情」にゲスト出演して、寅さんと共演を果たしているが、これはこれで良いと思う。

 

 三船は黒澤より10歳下だったが、黒澤よりも先に77歳でこの世を去った(97年12月)。ただ翌年には黒澤もあとを追うように鬼籍に入る(98年9月)。黒澤が三船の葬儀のためにしたためた弔辞には、「僕は三船という役者に惚れこみました」「もし、三船君に出会わなかったら、僕のその後の作品は、全く違ったものになっていたでしょう」などの賛辞が並ぶが、無論これは本音だったろう。「赤ひげ」以降、作品作りを共にすることがなかった二人。悔やまれる声が未だにあるが、なあなあでやっていてもしょうがないじゃないか。共にラストサムライを自任し、作品の度に、お互い真剣勝負を挑んだ二人ではなかったか。あれ以上一緒にいたら、斬り合って事件にまで発展したかもしれない。贅沢言っちゃいけない。「赤ひげ」までで良かったよ。二人で素晴らしい作品を15本も残してくれた。それだけで感謝。二人が戦後日本映画の黎明期に同時に存在してくれたことに感謝。

 

 PS.若かりし日の香川京子と司葉子の映像にはうっとり。お二人にも感謝感謝‼

第179回世日クラブ講演会のご案内

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テーマ

「沖縄はいつから日本なのか」

 ~誰も気が付かないもう一つの日本共産革命理論~

 

 (講師:仲村覚氏)

 

 世日クラブの第179回定期講演会を6月14日(木)に開催いたします。今回は、一般社団法人日本沖縄政策研究センター理事長である仲村覚氏を講師に迎え、「沖縄はいつから日本なのか~誰も気が付かないもう一つの日本共産革命理論~」と題して語っていただきます。

 

  「薩摩藩の侵攻と琉球処分により併合され、いまも差別され続けている沖縄」という、日本を加害者、沖縄を被害者とする歴史観が浸透しています。仲村氏は、反基地で揺れる沖縄問題の原因がこの誤った歴史観にあると指摘します。なお進んで、沖縄の歴史が共産主義勢力が日本を解体し、共産革命を成就するための運動理論となっている現状を白日の下に晒し、沖縄問題解決の道を示していただきます。

 

<講師プロフィール>

なかむら さとる

 昭和三十九年、那覇市生まれ。埼玉県在住。昭和五十四年、陸上自衛隊少年工科学校(横須賀)入校。同校卒業後、航空部隊に配属。その後、複数の企業勤務を経る中で、日本は沖縄から中国の植民地になってしまうという強い危機感を抱くようになり、活動を開始。平成29年には一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラムを設立。同法人は、中国共産党の仕掛ける沖縄の歴史戦と本格的に戦う唯一の組織。著書に「そうだったのか!沖縄」(示現社)、「沖縄の危機」(青林堂)、最新刊には「沖縄はいつから日本なのか」(ハート出版)がある。ビートたけしのTVタックル(地上波テレ朝)にも出演。新聞雑誌等に沖縄問題の第一人者として論文を多数寄稿。

 

【演題】「沖縄はいつから日本なのか~誰も気が付かないもう一つの日本共産革命理論~」
【講師】仲村覚氏 (一般社団法人日本沖縄政策研究センター理事長)
【日時】平成30年6月14日(木)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒112‐0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター26階スカイホール
【会場に関する問い合わせ】03-5803-1100(財)文京アカデミー施設管理係
【交通案内】東京メトロ丸の内線、南北線の後楽園駅徒歩3分、都営地下鉄三田線、大江戸線の春日駅徒歩3分、JR中央・総武線の水道橋駅徒歩10分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

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「美智子さま 凛とした素敵な和装59年の歩み」(宝島社)を読む

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 平成の御代も残り1年を切った。来年の今ごろは新天皇が即位され、新元号となっている。思えば2年前の8月8日、誰も予想しなかった天皇陛下の御退位を示唆するメッセージがあった。しかもそれが事前に”生前退位”としてNHKのスクープのかたちで報じられ、その報に接せられた皇后陛下はショックを受けたと吐露された。

 

 天皇陛下が語られたその内容は、われわれ国民にとっても衝撃的だった。80歳を超えられてなお全身全霊で国民統合の象徴を体現されようとなさる御姿勢に感銘するとともに、そのお務めを縮小することを良しとされず、なおかつ摂政による代行にも否定的であられることに悩まざるをえなかったのだ。

 

 政府は、憲法第4条第1項「天皇は…国政に関する機能を有しない」との整合性に腐心し、あくまで大多数の国民の声を聞くというかたちで、その代表たる国会が、「天皇の公務の負担軽減に関する有識者会議」による議論を経て、今上陛下一代限りの御退位を認めるとする「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」を制定。なおかつこの法律は皇室典範と一体を成すものであるとの附則を新設した。憲法第2条は、皇位継承は皇室典範の定めるところによるとあるも、典範は退位を認めていないからだ。

 

 御即位から31年目にして、光格天皇以来、実に200年ぶりとなる存命中における天皇の退位を果たされる陛下のご心中はいかばかりか。ただ陛下の皇太子時代から、そのお側には必ず美智子皇后陛下がいらして、お支えになっておられた。老齢になられても仲睦まじいお二人の姿は、理想の夫婦であり、理想の日本の父母と表現して差支えないはずだ。

 

 ところで、いくぶん旧聞に属するが、読売新聞の4月30日付、特別面の連載「平成時代」に曽野綾子さんが寄稿されていた。それによれば、なんと天皇皇后両陛下は年に数回、三浦半島にある曽野さんの別荘をご訪問されるのだそう。皇后陛下が聖心女子大で曽野さんの3級下ということが関係あるようだ。今年2月のご訪問時には、曽野家で一番おいしいものをということで、三浦大根の葉っぱを炒めた料理を両陛下にお出ししたのだそう。

 この寄稿の中で一番印象的だったのが、2007年の記者会見で皇后陛下が、「身分を隠して1日過ごすなら」と問われ、「神田や神保町の古本屋で立ち読みをしてみたい」とお答えになったということ。なんとも素朴だが、両陛下はじめ、皇族方はそれほど私生活が制限されているのだ。

 そしてここからがミソなのだが、曽野さんはぜひともそのお手伝いがしたいとして、書店関係者や警察の協力を得て、渋谷の書店で1時間だけその願いを実現して差し上げたというのだ。曽野さんも恐るべしだが、何より当方は皇后陛下にこそ、日本の母の姿があるとあらためて感じずにはおれなかった。

 

 さて、本書は美智子皇后陛下のファッションに焦点をあてる企画だが、その中でも和装(着物)をフィーチャー。今上陛下とのご結婚以前の秘蔵写真から今日のお姿にいたるまで、実に多種多彩かつ気品ある着物ばかりで、それを春、夏、秋、冬の季節ごとにカテゴライズして紹介している。むろん、その時々のシチュエーションもキャプションによってよくわかるようになっている。皇后陛下は公式の場はもちろん、海外で皇室外交を展開される際など、やはり日本の伝統衣装である着物を召される機会が多いように見受けるが、そのチョイスはご自身でなされているとのこと。

 

 なお、皇后陛下は洋装においても、ニューヨークに本部を置く、国際ベストドレスド投票委員会から、昭和60年と昭和63年にベストドレッサー賞を受賞しておられる。昭和51年から平成24年まで36年間、美智子皇后陛下の専属デザイナーを務めた植田いつ子氏は、皇后陛下は日本の伝統的な美意識への造詣がことのほか深いとのことで、それゆえに氏のデザイナーとしての活動にも和装の技術は大いに生かされてきたという。

 

 日本の母を体現される皇后陛下のお着物姿を通じ、昭和時代から平成の御代まで59年間を顧みる一冊。わが宝。

映画「ゲティ家の身代金」を観る

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 ジャン・ポール・ゲティ(1892-1976)。父親の代から始めた中東からの石油の輸入によって財をなし、「ゲティ・オイル社」を設立。米フォーチュン誌によって世界初の億万長者に認定(資産総額5億ドル≒1400億円)。本作は実話に基づく。

 

 1973年、ゲティ(クリストファー・プラマー)の孫であるポール・ゲティ三世が夜のローマで誘拐される。犯人側が要求してきた身代金の額は1700万ドル(50億円)。ポールの母親であるゲイル(ミシェル・ウィリアムズ)は、ゲティの息子である夫とは既に離婚し、ゲティ家とは疎遠だったが、自ら身代金を用意できようはずもなく、ここは義父であるゲティを頼らざるを得なかった。1700万ドルはまったく法外だが、ゲティにしてみればはした金であり、なおかつ孫の命がかかっていたのだ。しかしあろうことか、ゲティは1ドルも出さないという。理由は、金を払えば、今度は14人いる他の孫が狙われると。それは詭弁にすぎなかったが、この誘拐事件をめぐるゲティ家の醜聞はマスコミの恰好の餌食となっていく。

 

 やがて、当初の誘拐グループは足が付き、ポールの身柄は今度はマフィアに売られてしまう。そしてゲティがゲイルの元へ交渉人として差し向けた元CIAのフレッチャー(マーク・ウォールバーグ)の働きもあり、身代金は700万ドルへと引き下げられるが、それでも首を縦に振らないゲティ。しびれを切らしたマフィアはポールの体の一部を切り取り、写真とともに送りつけてきた。次はもっと酷いことになると。

 

 息子を救い出すため、気丈に振舞いながらも死力を尽くして犯人側との交渉に挑む母親。一方、ひたすら鉄面皮のまま、原油相場のチェックに片時も余念がない大富豪の祖父。ラストで母親が仕掛けた乾坤一擲の一手の行方は…?

 

 お金は誰しも必要なことは論を待たない。ただ世界一の大富豪ともなれば、劇中で何回も言及されるが、”別世界”の住人ということらしい。ゲティ氏のがめつさ、守銭奴ともいうべきメンタリティーは一種異様だが、あれくらいでないと、世界一の富豪なんてとてもじゃないが無理ですよということか。まあ僻み半分、当方には関係ないからいいですけど…。ただ、金持ちになったらなったで、近隣からは疎まれ、友人知人には愛想笑いされ、誘拐や強盗の危機に怯え、マスコミには追いかけ回されと、一時も心休まる暇もなく、そしてそれが我が身のみならず、家族や親類にまで及ぶとしたら…。金持ちも良し悪しだなと。

 

 ゲティ氏は誘拐事件の3年後に他界するが、あそこまで冷徹を貫き執着した自身の血と汗の結晶たる資産のうち、1ドルさえあの世に持っていけなかった。ま、当然ながら。

 

 ただ、これを反面教師として、清貧であることが正しいとは限らない。人間、”貧すれば鈍す”が普通で、西郷隆盛のような傑物は例外中の例外だ。格言に、”恒産なくんば恒心なし”という。志を失わないためにも一定の安定した生活も必要なのだ。我が国にも松下幸之助や稲盛和夫など功成り名を遂げてなお、範とすべき経済人がいる。”金は天下の回り物”―国民に20年来染みついたデフレマインドを払拭するためにも今こそ思い起こそうではないか。

第179回世日クラブ講演会開催

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「被害者意識」の背景に革命理論

             沖縄問題で仲村覚氏が講演 

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が14日、都内で開かれ、一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚氏が「沖縄はいつから日本なのか~誰も気が付かないもう一つの日本共産革命理論~」と題して講演した。

 

               沖縄問題で講演する仲村覚氏=14日、東京都内(加藤玲和撮影)

 

 仲村氏はまず、「明治維新で琉球国が滅ぼされた」という、戦後に作られた歴史観によって沖縄の被害者意識が生み出されていることを説明。その上で「沖縄の歴史を誰が一番研究しているかというと中国共産党。その次には左翼だ。これ(被害者としての歴史観)は彼らにとっての共産革命理論になっている」と強調した。

 

 また、沖縄の翁長雄志知事が2015年9月に国連人権理事会で「Self-Determination」(民族自決権)という英単語を使ったことに触れ、「沖縄県民という先住民が日本政府から弾圧されていると言っているようなものだ」と批判。さらに、同年2月には、地元紙に「沖縄の自治拡大案」として、憲法9条が改定された場合には、日本からの独立を検討すべきだとする琉球大学教授の主張が掲載されたことを紹介した。

 

 講演に先立ち、あいさつした世日クラブの近藤会長は「中国の核心的利益は南シナ海から台湾、尖閣諸島、そして沖縄。ここを全部、自分たちの固有の領土だと主張してはばからない」と、中国に対する警戒感の必要性を訴えた。 (世界日報6月15日付1面より)

映画「レディ・バード」を観る

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 「レディ・バード」(=羽ばたけ自分の意?)とは、主人公クリスティン(シアーシャ・ローナン)のニックネームで、実は自分で付けたのだが、これをミドルネームのように使って、友達や家族にもそう呼ばせている。クリスティンはカルフォルニア州サクラメントに住むシニアの高校生。大学進学を控え、都会の学校に行きたいと望むが、母親はお金の問題もあって、地元で我慢しなさいと二人の間で確執が絶えない。

 

 クリスティンは、両親と兄ミゲルとその恋人の5人家族で暮らす。暮らし向きは楽ではなく、彼女はケータイさえ買い与えられずにいる。そんな鬱憤もあってか、クリスティンの高校生活ははじけている。学校はカトリック系で信仰をベースにした教育がなされるが、生徒は面従腹背ここに極まれりで、クリスティンも髪をピンクに染め、素行も良くない。空気が読めず、思ったことをそのまま口にして周りを凍り付かせることも。仲良しのデブっちょジュリーとは赤裸々な性の話に花が咲く。これも自分が美形でないことのコンプレックスの裏返しなのだろう。それでもクリスティンは狙った男子に果敢にアタックしていく。はてさて、彼女の恋と針路の行方は?

 

 本作は、今の米国の等身大の女子高生像を描いたものではないだろう。もしそうであれば映画のモチーフになどなるまい。青春時代というやんちゃ盛りでもあるが、実際はガラス細工のような人生の揺籃期に、あけすけに言いたいことを言い、したいことをする。そんな奔放なクリスティンに自分の願望を投影させたいという思いが本作の人気の秘密だろう。主人公があまり美形でないところもちょうどよいのだ。

 

 欧米では、年頃の娘には、もしもの時のために親がコンドームを持たせるという状況もあるようだし、そもそも性に関しては女子の方が早熟だとも言うが、本作が描くような性にアグレッシブな女子なんて、男はドン引きと思うけど…。昔気質の伝統が崩れてきているとはいえ、日本人の女子はまだ恥じらいというものを知っているはずだ。これは当方が保守的な考え方ゆえの勝手な願望というのでもあるまい。とにかく性という問題は、命を生み出す行為でもあり、取り返しのつかない問題をはらんでいるのだから。

 

 聖書に、「あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ」(伝道の書12章1節)とある。造り主とはいうまでもなく神のことだが、一神教を信仰することの強要ととらえずに、自分を慎むべしととらえることもできよう。ただ作中ではミッション系スクールの状況を通じてキリスト教の形骸化がこれでもかと描写されているが、これが現実で、今のキリスト教にイスラムに太刀打ちできる力はない。

 

 人は失って初めて大切なものを知るという。“青春”という二度とない、もっとも輝くべき貴い時間。この期間に、のちの人格者も変質者も形成される。振り返って、拳を打ち付けて泣き悔やむことだけはすまい。クリスティンも新天地での生活が始まり、慣れない環境の中で静かに自分と向き合った時に、今まで気づかずにきたものが見え、込み上げてくるものを抑えきれなかった。

月刊ビューポイント2018年7月号発行しました

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月刊ビューポイント7月号の内容は以下のとおり

 

◇PHOTO GALLERRY

  水郷潮来あやめまつり

◇米国の分断

  第1部 断罪される偉人たち

   ・奴隷所有を理由に記念碑撤去―「建国の父」までが標的に

   ・故郷の英雄をごみ扱い―「衝突事件」の現場

   ・戦後の南北和解を後押し―リー将軍の功績

   ・新大陸発見が差別の根源?―評価一変のコロンブス

   ・ジェファソンは偽善者か―奴隷所有と独立宣言

   ・全大統領の像が消える?―際限なく広がる標的

   ・打倒の「本丸」は建国の理念―左翼勢力の狙い

       (編集委員・早川俊行

◇どうなる米朝首脳会談

   島田洋一・福井県立大学教授に聞く

     「リビア方式」めぐり攻防/在韓米軍撤退もカードに

       (聞き手=編集委員・早川俊行

◇国益ネット放送局パトリオットTV

  「調査・分析で観光産業が成長」

    ゲスト:デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社代表)

◇ワシントン・タイムズ特約

  AI軍事活用新段階に

    米国防総省、中露への遅れ指摘も

◇NEWSクローズ・アップ

  ・引きこもり「8050」問題

     長期化と親の高齢化で困窮(編集委員・森田清策

  ・「国民党」船出から波高し

     国民不在の政策転換 野党の核、思惑外れ

      (政治部・岸本玲七

  ・足立区立中学での性教育問題

     独善性と政治色濃い性教協(社会部・石井孝秀

  ・米朝首脳会談めぐり諸説紛々

     非核化見返りは独裁維持資金?(編集委員・上田勇実

◇高永喆の半島NOW

   経済再建のカギは核放棄だ

◇ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・中国通信大手への制裁緩和

  ・露が新型SLBMを試射

◇防衛レーダー

  組織改編進む陸上自衛隊(濱口和久

◇ワールド・スコープ

  ・ハスペル米CIA長官が就任

    拷問関与疑惑も手腕に期待の声(ワシントン・山崎洋介

  ・マクロン仏大統領就任1年

    支持率50%、改革に一定の支持(パリ・安倍雅信

◇ WHO'S WHO ひと

  振袖を着て人生に彩を

    「きもの鹿鳴館倶楽部」代表 須藤紀子

◇沖縄から

  ・高江抗議活動をめぐる二つの判決 那覇地裁

    沖縄県警の検問不可、反対派は不問

  ・今秋の沖縄知事選

    翁長知事は出馬名言せず

        (那覇支局・豊田剛

◇持論時論

  ・「縄文道」を提唱する/日本の陶磁器、世界に影響

    加藤春一(出会い創造研究所代表理事)

  ・作業と仕事の違い/創造的価値の付加こそ仕事

    浦郷義郎(ホスピタリティバンク研究所代表)

  ・街道町おこし/東海道五十三次を世界遺産に

    田中義巳(街道文庫店主)

◇救国救世ビジョン―家庭再建講座10

   第二章 日本社会を蝕む結婚文化の衰退

      5.「多様な家族」という幻想

◇文化

  勝海舟、その無私の精神

   理解されにくい政治的人間(羽田幸男

◇内村鑑三を読む

  「宗教と文学」(10)

   草は香水付き神のハンケチ(増子耕一

◇山田寛の国際レーダー

  ・今こそバッジの着用を

    河野外相と辻元議員に訴える

  ・ベトナム残留日本兵

    家族の絆印象づける

◇教育

 薬物リハビリ施設「ナルコノン」台湾代表が講演

  再発防止は「人生の目標発見が大切」(森田清策

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html

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