Quantcast
Channel: 世日クラブじょーほー局
Viewing all 592 articles
Browse latest View live

「パトリオットTV」始めました

$
0
0

 世界日報に”アンポのタムラ”こと、自民党政調会審議役の田村重信氏が殴り込みか! なーんて。三顧の礼で迎えたに決まってるし。さて、Viewpoint公式チャンネルで、国益ネット放送局「パトリオットTV」がスタートしました。田村重信氏をホスト役に、国益という観点から毎回様々なゲストを迎えて、侃侃諤諤語り合うという趣旨の番組です(不定期公開)。

 

 チャンネル桜の猿真似だとか、花田紀凱の「右向け右」の二番煎じだとか言われようがなじられようが、否、言われれば言われるほど意地でもやっていきます(担当者の心中を代弁)。夏になれば、中華屋が冷やし中華始めるように、冬が来れば鍋物が流行るように今はそういう時なのです。ともかくも記念すべき第一回目のゲストは、元海上自衛隊艦隊司令官の香田洋二氏。テーマは、「北朝鮮の核ミサイルは完成しているのか?」。

 

 まず、見てみよう。そのうち洗練されてくるさ。

 

 

<ゲストプロフィール>

香田洋二(こうだ ようじ)

 防衛大卒。1972年海上自衛隊に入り、佐世保地方総監、自衛艦隊司令官など歴任し、2008年退官。09年から11年まで米ハーバード大アジアセンター上席研究員。

 


第176回世日クラブ講演会ご案内

$
0
0

テーマ

   子育てから生まれる絆~

    幼児が親心を育て、社会に絆が生まれる

 

講師:松居 和氏

 

 世日クラブ第176回定期講演会を12月18日(月)に開催いたします。今回は、音楽家で元埼玉教育委員会委員長の松居和氏を講師に招き、「子育てから生まれる絆~幼児が親心を育て、社会に絆が生まれる」と題して講演いただきます。

 「生まれてくる子供の3人に1人が未婚の母親から生まれてくる」という欧米の現状は、決して対岸の火事ではありません。家庭という社会の土台が崩壊し始めると、やがてシステムの改革だけでは、対応しきれなくなると松居氏は警鐘を鳴らしています。

 親の子供を育てる力が弱まった時、社会から忍耐力が薄れ、家庭崩壊が進んでいきます。いかにして親心を育て、社会の絆を生みだしていくかという子育ての原点を松居氏に語っていただきます。
 

<講師プロフィール>

まつい かず

 1954年東京都生まれ。慶応義塾大学哲学科からカリフォルニア州立大学(UCLA)民族芸術科に編入、卒業。尺八奏者として『太陽の帝国』をはじめ多数の米映画に参加。1988年、アメリカの学校教育の危機と家庭崩壊の現状を報告したビデオ『今、アメリカで』を制作。「先進国の家庭崩壊」「保育者の役割」について全国で講演を行い、日本の状況に警鐘を鳴らしている。東洋英和女学院短大講師なども務めた。著書に『家庭崩壊・学級崩壊・学校崩壊』『21世紀の子育て』『なぜ、わたしたちは0歳児を授かるのか』他。DVD作品に『シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち』他。

 

【演題】「子育てから生まれる絆~幼児が親心を育て、社会に絆が生まれる」
【講師】松居 和氏 (元埼玉県教育委員会委員長、音楽家)
【日時】平成29年12月18日(月)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒112‐0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター26階スカイホール
【会場に関する問い合わせ】03-5803-1100(財)文京アカデミー施設管理係
【交通案内】東京メトロ丸の内線、南北線の後楽園駅徒歩3分、都営地下鉄三田線、大江戸線の春日駅徒歩3分、JR中央・総武線の水道橋駅徒歩10分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

 

映画「悪魔祓い、聖なる儀式」を観る

$
0
0

 

 イタリアはシチリア島にあるカタルド神父の教会はミサを待つ人々が列をなしている。そこで行われるのが映画「エクソシスト」で有名になった悪魔祓いの儀式だ。映画の少女のように喉が膨らんだり、首が回転するなんてとこまではいかないが(あれはデフォルメだろうが)、白目剥いて激しく暴れたり、何かに乗り移られたように本人でない”誰か”が暴言を吐く。やはり傍目からは尋常ではないと映るが、キリスト信者の統合失調症との区別は定かではない。

 

 本作は「バチカン騒然!?現代のエクソシストの実情に迫った衝撃のドキュメンタリー」という触れ込みだ。

 

 新約聖書において、イエスは数多くの奇跡とともに、エクソシズムを行われた記述があり、十二弟子に対して、「汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった」(マタイ伝10章1節)。これがバチカンを頂点としたカソリックに今に伝わる悪魔祓いの秘儀の正統性につながる。ただ、イエスはそのことをパリサイ人らに逆手に取られ、悪霊のかしらベルゼブルによる業だと難癖つけられて、十字架に引かれゆかれたのだ。

 

 さて、カタルド神父は十字架や聖水を武器として信者に憑依した悪魔(サタン)と応酬し、聖句にしたがって、それを追い出す。ただ、神父を頼って列をなす人々の全てが、憑依現象に苛まれているというわけでなく、会社の給料が未払いだとか、親子関係がうまくいかないとか、事故を起こすなど不運続きだとか身近な生活にまつわるお悩み相談が数多く散見される。来るとこ間違ってね? と素人は思う。神父はイラっときそうなそんな信者の悩みにも懇切丁寧に信仰指導を交えて解決策を提示する。それが的確かどうかというより信者は神父を頼りコミュニケートすることで、癒しを得るのだ。さながら人生相談所と化した教会だが、一番大変なのはカタルド神父だ。ひっきりなしに信者が押しかけ、ひっきりなしにケータイが鳴る。ケータイ越しに神父が悪霊を叱るシーンも捉えているが、寝る時間があるのかと心配するくらいだ。悠長に礼拝の説教だけやってればいいというのとはわけが違う。むろんなにがしかの対価を受け取るわけでもない。エクソシストもつらいよ。

 

 今、世界的に悪魔祓いの需要が増え、「エクソシスト」養成講座まであるという。キリスト信者に限らず現代人は知らず知らずに精神を病んでいるといえよう。ITの進化による情報洪水や高速度社会、SNSに代表されるような顔の見えない無機質かつ海兵隊ばりの即応体制を四六時中要求される状況に疲れ切っているはずだ。電車に乗ってふと車内を見渡すと9割方の乗客はスマホ画面に目を落としている光景に気づくが、これはハッキリ中毒と言える。これも高度文明化との引き換えのコストなのか? それとも?

 

 わが国は先進国で唯一、15歳~34歳という若い世代で自殺が死因の第1位となっているという。これは由々しき事態だが、前述した彼らを取り巻く環境と無関係といえるだろうか。誰しも疲れ、悩み、癒しを求めている。

 

 日本にエクソシストは似合わない。次世代を担うべき若者を救うのは誰だ!?

第176回世日クラブ講演会が開催されました

$
0
0

世日クラブ 福祉の充実が親子関係崩す

元埼玉県教育委員長の松居和氏

 

 

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(代表=近藤譲良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が18日、都内で開かれ、元埼玉県教育委員会委員長の松居和氏が「子育てから生まれる絆」をテーマに講演した。

 

 松居氏は、どうして人類が人形というものを作ったか考えてほしいと述べた上で、「それは良い人間性を引き出すからであり、優しさや忍耐力、言葉のいらないコミュニケーション能力、祈ろうという思いなどだ」と、幼児が人間性を育てる鍵を握っていると強調した。

 

 また、安倍晋三首相が昨年、あと40万人分の保育の受け皿を用意すると発言したことを批判。40万人というのは3歳児未満の子供たちで、「最近、役場の人たちに聞くと0歳児の子供を預けるのを躊躇(ちゅうちょ)しない親が増えている」と、福祉が充実すればするほど親子関係が崩れていく危険性を指摘した。

 

 

 松居氏は、さらに「保育園では、子供たちを預かれば預かるほど、親が親らしさを失い、それが子供の不幸につながってゆく」として、最も自然な方法で人間社会に〝絆〟を生み出してきた子供との関係を確認し直す時が来ていると主張した。

 

 講演に先立ち、同クラブの近藤会長は「現在、日本において子育てができない家庭が増えており、また結婚をしない若者も増えている」と語り、家庭の重要性を再確認することが必要だと訴えた。

三橋貴明著「亡国の農協改革」(飛鳥新社)を読む

$
0
0

 

 

 本書は一貫して、食糧安全保障の観点で書かれている。安全保障というと、軍事力を中心とした国防を真っ先に思い浮かべるが、安全保障問題とは、国家の存立に関わる重大案件を指すとすれば、エネルギー安全保障もあれば、食糧安全保障もある。何せわが国のエネルギー自給率は原発の再稼働がままならないこともあって7%ほどとなっており、9割以上を海外からの輸入に頼っている。食糧自給率もよく言われるカロリーベースで39%であり、6割以上がやはり海外からの輸入頼みだ。

 

 本書で、元米大統領ブッシュJr.が自国の農業関係者を前に語った内容が紹介されている。いわく「食料自給ができない国を想像できるか。国際的圧力と危険にさらされた国だ」と。何あてつけてんだと言ってみても負け犬の遠吠え。米国は自国産食糧の外国への輸出を戦略的武器としてとらえ、徹底したシェア拡大を図っている。なお、米国はわが国とは比べものにならない広大な土地による生産性の高さに加え、「コメ、小麦、トウモロコシという穀物3品目について、約1兆円もの輸出補助金を投じている」という。それに対して、「農家の所得に占める『財政負担』が主要国の中で最も少ないのが、実は日本」と三橋氏。要は保護されていないというわけだ。輸入自由化に常に反対し、減反だ、何だと補助金漬けになって、既得権益の代表のように思われているイメージからは意外な指摘だが、三橋は主要先進国の農業への政府支出の国際比較の表を示している。それによれば、日本が15.6%なのに対して、米国は全体で26.4%、うち穀物農家には50%、フランスが90.2%、イギリスが95.2%、スイスが94.5%となっている。わが国を除く先進国は食糧安保思想が徹底しており、それは金に換えられないとの認識からだろう。なおかつ三橋は欧州の農業の多くが国境沿いに展開されているとし、農家が「国境の守り手」=防人の役目も担っていることを指摘しているがこれなどちょっと目からうろこだ。

 

 さて、そもそも農協とは、「相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的に組織された協同組合です。 この目的のために、JAは営農や生活の指導をするほか、生産資材・生活資材の共同購入や農畜産物の共同販売、貯金の受け入れ、農業生産資金や生活資金の貸し付け、農業生産や生活に必要な共同利用施設の設置、あるいは万一の場合に備える共済等の事業や活動を行っています」(JAホームページより)だそうだ。それに対して、株式会社は、利益の最大化を求める存在であり、であればこそ、利益が出ないと判断すれば、その事業から撤退することもあり得る前提。三橋は、「国民が『不買』することができない農産物の市場において、利益最大化を追求しない全農がメインプレーヤーの一つであるという事実が、日本国民にとってどれほど福音か」と口を酸っぱく説いている。その一例として、全農の子会社で、米国のニューオリンズに拠点をおき、飼料穀物等の集荷、管理、流通、輸出などの流通事業を担う「全農グレイン」を紹介。同社はポストハーベスト(収穫後の農産物に殺菌剤や防カビ剤を使用する)や遺伝子組み換え作物に対して、IPハンドリング=(農産物を、種子の選定から生産、流通、製造に至るまで、各段階で善良なる管理者の注意をもって分別管理され、その旨について、各段階ごとに証明書の添付が義務付けられている管理システム:weblio辞書より)を行っており、同社の存在ゆえに穀物メジャーであるカーギル社やADM社などもその実施を追随せざるをえず、彼らからすれば忌々しい存在だというのだ。なお農家や農協は全農から農薬や農耕具を買う義務はないことも三橋は繰り返し言及。

 

 その上で、2015年8月に成立し、昨年4月1日から施行された改正農協法について三橋は、結局のところ、株式会社化、全中の廃止、農業委員会委員の選任方法変更、農業生産法人の要件緩和という『絶対に覆らないゴール』があるのだと指摘。今回も農林族の抵抗もあり一足飛びにはその実現は叶わないが、いずれ押し切られるのは必至の情勢。TPPはトランプ政権誕生により、米国が抜けたかたちで出発しそうだが、旧TPPの交渉項目の中でサービス分野について、米国はJA共済の存在が参入障壁だと言い立て、その市場開放を迫った。自他ともに認める親ネオリベポチの読売は、25日の社説で、「半世紀ぶりの農政の転換を、確実に『稼げる農業』の実現につなげていきたい」などと意気込んでいる。平仄が合うとはこのことか。

 

 とまれ、日本の農業が目指す方向は一つだけだと三橋。すなわち、国民の食に対する需要を満たし、食料安全保障を維持しつつ美しい農村、美しい稲穂という日本国民の「原点」を維持することに尽きると。その大役を農協が担っている事実を本書を通じて知るべきだろう。

 

月刊ビューポイント2018年1月号発行しました

$
0
0

 

月刊ビューポイント2018年1月号の内容は以下のとおり

 

★フォトギャラリー

 長野祐也氏「出版を祝う会」

★国益ネット放送局「パトリオットTV」がスタート

  第1回 北朝鮮の核ミサイルは完成しているか?

   ゲスト:香田洋二(第41代自衛艦隊司令官)、キャスター:田村重信(拓殖大学桂太郎塾名誉フェロー)、アシスタント:岸本玲七

★ロシア革命から100年

  米大統領、共産主義犠牲者を追悼(編集委員・早川俊行)

★中国、多方面で北朝鮮に制裁

  合弁事業中断/派遣労働者の就労短縮/米国向けに履行アピールか

   (ソウル・上田勇実)

★高永喆の半島NOW

  軍事行動に自信持つ米国

★インタビューフォーカス

  文革時代に回帰する習主席

      楊健利(在米中国民主化運動家)

★ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・クリントン夫妻に露から資金

  ・露が中距離核戦力条約に違反

★政党機関紙購読

  埼玉県庁でも共産系に偏り

   教育委、5課が赤旗のみ/県作成文書で明らかに

★ワールド・スコープ

  ・ミス・ペルーのファイナリストたち

    深刻な女性への暴力を告発(サンパウロ・綾村悟)

  ・来春の露大統領選

    クレムリンが描くシナリオか(モスクワ支局)

  ・中国の侵略・覇権阻止でシンポ

    シーレーン防衛を日米台で(池永達夫)

  ・超高齢化社会バチカンの未来は?

    若返りの決め手は法王任期制導入か(ウィーン・小川敏)

  ・ロシアのウラン採掘企業買収で新証人

    深まる「クリントン財団」疑惑(ワシントン・岩城喜之)

  ・中国、香港で「国歌」工作

    習指導部が立法化に圧力(香港・深川耕治)

  ・北サイバー戦略 韓国で実態報告

    違法に外貨稼ぎ 情報統制も(ソウル・上田勇実)

★WHO′S WHO

  縁を引き寄せ多彩な活躍(歌手・女優 原めぐみ)

★沖縄から

  ・普天間航空基司令官 マーク・カーペス大佐に聞く

    オスプレイはアジア太平洋の平和の礎(聞き手・豊田剛)

  ・名古屋大学教育学部附属高

    平和学ぶ「研究旅行」30年(那覇・豊田剛)

★世日クラブ講演会

  「習近平新体制と東アジア危機」

    一帯一路は中国覇権への道(遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長)

★「縄文人の心」を読む

  土器・土偶は「再生のシンボル」 大島直行・日本考古学協会理事に聞く(聞き手・湯朝肇)

★映画「女を修理する男」監督に聞く

  「安価な武器」としての性暴力告発 ティエリー・ミシュエル(聞き手・池永達夫)

★防衛レーダー

  デュアルユースのすすめ(濱口和久)

★救国救世ビジョン―家庭再建講座4

  第一章 少子高齢化がもたらす日本の未来

       4.「非婚化・晩婚化」と「無縁社会」の到来

★山田寛の国際レーダー

 ・解放された女性たちのため 戦後70年談話を実践する時

 ・パリ協定の”常任理事国” 中国より日本が務めるべきだ

★教育 

  公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンの取り組み

    体罰を用いない子育てを広げよう(横田翠)

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html 

「賢者の風格は読書にあり」の藤原正彦節に勇気

$
0
0

 

 

 月刊誌WilLlL2月号にめずらしく「賢者の風格は読書にあり」の論稿を藤原正彦氏が寄せている。この人も古い人間の部類だが、昔からその発言内容は一貫している。このネット万能、デジタル化一辺倒、超高速度時代にあって、逆に地に足のついた氏のその真価が立ち現れている。

 

 現代の情報洪水の中で、手のひらのスマホをサクッと操作すれば、知りたい情報は即座に手に入れられることをもって事足れりと錯覚しているであろう世の風潮に藤原氏は、「『情報』を新聞、雑誌、本などを読むことで『知識』に格上げする。その上で、様々な分野の知識を統合し、体験や情緒を加え、『教養』にまで高めないと立派な価値観は生まれない」と一刀両断。なお、情報の「選択能力」こそが、人間とAI(人工知能)を区別する特性だとした上で、その選択能力は、読書によって培われた教養なしに手に入れることはできないと説き、さらに日本の政治家、官僚、経済人に大局観が欠けているのは、読書をしていないからとこき下ろしている。

 

 加えて藤原氏は、その大局観たるものはリーダーだけが持っていればすむ問題ではなく、現代においては一般国民にも求められるという。ところで、国を統合する最良の手段は、上杉鷹山のような天才的リーダーによる独裁だと藤原氏は喝破。プラトンの説いた哲人政治以来、人類の理想の統治形態はそこにあったのだ。だが、実際は独裁者といえば、スターリンや毛沢東や金正恩など哲人とは似ても似つかない悪逆非道のならず者ばかり。これを極力排除する手段として今、民主主義が採用されているのだと。英元首相のチャーチルも民主主義は最悪の政治制度だと言い、続けてこれまでのすべての制度を別にすればと付け加えた。よってこの民主主義が機能するためには、大局観を持った国民が大局観を持った政治家を選ぶしかないということに尽きるのだ。

 

 最後に藤原氏は、「読書離れが世界的傾向として進んでも、日本人だけは自信をもって我が道を行き、本を読み続ければいいのです」と結んでいる。

 

 さて世界日報は統一運動というムーブメントに属する。むろん機関紙ではなく、一般紙として発刊することは創刊提唱者からの方針である。だが、このムーブメント内の購読率は2割前後という状況。理由は様々あれど、大きいのは新聞など読む習慣がないこと。そっから類推して本なんてさらに読もうはずもない。当方はムーブメント内でレベル高いなと思う人と出会ったことなどついぞない。みんな目の前のことで精いっぱいで、教養など必要性の微塵も感じていない。これでは発展はあり得ない。年末年始、テレビは下劣な電波無駄遣いなだけのお笑いバカ番組が目白押しだ。そんなもんに目もくれず、ネットもそこそこに、”うちは紙新聞情報がベースですが、何か?”ときっぱり言える人間が特に若い世代に増えれば希望があるけどなぁ。夢のまた夢か。

グーグルの未来学者レイ・カーツワイル氏の自論を聞く

$
0
0

 NHK Eテレ29日放送の「人間てナンだ 超AI入門」にグーグルの技術部門のデイレクターで、未来学者のレイ・カーツワイル氏が出演し、インタビュー形式で自論を述べた。これと対比するかたちで、言語学者のノーム・チョムスキーと理論物理学者のフリーマン・ダイソンのインタビュー映像も並行して流した。彼の自論に迫る。

 

 カーツワイル氏はAIの知能が人間を超える意味を持つ「シンギュラリティー」という言葉の提唱者として知られ、その実現が2045年とも予言している。まずカーツワイル氏はその2045年には人間の知能は10億倍になるはずだという。そしてAIの重要な応用先は免疫の強化だと主張。そして病気や老化を根絶するためのシナリオはもう見通せているとして、それは医療用のナノロボットの導入だという。具体的には計算能力とコミュニケーション能力を備えた微少なロボットを大量に血液中に送り込み、健康を保つのだそうだ。

 

 近年すさまじい勢いで進化している仮想現実(VR)の世界。ただ、今現在それは特殊なメガネやその他の装置を使用することで体験できるが、カーツワイル氏は2030年ごろにはそれが神経系の中で行われるようになるといい、なおかつそれは現実と寸分も違わない世界が脳内に実現されると述べた。そして拡張現実(AR)の方はもう日常的になるだろうとも。

 

 カーツワイル氏はもっとも重要なのは、脳の外側にある思考を担う部分をインターネットに直接つなぐことであり、そうすることで思考は拡張されるだろうと。今はまだ脳からインターネットに直接アクセスできないが、いずれそれができるようになる。そうなれば毎日われわれがやっているような検索や翻訳でも役立つが、より大事なのは思考の規模を拡大できることだと論じた。

 

 カーツワイル氏は脳がどのように知能を生みだしているかについて、思考を担う部分には約100個の神経細胞のユニットが3億個ほどある。それぞれのユニットに特有の機能があり、それが積み重なっている。これが思考だと解説。約200万年前に、脳の拡大が起こった。脳が大きくなったことで階層構造が増え、それが言語の誕生につながり、芸術や音楽がそれに続いた。どんなに原始的な文化でも必ず音楽が存在する。他の動物ではありえないとした上で、われわれはまた同じことをする時期にきていると発言。それは脳の最上層をインターネットにつなげるのだという。そうすればインターネットは人工的な脳として機能することになると。新たに脳が拡大するのだと。さらに2030年代には生物としての脳と人工的な脳が融合するだろうと予言。それによって脳の拡張に限界がなくなるのだという。

 

 ここで、インタビュアーが鋭い質問を彼に投げかけた。「知能」の定義はまだ確立していない。分子レべルまで脳を真似ても「知能」が自然に立ち現れると考えるかと。「感情」「官能性」「愛着」「悲哀」といったものもそうかと。

 

 カーツワイル氏は「知能」を「限られた資源を用いて問題を解決する能力」と定義。そのうえで、人間にとっての限られた資源の一つは「時間」だと。最適なチェスの指し手を100万年後に見つけてもそれは知能とは言えない。短時間で問題を解決できる能力こそ「知能」といえるのだと。AIに囲碁に関するすべてのデータを入力しても強くならなかったが、「自分で自分と戦わせてみたら?」と自己学習を試したところ、どんどん腕を上げ、最終的に囲碁の名人を破った。まだ初期段階だが、かつて人間にしかできなかったことを次々とこなしている。タスクの幅がどんどん広がっていると。

 

 さらにインタビュアーが畳みかける。記憶の研究によると人間の記憶がいかに脆いかがわかると。なぜそのように進化してきたか。可能性の一つ目は、「忘れる」ことが生存に役立ってきたというもの。痛みやトラウマ、ストレスなどを忘れることが種の存続に必要だった。可能性の二つ目は記憶のあいまいさが創造性に関係していること。記憶があいまいだからこそ、アイデアをつなぎ合わせ新しいことを思いつく。創造性が種の存続に有利に働いたため、記憶力が弱いままに保たれてきたのか。もしそうだとすればAIの助けによって記憶が膨大でクリアになったら創造性が犠牲になってしまうのでは?と。

 

 カーツワイル氏の答えは、われわれが物忘れする一つの理由は能力の限界だと。コンピュータもすべてを完全に記憶できるわけでなく、取捨選択している。コンピュータは情報収集だけでなく、自動車の自動運転でもわかるようにプライオリティを判断しているのだとした。

 

 カーツワイル氏はわれわれはすでに部分的にテクノロジー的存在になっているという。インターネットのつながりや個人情報、Eメール、写真などこれらすべてが私自身を作り上げていると。そしてわれわれはすでに生物と無生物が合わさった存在だとしたうえで、無生物的部分は指数関数的に成長を遂げているのに、生物的部分はちっとも変わらないと嘆く。カーツワイル氏のシナリオでは先述のナノロボットが血球ぐらいの大きさになり、何十億という数で体内に入り、体を健康に保ち、仮想現実や拡張現実を見せてくれて知能は飛躍的に伸びていくというもの。2030年代は人間は部分的にはまだ生物的だが、その後10年もしないうちに無生物的部分が何千倍も成長するだろうと。2045年には体のほとんどが無生物的なものになるだろう。最終的に生物的な部分は無意味なくらいに小さくなってしまう。無生物的部分がはるかに重要になるからだと。無生物的機能が身体を抑制できるようになる。これはさらなる寿命延長につながる。無生物的部分はバックアップを作っておけるからだと。最終的にはヒトは不死の存在になるだろう。もはや一つの肉体に閉じ込められなくなる。そしてわれわれは生物でなくなるだろうと驚くべき観測を述べた。

 

 最後にインタビュアーが人生の意味は何と考えるか質問。

 

 カーツワイル氏は自己増殖を繰り返し進化に向かうのが生命だと思うと述べた上で、人生の目的はあくまで「超越」だと。ヒトは自然の創造物だが、それがテクノロジーを生み出し、さらに音楽、芸術、文学、科学…それらを生み出すことは新たな「超越」を行うこと。これが人生の目的だと結論した。

 

 なお番組に登場した二人の識者の反応は。ノーム・チョムスキーはカーツワイル氏の「シンギュラリティ」の主張に対して、何の根拠もないファンタジーだと一蹴。ダイソン氏は科学は本質的に予想できないものだとして、インターネットの世界も予測できないと。インターネットがスーパーオーガニズム(超生命体)になる可能性もあるし、それに人間が隷属させられる日が突然くるかもしれないと述べる一方で、確かなのはこの世に心や精神が存在すること。そしてそれらがどのように生まれるかはわからない。これは完全なるミステリーだとした。チョムスキー氏は「シンギュラリティ」については辛らつだったが、地球温暖化については過去20万年における人類最大の危機だとして、それに冷淡な態度の現米政府に怒りをあらわにしていたが、この点はカーツワイル氏と共闘できそうだ。もっともその方法論についてチョムスキー氏からは語られず、カーツワイル氏は、これから20年以内に人間が必要とするエネルギーのすべてを太陽光発電で賄うことができるだろうと楽観論を述べた。これまで折角、積み上げられてきた科学技術の集積物としての核の平和利用の有効性にはタッチしない。チョムスキー氏など反核は煽るが。

 

 ま、これでほぼレイ・カーツワイルの正体がバレた。番組の司会者である東大大学院の特任准教授氏はカーツワイル氏が説く人類の未来が大変楽しみというが、本気かい? カーツワイル氏の主張がきたるべき人類の未来だとすれば、当方はサヨナラだ。むろんその頃、もうこの世にはいまいが。彼の主張を聞いて、吐き気催す人は一人や二人ではないと思う。彼はまず美と醜の区別がつかないだろう。かつて評論家の福田和也は尿療法(自分のおしっこを飲む)について、そんなことをしてまで長生きしたくないと言ったが、その是非は別としてこの感覚が彼にはわからないだろう。また彼は古来からの不老不死神話に取りつかれ、科学万能主義でこれを解決してみせると意気込んでいる。はっきり言えば、それはできないし、またする必要もない。戦後から比較しても近年寿命が著しく伸びたというのは、十分な食物や医療技術の進歩が社会の隅々までいきわたってきたからに外ならない。もし不死となり、なおかつシャープでリアルな記憶が残り続けるとすれば、人は発狂するだろう。インタビュアーが投げかけた通りだ。人は生まれて、幼、少、青、壮、老の各段階を生き、そして土に還る。これを継代を通して繰り返すことで永遠性と普遍性を持つ。すべての生物はそうなっている。生と死は他律的で避けがたいもの。限りある命だから、その価値が尊いのだ。なぜ生きるのか、そして死とは何でその先はどうなっているか。それは哲学や宗教の範疇だが、今一度われわれはその価値観を問い直す必要がありそうだと番組を見てつくづく思う。

 

 カーツワイル氏は極度に発達した脳、その一器官のみが進化の頂点に立つ人間存在を凝縮させていると解するようで、脳から精神作用も生じているとの認識のようだ。だが、「統一思想は、心と脳は相対的な関係にあり、両者に先後関係はないと見る。心と脳が授受作用を行うときに、その結果として現れるのが精神作用(意識現象)なのである」(李相軒著「共産主義の終焉」) と理解すれば、 「心が客観的に存在することがこれほど確実であるにもかかわらず、それを目に見える脳に従属させて、脳の機能、あるいは所産だと見るのは、五官で観測できるものだけで理論を構築しようとする上述の科学の生んだ習慣、あるいは目に見えないもの(精神)は目に見えるもの(物質)から第二次的に派生したとする唯物論の独断から来るものです」(野村健二著「『創世記』」の科学」世界日報社)と断じざるを得ない。そしてやはりというべきか、カーツワイル氏が語る内容はすべて個人としてのことのみで、親子や配偶者など家族の存在はただの一片も出てこない。彼の価値観の範疇外なのだろう。不死身で全知全能な自由人=アンドロイド? これが彼が追い求める理想の姿か。この人がグーグルの技術部門を担い、AI研究の世界的権威と崇められている現状をとくと理解すべきだろう。

 

 

 

 

 


毎年恒例の皇居一般参賀に参列してきました

$
0
0

 

 新年、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いしたします。

 

 

 昨日2日に、毎年恒例の皇居一般参賀に参列してまいりました。当方はすこぶる体調が悪く、今年は止めとこうかと思ったのですが、家内に背中を押され、皇居へ向かいました。運よく天候は日本晴れで、太陽の光が温かく、昨年よりずっと過ごしやすかった。

 

 

 昨年、天皇陛下のご退位(ご譲位)の日取りも決まり、次の平成31年と合わせて今上陛下の天皇としてのお出ましは2回を残すのみということで、平成の御代のうちに一度でもという方も多かったろうと思われます。参賀者の数は平成の最多記録となる12万6720人(宮内庁発表)だったようです。なお、秋篠宮家の長女眞子内親王殿下もかねて報道のあった小室圭さんと年内ご結婚になり、皇室を離れられるということで、今回が最後の参賀でのお姿だということもあったでしょう。

 

 

 当方が参列した第一回目におでましになられた皇族は、天皇皇后両陛下をはじめ、皇太子殿下、雅子妃殿下、秋篠宮親王殿下、紀子妃殿下、眞子内親王殿下、常陸宮正仁親王殿下、三笠宮妃百合子殿下、寛仁親王妃信子殿下、彬子女王殿下、高円宮妃久子殿下、永子女王殿下、絢子女王殿下の計14方(肝心の皇太子殿下のお写真は当方の位置からはガラス枠が真ん前で捉えられていません。無念)。天皇皇后両陛下はもとより、雅子妃殿下も明るく振舞われ、とてもお元気そうで何よりでした。一昨年薨去された三笠宮崇仁親王殿下のおきさきである94歳の百合子妃殿下もしっかりとしておられた。

 

 

 さて、今年は平成30年。そして、この平成は来年の4月30日をもって終わり、5月1日には新天皇が即位される。いよいよ新しい時代をわが国は迎えることとなる。恙なくその日が来るように願うが、一方で、皇族の減少の問題が取りざたされ、今回の皇室典範特例法の議論の中でもまたぞろ出てきたように、女性宮家創設などという安易な方法でわが国の伝統に背き、重大な禍根を残さぬよう心ある政治家は気を引き締めてもらいたい。

 

 

 ともかくも皇室の安泰こそ、わが国の礎。新年にあたってその弥栄を天皇皇后両陛下はじめ皇族方と同じ空のもとでともに祈ることのできた幸いを有難く噛み締めてまいりました。

 

映画「オリエント急行殺人事件」を観る

$
0
0

 

 

 アガサ・クリスティーの手になる世界的なベストセラー小説の映画化。74年にはイングリッド・バーグマンやショーン・コネリーなどを擁した豪華キャストですでに作品となっている。今回はリメイクということになるが、なぜ今、「オリエント急行殺人事件」なのか。本作の製作には名匠リドリー・スコットが名を連ねているが、クリスティーファンの彼が長年の親友であり、直近では、「ローガン」や「ブレードランナー2049」を手掛けた脚本家のマイケル・グリーンに依頼し、二人が「クリスティー作品の魂を変えることなく、現代の世界に蘇らせたい」という思いで一致したという。なおかつアガサ・クリスティーのひ孫にあたるジェームズ・プリチャードも製作に参加している。

 

 物語は、まずエルサレムの教会で起きた窃盗事件の解決を依頼された名探偵エルキュール・ポアロが嘆きの壁を前に集まった聴衆が見守る中、ということは一触即発の事態の可能性の中、鮮やかに謎を解き明かし解決してみせる。そのまま当地での休暇へとなだれ込もうとしたのも束の間、ポアロのもとにイギリスから依頼が。急遽彼は、イスタンブールとパリを結ぶヨーロッパ横断の豪華寝台列車「オリエント急行」に飛び乗ることに。そこには性別や年齢や職業はもとより、国籍や人種など素性の違う乗客たちがいた。一期一会ではないが、そんな見ず知らずの人間が一つ屋根の列車で同じ目的に向かって数日間生活を共にし、それが終わればもう二度と会うこともないというシチュエーションもこの旅の醍醐味だという。

 

 ランチタイムが過ぎたころ、食堂車でポアロが一人になったときを見計らい、美術商であるラチェットが近づき、自身の警護を依頼してきた。なんでも、脅迫されているのだという。彼の怪しい仕事内容や態度が気に入らないポアロはあっさり断った。

 

 順調に走り続けていた列車だったが、みなが寝静まる深夜に起きた雪崩が先頭車両を直撃し脱線、後続の車両は高架橋の上で立往生を余儀なくされた。そしてあろうことか、くだんの美術商のラチェットが血まみれの遺体で発見される。彼は何者かに刺殺されていた。ポアロはこの密室殺人事件の捜査を手掛けることになった。ラチェットの遺体は刃物で12か所もメッタ刺しされており、事件現場である彼の部屋には実に多くの物証が残されていた。その犯人は乗客の中に必ずいる。乗客全員が容疑者である。だがポアロをもってしても捜査は暗礁に乗り上げてしまう。そんな中、事件現場で見つかった燃えかすから判明したのは、ラチェットが世にも有名な「アームストロング誘拐事件」にかかわっていたという事実だった。

 

 主演エルキュール・ポアロにケネス・ブラナー。彼は本作の監督兼任だ。宣教師ピラール・エストラパドスにペネロペ・クルス。オーストリア人のゲアハルト・ハードマン教授にウィレム・デフォー。ロシアの貴族であるドラゴミロフ侯爵夫人にジュディ・デンチ。殺害される富豪の美術商エドワード・ラチェットにジョニー・デップ。フェロモン巻き散らかしの米国人ハバード夫人にミッシェル・ファイファー。家庭教師メアリ・デブナムに「スターウォーズ」最新シリーズのヒロイン、テイジー・リドリーなどこの豪華キャスティングだけでも観に行く価値ありとも思えるが、目にも鮮やかなロケーションや列車の迫力がビンビンに伝わる抜群のカメラワーク。ビッグネームというだけにとどまらず、役者の演技にも思わず目を奪われる。音楽も上等で、エンドロールの字幕がタイトル同様、青白い蛍光色というのも惹きつけられた。ラストは罪と罰について鑑賞者に深く考えさせる設定になっているが、泣けました。とにかく上質なミステリー。

映画「キングスマン ゴールデンサークル」を観る

$
0
0

 

 

 「キングスマン」―表の顔は英ロンドンの高級テーラーだが、その実態は世界最強の民間スパイ機関。所属するエージェントたちはパリッと高級スーツを着こなすなどその身だしなみは勿論、ディナーのマナーはじめ立ち居振る舞いに至るまで英国紳士・淑女を体現しているが、一皮めくれば、ギミック満載のガジェットを駆使し“キレッキレ”のアクションで敵をぶちのめす。

 

 前作では17年前に亡くなった父が実はキングスマン候補生であり、その死は彼の同僚であるハリー(コリン・ファース)を助けるためだったということを知らされた主人公エグジー(ダロン・エガートン)が一念発起し、ハリーの薫陶を受けながらエージェントを目指すことに。過酷な試験を乗り越え、晴れてキングスマンのエージェントとなったエグジーだったが、自然環境保護を絶対視し、人類の大量抹殺を目論むIT企業家であるヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)を1人で追っていたハリーは彼に射殺されてしまう。

 

 キングスマンの内部にまでヴァレンタインの魔の手が及ぶに至って、エグジーは指導教官のマーリン(マーク・ストロング)とともにヴァレンタインの秘密基地を突き止め、総攻撃を仕掛ける。そして見事ハリーの敵討ちを果たすとともに、世界を危機から救ったのだった。

 

 さて、本作では冒頭、エグジーと同じ候補生だったがヴァレンタインとともに死んだはずのチャーリーが襲いかかってくる。しかもその右腕は強力なロボットアームに取り換えられていた。彼は世界的麻薬組織「ゴールデンサークル」の一味だった。そしてこの組織のボスであるポピー(ジュリアン・ムーア)のミサイル攻撃によってキングスマンは壊滅させられてしまう。

 

 ポピーは自らが独占する麻薬密売市場に死に至るウィルスを混入し、その解毒剤と引き換えにドラッグの合法化を米政府に要求。カンボジアの奥地に潜伏する状態から一気に表舞台に立ちたいという単なる自己顕示欲からだった。違法のドラッグ使用者など自業自得だと思いきや、意外や意外、フツ―の市民や思いがけない人物も手を染めているという事態が判明。刻一刻タイムリミットが迫るなか、生き残ったエグジーとマーリンはキングスマンと同盟組織である米国のステーツマンと手を組み、なぜか復活したハリーとともにゴールデンサークルに最後の戦いを挑む。

 

 冒頭のアクションシーンは圧巻。ただそれまで。エルトン・ジョンまで担ぎ出して豪華キャスティングを実現するも脚本の詰めが甘く、ストーリーは手垢にまみれたB級そのもの。英国のキングスマンと米国のステーツマンが共同して悪に立ち向かう設定とは裏腹に、エロとグロが鼻を衝く。前作に続き、もうちょっと真面目に徹すれば、それなりに度見栄えがする映画になるけどなと思ってしまうが、どこ吹く風。なおエンディングからして第3弾が規定路線で、今度はチャニング・テイタムとハル・ベリーが活躍するのが容易に想像がつくけれども、ま、目くじら立ててもしょうがない。すべて監督マシュー・ヴォーンの手のひらで転がされてるだけ。それが不快か快感かは、あなた次第です。

月刊ビューポイント2月号発行しました

$
0
0

 

月刊ビューポイント2月号の内容は以下のとおりです。

 

◇フォトギャラリー

  ・琉球台湾模範女性表彰祝賀大会

  ・プロゴルファー西山ゆかり選手「祝う会」

 

◇文明史の中の明治維新(新春座談会)

  出席者…小堀桂一郎(東大名誉教授)

        竹田恒泰(作家)

        浅野和生(平成国際大学教授)

     司会=藤橋進(世界日報編集局長)

  <三要素が日本の目覚め用意/憲法と教育勅語でバランス/歴史主義に傾いた森鴎外/お雇い外国人を使いこなす/歴史主義に基づく帝国憲法/維新史に欠落した孝明天皇/グローバリズムの欠陥露呈>

 

◇待ったなし!憲法改正(新春政治座談会)

  出席者…中谷元(自民党憲法改正推進本部長代理)

        細野豪志(希望の党憲法調査会長)

        馬場伸幸(日本維新の会幹事長)

     司会=早川一郎(世界日報編集局長代理・政治部長)

  与野党で改憲発議目指せ

  <長島政調会長(希望)の提案議論も/幹事懇を中心に提案を築く/私権制限必要なら踏み込め/解散中の対応早急に議論を/現実的な議論通じ取り組め/国民の観点で発議項目絞れ>

 

◇トランプvsリベラルメディア(ワシントン・岩城喜之)

 ・相次ぐ誤報の批判の嵐

 ・政治記者の9割民主党支持

 ・信頼低下、民主主義の危機

 ・新聞以上に偏向著しいTV

 ・「社会の分断」助長する報道

 

◇欧米で広がる懸念、閉鎖の事例も

   中国の「孔子学院」(編集委員・早川俊行)

 

◇インサイト2018

  ・中央アジアのテロ対策

    不可欠の水資源争い解決(田中哲二・中央アジア・コーカサス研究所所長)

  ・哲学ある男女平等政策を

    (大泉博子・元厚生省児童家庭局企画課長、元衆議院議員)

 

◇軍配は龍馬ではなく小五郎?

   幕末土佐藩邸の剣術大会(社会部・石井孝秀)

 

◇高永喆の半島NOW

   文政権が招いた外交参事

 

◇ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・企業買収で米に侵入する中国

  ・核戦力の増強進めるロシア

 

◇赤旗問題 

  ・区庁舎内で政党機関紙配達

    世田谷区民が禁止求め陳情

  ・「赤旗」突出 本紙(世界日報)が調査

    全国都道府県庁の政党機関紙購読

 

◇ワールド・スコープ

  ・韓国慰安婦本訴訟

    2審逆転有罪は「世論迎合」(ソウル・上田勇実)

  ・北と取引の中国金融機関への制裁

    ホワイトハウス内で意見対立(ワシントン・岩城喜之)

 

◇WHO'S WHOひと

  鑿(のみ)で刻んだ激情の一瞬

    彫刻家 親松英治

 

◇沖縄から

  ・那覇市が進める新市民会館建設

    議会と市民が「待った」(那覇・豊田剛)

  ・普天間第二小に米軍ヘリ窓枠落下

    移設遅れで市民から不満噴出(同)

 

◇インタビュー

  ・くにたちふれあいコンサート

    胡桃を味わうため固い殻を割る(声楽家・遠藤喜美子

  ・文化としてのそろばん

    日本をそろばんの発信地に(白井そろばん博物館館長・石戸謙一)

 

◇世日クラブ講演会

   子育てから生まれる絆

     子供が良い人間性を引き出す(松居和・元埼玉県教育委員会委員長)

 

◇防衛レーダー

  迫るバイオテロの危機(濱口和久

 

◇救国救世ビジョン―家庭再建講座 5

   第一章 少子高齢化がもたらす日本の未来

     5.「家族の消失」が高齢者を追い詰める

 

◇山田寛の国際レーダー

  ・ロヒンギャ迫害非難  棄権してはリードできない

  ・原爆の子の像  世界に広げたい

 

◇教育

  新しい社会的養育ビジョンの今後

    施設養護から家庭的養育へ転換(横田翠)

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html 

 

 

 

第177回世日クラブ講演会ご案内

$
0
0

テーマ

北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方

 

講師:古川勝久氏

 

  世日クラブの第177回定期講演会を2月19日(月)に開催いたします。今回は、国連北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員の古川勝久氏を講師に招き、「北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方」と題して講演いただきます。

 国連安保理は昨年9月、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する制裁決議を採択しました。しかし、それ以降も北朝鮮は核・ミサイル開発の手を緩めていません。果たして制裁は効果を挙げているのか、鍵を握る中国の本音は、「抜け穴」の実態はどうなっているのかなど、国連北朝鮮制裁委員会の専門家パネル委員を務めた古川勝久氏に北朝鮮制裁の現状について語ってもらい、さらに核・ミサイル問題の行方を展望していただきます。

 

<講師プロフィール>

ふるかわ かつひさ

 1966年シンガポール生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。米ハーバード大ケネディ行政大学院で修士号、政策研究大学院大で博士号を取得。米国アメリカンエンタープライズ研究所アジア研究部勤務などを経て、2011~16年まで国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネル委員。新書に『北朝鮮 核の資金源 「国連捜査」秘録』(新潮社)。
 

【演題】「北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方」
【講師】古川勝久氏 (国連北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員)
【日時】平成30年2月19日(月)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒112‐0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター26階スカイホール
【会場に関する問い合わせ】03-5803-1100(財)文京アカデミー施設管理係
【交通案内】東京メトロ丸の内線、南北線の後楽園駅徒歩3分、都営地下鉄三田線、大江戸線の春日駅徒歩3分、JR中央・総武線の水道橋駅徒歩10分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

映画「祈りの幕が下りる時」を観る

$
0
0

 

 加賀恭一郎――日本橋署の刑事、人の心を読む天才。これまで人の心の縺れにまつわる難事件を次々と解決に導いてきたこの男が今回挑むのは、自分自身の家族の秘密に関わる事件。

 

 加賀(阿部寛)の母・百合子(伊藤蘭)は彼が幼い時分に失踪したが、なぜそうならなければならなかったのか。そしてその後彼女はどこでどのように暮らし、加賀に対してどのような思いで亡くなったのか。片や昔気質の刑事だった父・隆正(山崎努)は家庭を顧みなかった。それが母を苦しめついには失踪へと駆り立てたと加賀は父を怨んでいる。だが隆正は多くを語らない。母の失踪は自分の責任だと認めながら、今際の際にあっては加賀に「俺を看取るな」と諭した。両親から突き放されたような加賀の立場。

 

 だが、隆正を看取った看護婦金森(田中麗奈)は、隆正の加賀に対する思いは加賀が思い込んでいるような冷淡なものではなかったという。なお加賀にしてもそこまで怨んだはずの父親と同じ刑事の道を選んだ理由は何だったのか。

 

 物語は、荒川沿いのアパートで女性の腐乱死体が見つかるところから始まる。その捜査線上に浮上した元女優浅井博美。腐乱死体は博美の中学時代の同級生だった。この事件を追っていた加賀のいとこである警視庁の刑事松宮(溝端淳平)は浅居博美の自宅で彼女と向き合った際、写真立てに加賀の姿を発見する。

 

 女優として身を起こし、今では日本橋明治座の舞台演出家として活躍する浅居博美(松島奈々子)。一見華々しく、非の打ちどころのない彼女の経歴だが、実は悲惨な過去があった。その幼少期、母親は外に男を作り、おまけに夫名義で大借金までこさえて家を出た。残された父娘は厳しい借金の取り立てに悩み、たまりかねて夜逃げ。その後、博美の父親は自殺し、博美は施設に預けられた。

 

 ともに暗い過去を抱えた加賀と浅居だが、以前、加賀が講師を務める日本橋署主宰の剣道教室に浅居が役者の卵たちを連れてきて、二人は顔を合わせていた。松宮が目にしたのはその時の写真だったのだ。二人の出会いは運命的だったのか。複雑に絡み合う人間模様。事件の真相が明らかになるにつれ、浮かび上がる加賀の母の影。そして再び、運命に引き寄せられるように加賀は浅居と対峙することになる。 

第177回 世日クラブ「北朝鮮制裁法」の制定を/古川勝久氏 講演

$
0
0

世日クラブ 「北朝鮮制裁法」の制定を
国連・北朝鮮制裁委元専門家パネル委員 古川勝久氏

〔2018年2月20日付け世界日報より〕

 世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良〈ゆずる〉・近藤プランニングス代表取締役)の定期講演会が19日、都内で開かれ、2016年4月まで4年半にわたり国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会の専門家パネル委員として、加盟国による制裁の履行状況を監視してきた古川勝久氏が「北朝鮮制裁と核・ミサイル問題の行方」をテーマに講演した。

 古川氏は、北朝鮮が国連制裁を科されながらもさまざまな物資を入手している具体的な事例を紹介しながら、「北朝鮮は孤立していない。世界中に取引相手や協力者がいる」と指摘。「彼らは迂回(うかい)拠点を香港、大連、シンガポールに設けて、普通に北朝鮮とのビジネスを続けていた」と、制裁が機能していない実態を明らかにした。

 古川氏が行った国連の捜査で、北朝鮮に協力するネットワークが日本国内でも暗躍していることが判明したが、「日本国内にはそれを取り締まる法律がない」と指摘。日本人エージェントが培ったノウハウは、中国人エージェントらに引き継がれているとし、「国連制裁を履行していない中国とロシアは由々しき問題だ。だが、その起点は日本だ」と、日本にも大きな責任があるとの見方を示した。

 古川氏は、国連制裁の履行に必要な措置を怠ってきた日本政府の対応を批判し、「本当に史上最大の圧力を考えるのであれば、北朝鮮制裁法の制定を含め、具体的なアクションを法律レベルで考えていく必要がある」と主張した。

 講演に先立ちあいさつした世日クラブの近藤会長は、北朝鮮の核・ミサイル開発が「危険な水域」に入っているとし、日本は憲法9条改正を含め「自分の国は自分の力で守る精神」が必要だと訴えた。
 


日テレ「世界の果てまでイッテQ」の下劣

$
0
0

 日テレ2月18日放送の「世界の果てまでイッテQ」は、視聴率至上主義が暴走を招く典型だったろう。看板タレントのイモトが南極の最高峰の登山に挑むという内容だったが、その過程で、登山のアドバイザーの男性がイモトのリクエストに応えるかたちでパンツ(ボクサータイプ)一丁にさせられ、局部をドアップ。そして、中身がどんくらいの大きさなのかなどとして、パンツの上から中身を動かしてそのもっこりしたかたちやサイズがさも手にとるようにわかるように映していた。

 

 当方は見るとはなしにだったが、一緒に見ていた子供らはゲラゲラ笑っていた。同局としてはこれが狙いだったろう。しかしいやしくも公共の電波を使って、しかも一家団欒のゴールデン枠で流す映像か。当方は怒りと吐き気を覚えたが、これは紛う方なきセクハラだろう。これを実際に人に向けてやったら逮捕を免れまい。公然わいせつに当たるはずだ。ではテレビ映像ならいいのか。バラエティだったらいいのか。否、イモトがやるからお笑いとして受け流すべきなのか。では女にもやらせるか。幼児だったらどうか。それはダメだけどおっさんなら可か。ふざけんな完全な差別だろ!! 

 

 日ごろはニュースやワイドショーなどで、痴漢やセクハラ事件などが持ち上がれば、待ってましたと全き善人ヅラ全開にして、これでもか犯人を非難してみせるくせに、いざ自分が当事者となる番が来たら、外から指図はご無用とやる。神のごとき高みから、権力を笠に着てすごんで見せる同局の姿勢に人権も倫理道徳も美醜の分別も鴻毛のごとく吹き飛ばされてしまっているといえる。

 

 日テレの背後には1000万読者を豪語する読売新聞が控えるが、親会社が紳士然としたところで、外ではチンピラに暴れまくらせるのに似ている。同紙も恥というものを知らぬらしい。

 

 日テレは昨年末、ダウンタウンの「絶対に笑ってはいけない」で浜田雅功がエディ・マーフィーをまねて顔面を黒塗りして問題となったが、それと意図せぬ黒塗りが問題というより、愚劣極まる電波浪費の番組内容にこそ矛先が向けられるべきだ。

 

 日テレも読売もイスラム国や北朝鮮の金正恩の独裁や人権蹂躙を非難するはずだ。だが、先のイッテQなどはっきり言ってイスラム国も金正恩も眉をひそめるよ。視聴率に目が眩んでそれほどの酷さだということをわかろうともしないのだ。そしていきおい自分も独裁と化している。

 

 もう一度言う、先の映像を子供に見せれば児童虐待だ。当方はすでに日テレの視聴者相談室に連絡済みだが、電話口に出た担当女性の木で鼻をくくった対応に、これは止められないなと実感した。だったら見なきゃいいじゃないと言わんばかりの態度である。

 

 とまれ、一番の問題はこの醜悪愚劣な映像を子供とともにゲラゲラ笑って見ているオトナの姿勢なのだ。

月刊ビューポイント3月号発行しました

$
0
0

 

 

月刊ビューポイント3月号の内容は以下のとうり

 

◇フォトギャラリー

  アマゾン河口、常夏のベレン

◇危機のアジア――識者に聞く

  〇ジェームズ・ショフ(カーネギー国際平和財団上級研究員)

    1.トランプ外交―一貫性なく不確実性続く

    2.中朝の脅威―憲法9条改正で対応を

  〇ジョセフ・デトラニ(元米朝鮮半島和平担当大使)

    3.どう止める北の核―2次的制裁の対象広げよ

  〇川島博之(東京大学大学院准教授)

    4.中国崩壊のシナリオ―不動産バブル破裂は必至

    5.中国の政治改革―原動力は金回りの悪化か

  〇千英宇(元韓国青瓦台外交安保首席補佐官)

    6.南北対話再開―北の術中にはまる恐れも

    7.米政権の対北政策―正恩氏に知略争いで敗れる

  〇陳昌洙(韓国世宗研究所所長)

    8.日韓慰安婦合意―新方針は弾劾デモの延長線

  〇茅原郁夫(拓殖大学名誉教授)

    9.中国強軍体制―近代化の足縛る「党の私兵」

   10.海洋国家目指す中国―大陸国家の発送が呪縛に

◇高永喆の半島NOW

   北朝鮮と”無限核競争”

◇トップニュース

   ・北朝鮮高官、露との首脳会談断る

     「米大統領以外意味ない」(ソウル・上田勇実

   ・贅沢な内装、厚さ1メートルの外壁

     平壌近郊の金正恩氏別荘(同上)

◇パトリオットTV

   〇ゲスト 山口昇(元陸将)

     ―戦後防衛政策の変遷と意義を語る

◇トランプのアメリカ 就任から1年

   ・明確な保守派大統領――オバマ路線と決別

   ・変化した政権運営――混乱の半年から「上り調子」に

   ・社会問題で保守路線――福音派の熱烈な支持続く

   ・「米国第一」の背景――「地政学」の復活を直視

   ・対北包囲網の構築――米韓分断工作、制裁逃れに直面

   ・対中強硬の安保戦略――実体伴なった行動示せるか

   ・蜜月時代の日米同盟――首脳間の信頼、今後も鍵に

   ・2020年再選の行方――最大の障害は不用意な言動

◇ワシントンタイムズ特約

   米沿岸警備隊、武装砕氷船を建造へ

◇ワシントンから

   前米海軍作戦部長 ジョナサン・グリナートに聞く

   ―米、アジアへの軍事関与強化

     中国の海軍増強に注視を/日米同盟は過去最も深化へ

◇ビル・ガーツの眼

   ・中国、北ミサイルなど供与計画

   ・中国、パキスタンに大規模基地

◇中国原潜が尖閣水域進入

    軍事挑発強化の可能性(川村純彦*元統合幕僚学校副校長

◇ワールド・スコープ

  ・偽ニュースは民主主義の危機

    仏大統領、露メディア名指し非難(パリ*安倍雅信

◇急速に改革進むウズベキスタン

    ミルジヨエフ大統領が牽引(田中哲二*中央アジア・コーカサス研究所所長

◇沖縄から

   人口減少危機の久米島

    海洋深層水利用し産業発展(那覇支局*豊田剛

◇持論時論

   ・食の欧米化とがん

    ”ABCD包囲網”で健康長寿(小林常雄*美浜ホームクリニック院長

   ・「おかげさま」で幸せに

     母に教えられた「愛する」生き方(マスウド・ソバハニ*ペルシャパレス社長

◇救国救世ビジョン―家庭再建講座6

    第二章 日本社会を蝕む結婚文化の衰退

         1.「男性活躍」の視点も必要

◇国際レーダー

   北朝鮮とポル・ポト政権

     政治的参加の類似と相違(山田寛*元嘉悦大学教授

◇教育

   「読む楽しさ、調べる喜び」を児童に

     東京都荒川区立赤土小が研究発表(太田和宏

◇防衛レーダー

   「いずも」空母化の抑止効果(濱口和久)  

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html

2月14日はパレンバンデー

$
0
0

 さる2月14日、憲政記念館において、パレンバンデー記念講演会が開催されました。パレンバンデーとは、大東亜戦争の緒戦1942年(昭和17年)2月14日、蘭印(現在のインドネシア)のスマトラ島のパレンバンに日本帝国陸軍の落下傘部隊が舞い降りて、戦闘のすえ当地を占領し、石油基地を抑えた。ここは当時東南アジア有数の油田地帯。

 

 この作戦の成功によってABCD包囲網による大日本帝国への石油の禁輸によって始まった大東亜戦争の継戦に大いに寄与した。当地の被占領民は、「空から神兵が舞い降りた」と仰ぎ見て歓声で迎えたそうだ。今現在、巷ではこの日をバレンタインデーとして、男たちはもらったチョコの数に一喜一憂する中、モテないやもめが集まって憂さ晴らし…ではなく、もっと健全に国民が共有すべき事実がある。まず戦時中にこのような出来事があったということ、そして、我が国のエネルギー問題を考える恰好の史料としてその意義と価値をあらためて確かめる時間となりました。

 

 第一部は「パレンバン奇襲部隊が果たした役割」と題して、ジャーナリストの高山正之氏が基調講演。第二部は「石油なくして国防なし」(空の神兵から学ぶもの)のテーマで、4人の識者によるパネル討論会。なお来賓として、山田宏参議院議員、杉田水脈衆議院議員、田母神俊雄元航空自衛隊幕僚長があいさつした。そして、会の締めくくりとして、会場全体で1942年に高木東六が作曲した「空の神兵」を大合唱して幕を閉じた。以下基調講演とパネル討論会におけるそれぞれの要旨。

 

基調講演 「パレンバン奇襲部隊が果たした役割」 高山正之

 

 今年は明治維新から150年。司馬遼太郎は維新の群像たちが立ち並んで日本をグイグイ引っ張って、新しい時代へ持ち込み、日清日露に勝って坂の上に立ったと書いている。ただその後はいけないと。坂の上から転げ落ちて傲慢になって無謀な戦争を始めたというような展開だ。

 この「司馬史観」なるものは大いなる誤り。司馬はよく人の悪口を書いた。乃木希典、伊地知幸介、松倉重政、etc。その人格を罵った。元来日本人は人格を罵るようなことはしない。だが、彼は大衆文学にそれを持ち込んだ。それだけでも問題だが、その明治時代に対する読み解き方は大変間違っていると思う。

 明治時代とはカオスの中にあった。五箇条の御誓文の四番目に、「旧来ノ陋習ヲ破リ」とあるが、人々は喜んでちょんまげを切り落とし、ザンギリ頭になって、下駄を脱いで靴にして、着物をやめて洋服にした。民族衣装を捨てる、風俗を捨てるというのは大変なこと。シナでは辮髪切るだけでも大騒ぎで、何万人という人が殺されたりした。そういう意味では日本人とはあっさりしている。これは稀有な民族の知恵といえるだろう。

 御誓文の五番目には「智識ヲ世界ニ求メ」とある。日本では明治5年には鉄道が走り、15年には発電を始めた。しかも火力発電ではない。安積疏水を造ったりして、水力発電まで初めてしまった。大変進取の気性に富んだ転換、もっと言えば革命をやった。しかし一方では足軽出身の山縣有朋や井上馨などは平気で汚職をやる。伊藤博文は鹿鳴館を作って舞踏に明け暮れるなどある意味大変恥ずかしいことをやっている。彼らが望んだのは側近政治。いつまでたっても御誓文に言う「万機公論二決ス」という大事なことが行われないでいた。

 

 民選議員が設立されるのは実に明治23年になってから。ここでようやく「万機公論二決ス」のかたちが出来上がった。しかしそれまでの日本の外交は、例えば明治14~15年にはハワイの王様が日本に来て助けを求めてもそっぽを向いた。米国に下手に絡まれると怖いから。征韓論によって国内の人士(西郷など)を潰してしまった。外交問題の解決は内戦をやって潰してないことにしてしまおうと。挙句はシナの海軍が起こした長崎事件。300人くらいわが国に上がり込んできて暴動をやった。だがそのシナに対して明治政府がやったのは謝罪外交。シナと事を起こしたくないと。

 そうこうしてやっと民選議員ができた。一般人もシナがどういうものかを見て、また朝鮮半島問題も新聞がいろいろ書き立てた。それでも維新の群像たちは戦争には反対。だが日本人はいつまでも忍耐できるかと。その答えが日清戦争。

 日清戦争に至って明治天皇は自らの宮廷費を削り、官僚たちは自分たちの俸給から一部を差し出し、もちろん庶民もそれに倣う。そうやって一生懸命軍備を整えて戦争を戦った。

 この時はじめて五箇条の御誓文の第二条に言う、「上下心ヲ一ニシテ 盛ニ経綸ヲ行ウベシ」が完成する。戦争にも勝った。それと同時に、日本人はもう一つ学ぶ。日清戦争後、三国干渉が起きた。欧米人が介入してきた。さらに米国人というもっと下衆な人種がやってきて、ありもしない旅順大虐殺を言い立て日本人を貶めようとした。こういう展開が繰り広げられた。日本人は心を一にして日清、日露を戦い抜き勝利した。司馬はこの時を、やっと坂の上に来たと言ったが、そうじゃない。日本人は自分たちがどういう存在なのかにはじめて気が付いたのだ。

 第一次大戦が起こる。パリ講和会議がある。国際連盟が設立される。この時日本は人種平等案を出すが、蹴られてしまう。さらに大きな問題を日本人は知るのだ。国際連盟規約第22条に、「 今次の戦争の結果従前支配したる国の統治を離れたる植民地及び領土にして近代世界に激甚なる生存競争状態の下に未だ自立し得ざる人民の居住するものに対しては、その人民の福祉及び発達を計るは、文民の真正なる使命なること」というくだりがあるが、一方ではアヘンを禁止するアヘン条約がある。この中に欧州諸国では製造や取引は禁止だが、植民地では留保すると。すなわち自分の植民地は売り放題ということ。こういう状況を日本は国際連盟の五大国の一つに加わってつぶさに見た。これはひどいじゃないかと。明治維新から日清日露を経て、第一次大戦、パリ講和会議を通して見てきた日本人の一つの到達点。

 こういうことがあって日本はその後、明らかに国際社会から除外されていく。世界を支配するのは白人で、お前ら邪魔者だと。それを石油禁輸という恰好で日本を追い詰めて戦争を仕掛けさせた。それに対して日本は敢然として立った。一兵卒に至るまでそういう思いでこの戦争に臨んだ。その一つがパレンバンの落下傘降下部隊。

 スウェーデンやオランダが落下傘降下で奇襲して成果を上げた。日本はこれを見て使えると。やがて行くパレンバンの石油工場を無傷で取る方法はこれしかないと。一年前に志を立てて、落下傘部隊の訓練が始まった。当時、今の二子玉川に降下訓練用の鉄塔があり、また満州でも訓練した。そして真珠湾のあとパレンバン攻略のための部隊は出航する。だが、その先遣隊は乗船した明光丸が火災で燃えてベトナム沖で沈み、落下傘もなくなった。その予備部隊として二ヶ月前に徴集したばかりの第二部隊があり、彼らに命令が下った。この中に奥本中尉がいた。1月3日に先遣隊が沈没し、その10日後に彼らは出陣している。落下傘もなかったが、製造担当である藤倉工業も一生懸命徹夜してつくった。彼らも、ともに戦っているという思いだったのだ。

 1月31日にベトナムのカムラン湾に第二部隊が到着。訓練らしい訓練はまったくない。そして2月20日にプノンペンに行って降下訓練をやった。1泊するかしないかの状況でマレーの飛行場へ行く。マレーから出撃したのが2月14日。中島飛行機とロッキードで飛んで行った。落下傘訓練では500メートル降下する。奥本中尉の記録では300メートル。実際は150メートル。300メートルあれば自分たちが下りる途中に僚友がどこに降りていくか見える。そのことによって後で集結しやすい。150メートルだと無理。ジャングルを彷徨いのちに5人がやっと集合した。たった5人でしかも別投下した火器・弾薬が入手できずにピストルと手りゅう弾だけで150人以上の敵を壊滅させ、敵の輸送車や装甲車の奪取に成功した。ありえない戦い。こういう戦いをやって英蘭軍を150人以上投降させた。5人は憶することなくまさに鬼神のように戦った。この強さというのは、日本人としての覚悟だ。



 明治時代にエドワードモースや、古事記を翻訳したチェンバレンなど外人が日本に来て、これから日本を担う学生や若者に話を聞くと、「日本に文化はありません。これから欧米から学ぶものが新しい文化です」と言った。文部大臣をやった森有礼は外交官に「お前外国行ったら青い目の嫁さん連れて帰れよ」と。そして「もう日本語は面倒くさい。国語を英語にしてしまえ」と言った。こういう明治時代と後の日清日露を戦った日本人とは全く違う。

 第一次大戦のキール軍港におけるドイツ水兵の反乱があった。戦争はもう終わりだ、ほっとけば生きて故郷に帰れるというとき、ドイツ海軍はキール軍港から出撃して連合軍に一泡ふかして停戦条約を有利にしようと考えたが、水兵たちは冗談じゃないと。俺たちは命が欲しいと反乱を起こしてドイツは最後はさんざんな格好で負けた。GNPの20年分を賠償金として取られて、ドイツはダメになった。

 日本でも似たような状況があった。占守島の戦いだ。終戦後、ロシア軍が占守島に奇襲攻撃を仕掛けた。連合国側に約束があったのだ。武装解除によって下ろした大砲を再びのっけて、入ってくるロシア兵を皆殺しにした。日本軍は256人死んでいる。ほっとけば自分の故郷に帰れる。その命を日本のために捧げてロシア軍を食い止めた。これを見ても日本人は大した覚悟を持っている。少なくとも第二次大戦終わるまで。そのおかげで、白人の植民地支配体制は終わりを告げた。まさに20世紀は日本の世紀だった。これこそ坂の上に立った日本人。パレンバンも占守島も神風特攻隊の兵士もそうだ。パレンバンデーは断面だけ見るのでなくて、第二次大戦以降、日本が白人国家と戦った一つの記念碑としてこれからも見守っていって欲しい。

<パネル討論会>

「石油なくして国防なし」(空の神兵から学ぶもの)

 

(頭山興助・呉竹会会長)

 

 日本が明治維新後、一番変化をもたらしたのが、ロシア革命とコミンテルンの設立。次に飛行機の登場と燃料としての石油への転換。その石油を求めて世界中が右往左往した。その流れが今も中近東を中心に残る。日本は石油が一滴も出ない。原子力技術を高めて世界に資するようにすべきだ。

(西村慎吾・元衆議院議員)

 

 私たちの親の世代は戦争についてあまり語らなかった。そういう意味でこの本「なぜ大東亜戦争は起きたのか」(ハート出版)は奇跡だ。これは我が国の歴史の回復のための石碑だ。

 

 我々は無謀な戦争をやったのか。当時、日本国政府が帝国政府声明を出している。これはアジアを解放する戦争だということを明確に言い切っている。だが、これを義務教育では教えない。そして必勝の戦略があったことも教えていない。ではその戦略とは何か。

 

 昭和16年11月15日、もうギリギリに発表された大本営政府連絡会議の決定「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」。この第一前提は、”速やかに極東に於ける米英蘭の根拠を覆滅して自存自衛を確立すると共に更に積極的措置に依り蒋政権の屈服を促進し独伊と提携して先ず英の屈服を図り米の継戦意思を喪失せしむるに勉む” このためにまず南方作戦を行う。これがパレンバン制圧である。この1日後にシンガポールが陥落しているが、ド・ゴールもチャーチルもこれを数百年の欧米のアジア支配の終わりを告げるものであるという歴史認識を示した。だが実は心臓を掴んだのがパレンバンである。そして南方作戦は成功する。

 

 次に戦略に基づいて何を決定していたか。それはインド洋の制圧。インド洋を制圧すれば英の生命線であるインドと英が切断され、英国はエルアラメインでロンメルに打倒されるだろう。そしてインド洋を制圧すれば、インド洋からインドを経て蒋介石にいく蒋介石支援ルートが切断され、浙江財閥の娘を嫁に貰っている蒋介石も継戦意思がなくなり、継戦能力もなくなる。英国が屈服して手を上げれば米国は戦争できない。すなわちF・ルーズベルトは前年の12月に「お母さん、あなたの息子は絶対戦場には送りません。戦争しません」と選挙で言いまくって第三期の当選を果たした大統領だ。米国は戦争できない。

 

 このことを念頭においてパレンバンの落下傘部隊が勇戦奮闘したその思いは、わが国家はアメリカはじめ世界を相手に戦うが、これは欧米植民地支配を覆すためであるという大義のもとに、欧米キリスト教圏のオランダ等から見れば悪魔のような強さを発揮したのだ。

 

 次はシンガポールの石油の資源地帯を取って日本がインド洋に出て行ってインドを独立させるということ。インドシナ半島そしてインドネシアは、そこにいる敵を屈服させた。最大のインドを独立させれば蒋介石と英国が屈服していく。この作戦を待たねばならなかったのに、その時帝国海軍の機動部隊はミッドウェーに出て行った。

 

 はっきり言えば、「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」、これは大本営政府連絡会議の決定であり、ここに天皇陛下がご臨席されれば御前会議になるのである。この決定にかかわらず、最終段階での打倒を計画していた米国に対して、なぜ緒戦で突っ込んでいくのか。

 

 このことについて明治時代に遡れば、「戦時大本営条例」の改正が日露開戦の40日前に急遽行われた。これが致命傷だった。すなわち、英国においても日本においても、英国は現在でもそうだが、戦時においては陸軍が統帥の中枢を握って海軍と連携するというかたちだが、「戦時大本営条例」の改正によって戦時においても海軍の統制と陸軍の統制は別々に存在するという体制になって、国家戦略としての戦争を戦えなくなった。シンガポールとパレンバンも取ったわけだからインド洋に集中すべきわが機動部隊は、そこから出てミッドウェーに行って負けたということを終戦まで内閣総理大臣も知らなかったのだろう。

 

 われわれはこれをもって歴史を回復し、負けた戦いにおける勝機…勝てたのだということを子供たちに教えなければならない。これは民族の叙事詩として語り継がれなければならない。そしてこのような将兵をもったわが民族の歴史と伝統、天皇を戴く国家の誇りを伝えていくべきだ。

左・藤井厳喜  右・奥本康大

 


(藤井厳喜・国際政治学者) 

 今日も帝国主義の時代と思うが、これは天然資源とくに、エネルギー資源をどうやって押さえるかということ。これが世界の金融構造の基本。日本の自立のためにはエネルギーの自立体制を作らなければならない。

 

 大東亜戦争は石油に始まって石油に終わったとよく言われる。こんにちも日本を巡る資源状況は基本的に変わらない。太陽光や風力もちょっとずつ伸びてはいるが、あまりあてにならない。米国では補助金なしでも徐々に伸びてはいる。

 

 実は日本で再生エネルギーで一番大切なのが忘れられているのが、水力発電だ。これに関してはダムをつくってはいけないとか、公共投資は悪だなどと言われてすっかり忘れられているのが現状だ。専門家によれば、20センチの段差があれば水は発電に利用できるそうだ。日本中でやれば8割くらいの電力は賄えるのではないかと思う。だが、やはり現実としては原油は必要。

 

 そしてクリーンなエネルギーというと天然ガスが挙げられるが、これも原油同様ほぼ輸入しなければならない。大東亜戦争の時も昭和16年6月くらいに日本の戦争プランの一つとしてインドネシアの保障占領があった。ここはロイヤルダッチシェルが製油所を操業する石油の宝庫。ここでは、実際上はオランダのみが敵。オランダは日本から遠く、軍事的力も大してない。当時米国もソ連も保障占領をやった。ソ連はフィンランドに対してやったが、混乱が終われば返すというやり方。当時日本がオランダだけを狙って保障占領しようというのは当然石油が目当て。そうしておけば米国と表立って事を構えなくてもとりあえず資源の自立ができるはずだった。大変いい案だったのをなぜやらなかったのか。反省すべき要素が多い。

 

 今も状況は変わってないのだ。南シナ海を中共は領海化しようとしている。もしそうなれば中東からのタンカーも日本に来れなくなる。もちろん大回りしてロンボク海峡や東側のルートを通ってくれば可能だが、大変な時間と労力がかかる。インドネシアの石油、ブルネイの天然ガスを買おうとしても南シナ海を封鎖されればダメ。南シナ海が中共の内海となれば、たとえ東側を通ってきても日本のタンカーは止められてしまう。日本のエネルギー供給の生命線たるシーレーンは遮断されてしまうことになる。

 

 日本の天然ガスの輸入先の可能性としてはロシアがある。サハリンなど有望でパイプラインをつくれば非常にいい。しかしこの国は国防上の理由から頼れないことははっきりしている。よってやはりインドネシア、中東から持ってこざるを得ない。南シナ海における闘いは日本の生命線。ここが公海でなくなれば日本はいつでも中共に喉元を締め上げられる。

 

 南シナ海は「公海=international waters」である。ここを通る国が自由に使える海だ。ここを何の理由もなく一方的に自分のものだなどと主張する中共は今世界最悪の帝国主義、軍国主義国家だ。チベット、ウイグル、南モンゴルは実際は植民地だ。これを糺すことができるのは日本しかない。この中共に大きな力を持たせてしまったのは、欧米の責任もあるが、日本にもある。田中角栄以来営々として我々は、中国に経済援助や技術移転したことが全部裏目に出ている。

 

 白人の帝国主義は我々の先人が頑張って追い出したが、アジアの内部から最悪の帝国主義国家が生まれて周囲の国々に侵略を続けている。大東亜戦争を戦った日本人はこの中共帝国を打倒するという歴史的使命がある。

(奥本康大・「空の神兵」顕彰会会長)
 石油にまつわる戦前、戦後、将来について。(奥本氏のご尊父・實中尉が活躍された)パレンバン占領によってどれくらいの石油が確保できたのか。当時の日本の年間の石油消費量は500万トン。パレンバンで300万トン確保した。ざっと6割だ。それ以外も併せて800万トン確保できた。これによって日本は戦争を3年半も継続できた。そしてパレンバンでは300万トン確保したのち、日本の石油技術者が改良を施して、倍くらいの生産量を上げた。

 

 だが、海軍が遠くまで出かけて一回50万トンくらい使うような戦闘をそこら中でやってしまった。そして制海権、制空権が奪われてしまって南シナ海で多くの輸送船が潜水艦に沈没させられた。これが敗戦につながったと言われている。林千勝著「日米開戦 陸軍の勝算」(祥伝社新書)に詳しいが、秋丸機関が戦争経済を一生懸命シミュレーションして、これは勝てるということで戦争を開始した。だが、海軍と歩調が合わずおかしな方向に行ってしまったというのが偽らざる歴史ではないかと思う。

 戦後は、経済で日本を占領しようというアメリカの意図によって、石油メジャーが日本に入り込んで石油は牛耳っていた。そこで立ち上がったのが、出光興産の出光佐三で、日章丸という船を派遣して独立をしようというイランから石油を買って、日本に自主の原油を持ち込んだ=「日章丸事件」。これによって日本経済が復興できた。それまでは米国の言い値で原油を買っていて経済復興も困難だったが、佐三の活躍によって日本は救われた。

 では今の状況はどうかといえば、戦前と同じく砂上の楼閣だ。石油の輸入に関して、いつ何が起こって日本に入ってこない状況が起こるかもしれない。それを阻止するためにはどうすべきか。日本はサウジなど産油国と友好関係を結んでいるが、最近中国がでしゃばってきた。「一帯一路」を掲げて、世界を牛耳ってやろうと。中国はサウジと友好関係を結んで盛んにあれこれ工作をやっている。

 

 中国は十数億の人口を抱える。将来に備えて石油を買い込んでいる。この5年ほどで500万バレルの製油所を作った。そして貯蔵タンクをいっぱい作っている。これから日本より中国の方が、サウジの上客になってしまう。そうして、世界の石油価格をこれから中国が握るという状況に陥りつつある。これに日本が何らかの対応をしないと「一帯一路」が完成し、アフリカからそこら中が真っ赤っ赤の状況になってしまう。安倍政権も「自由で開かれたインド太平洋戦略」を打ち出すなど頑張って頂いていると思うが、日本は一枚岩になるべきだ。残念ながら中国は一枚岩だ。日本は石油と国防をよくよく考えて欲しい。

 

 

映画「スリー・ビルボード」を観る

$
0
0

 

 アメリカはミズーリ州の田舎町エビング。その寂れた道路脇に並んで立つ3つの巨大な広告看板。最後に広告が貼られたのは二十数年前という。そこへ突如、真っ赤な広告が貼り出された。異様なのは色だけでなく、一つ目が「レイプされて死亡」、二つ目「犯人逮捕はまだ?」、最後が「なぜ?ウィロビー署長」の文言。むろんこれは企業広告などではなく、個人によるメッセージ広告だったのだ。

 

 7ヵ月前のこと、主人公であるミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)の娘はレイプされた上、焼死体となって発見された。残忍かつ冷酷な殺人事件であり、母親としては到底許しがたく一刻も早い犯人逮捕の報を待ち望んでいたが、何ら手掛かりもないまま、むなしく時間だけが過ぎていた。しびれを切らした母親が最愛の娘を思うあまり、地元警察のしかもその署長を名指しで非難する広告掲載に及んだというわけだ。

 

 この設定からして、以降のストーリー展開を予想すれば、警察はすでに犯人の情報を掴んでいるが、お上から圧力が…。警察としては憤懣やるかたない思いで不作為を決めこむ以外なかった…とか。あるいは殺害された娘は人種差別撤廃運動に手を染めており、白人至上主義者が幅を利かせる地元警察では内心、当然の報いだという空気が支配的で…などなど。そして、そんなゲス警察とのガチンコを厭わない娘思いの肝っ玉母ちゃんに思わず拍手喝采…って。はい、全部ハズレ!

 

 本作は予想を大きく裏切ってくれるという点においては刺激的と言えるが、一体何を言わんとする映画なのか判然としない。はっきり言って主人公のミルドレッドの暴走に嫌気が差すこと必定。彼女の色香の欠片もないあの怖すぎる顔から、褪せたブルーのツナギとバンダナというスタイルから何から何まで不快にさせる。レイプ殺人鬼を許せないという思いは、ミルドレッドも周囲の人々も警察も同じ。いわんや署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)においておや。本来、広告も必要なかったはずだが、思い込んだら命がけ、わき目も振らず突進していくあの気性。彼女に比べれば、特高まがいのトラブルメーカー警官ディクソン(サム・ロックウェル)など可愛いもの。最後は彼女をテロリストかと見紛うばかりだ。

 

 最初から最後までミルドレッドとの関係性の中で人々が次々とトラブルに巻き込まれていく一方で、泥沼に咲いた蓮の花のように、心温まる人間性が開花していく様子も描かれ、ホッとする。だがそれも束の間、すぐまたそれは打ち砕かれ、寒々となる。だとしても考えようでは、ミルドレッドの存在なしにはその開花もなかったのか。どこまでも皮肉としか言いようがない。

 

 「殺すな、盗むな、姦淫するな、嘘をつくな」は、人間に課された永遠不滅の十戒だ。ただ日常生活にまつわる細々とした問題に関して、何が善で何が悪なのか、人それぞれだろう。だが互いの主張をぶつけ合うだけでは、平行線をたどるのみで果てしないいがみ合いとなる。そこはやはりわが子を諭すように、一段高いところに立ってから、足元しか見えていない相手に親の心で導く態度が必要だろう。その動機は無償の愛である。

 

 これだけは言える。ミルドレッドには愛が根本的に欠けていたと。 

ポーランドの振り見てわが振り直せ

$
0
0

(世界日報2月20日4面)

 

 いささか旧聞に属するが、2月20日付、世界日報4面(国際企画)「ワールド・スコープ」は、「『ホロコースト法案』施行へ」との大見出しでウィーンから小川敏特派員のレポートだった。

 

 記事によれば、1月31日ポーランド上院において、「ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)に関する法案」=ホロコースト法案が賛成多数で成立。その法案の内容は、ポーランドがナチスドイツに占領されていた時代のユダヤ人強制収容所を”ポーランド収容所”と呼んだり、同収容所が(ナチス政権と連携した)ポーランド国家に帰属していた、といった間違った主張や表現をした場合、ポーランド国民だけでなく、外国人も罰金刑、最高禁固3年の刑罰を受けるというもの。

 

 この法案成立について、イスラエルのネタニヤフ首相は、「ナチ政権時代のポーランドの戦争犯罪を隠蔽するものだ」と警告。また米国務省は「同法案は過去の戦争犯罪問題に関する自由な表現や議論を妨げる恐れがある」と表明した。

 

 確かにこれはどう考えても問題だろう。どこまでがセーフかアウトか線引きは困難であるし、畢竟、当局の逆ゲシュタポ化により、人権は風前の灯となること必定? ともかくも、「ユダヤ人虐殺では多くのポーランド人がナチ・ドイツ軍の手先となって関与したことは史実」であり、歴史修正は許されない。

 

 ただ、だ。国家の尊厳と名誉をあくまで守るというポーランドの気概に触れる思いがするのだ。これは同国に限らず、主権国家としての当然のスタンスだろう。いわんや独裁国家である中国や北朝鮮においておや。ちなみにロシアのプーチン政権は、ロシアが自国の「領土」と規定する土地について、「ロシアの領土ではない」と発言すれば罪となる改正刑法をクリミア併合を宣言する直前の14年3月に施行している(読売2月25日国際面)。

 

 今現在、いったいどこの世界に自らの過去の歴史について、国会で、マスメディアで、学校教育で米搗きバッタよろしく、悪うございましたと謝罪を繰り返す国があろうか。わが国の異質性が浮かびあがる。ヘイトスピーチ対策法は施行されたが、公正な選挙を経て選出された自国の首相に対するそれはまったくのフリーらしい。中韓のプロパガンダである南京大虐殺、万人坑、遺棄化学兵器、従軍慰安婦、徴用工問題などなどに加え、近年では沖縄も恰好のターゲットとなり、歴史戦ではやられるがまま。かてて加えて竹島、北方四島は1ミリも動かず、尖閣に対する中国のプレッシャーは先鋭化し、対馬も陰に陽に攻勢にさらされている。

 

 戦後我が国のメンタリティーはマゾヒズムと化した。個人の趣味としてそれは勝手にどうぞ。だが、一国の主権にかかわる問題についてそれは亡国を意味しよう。昨日、韓国の文在寅大統領は3・1独立運動記念式典にて、日本に対し、「加害者である日本政府が『終わった』と言ってはならない」と述べ、竹島について、「独島は日本が朝鮮半島を侵奪する過程で、最初に強制的に占領した我々の土地だ。日本がこの事実を否定するのは、帝国主義の侵略への反省を拒否していることに他ならない」と訴えた由。平昌オリンピックを無事乗り切って、満を持して政権浮揚のための日本批判に舵を切ったのだろう。パラリンピックはこれからにも拘わらず…。

 

 これに対して、わが政府は外交ルートを通じて抗議するのみ。「遺憾、遺憾」と。かかるわが国に対する侮りは、自ら招いていると自覚できないのか。小川氏は記事のなかで、独週刊誌シュピーゲルの「ポーランドではリベラル派と保守派の間でコンセンサスを見出すテーマは少ないが、ポーランドのナチ占領時代のユダヤ強制収容所に関する見解では一致している」という論評を紹介している。内政についてはともかく、国を危うくする外交安全保障問題については与野党なく一枚岩となって当たらなければならないということだ。

 

 自国の歴史問題の扱いについて近隣アジアや欧米諸国の腹黒さに倣う必要はない。真摯に向き合えばいい。ただ国家の名誉と尊厳に対する攻撃にはただでは済まさないとの気概を示さなければならない。

Viewing all 592 articles
Browse latest View live