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映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を観る

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 世界一のファストフードチェーン「マクドナルド」を築き上げた男、その名はレイ・クロック。タイトルの「ファウンダー」とは創業者の意。でも「マクドナルド」の屋号はどこから? 実は、商品であるハンバーガーもその製造過程の徹底マニュアル化されたシステムや、テイクアウトオンリー(当時)という提供スタイルも何もかんもぜーんぶ、元々、”マクドナルド”という苗字の兄弟(マックとディック)によって生み出されたもの。彼らは、カルフォルニア州サンバーナーディーノの本店を中心として、小規模ながら支店も数店展開して、人気を誇っていた。時に1954年のこと。もっとも立ちどころに成功したわけではなく、何度も失敗を繰り返しながら、ようやくたどり着いた兄弟の汗と涙の結晶だった。ただ彼らはこれ以上事業を広げるつもりはなかった。

 

 そんな折、当時シェイクを作るマルチミキサーの営業に飛び回っていたレイの元へ、一度に6台もの発注をしてきたのがマクドナルド兄弟で、これは何かあると直感したレイが店を訪ねてきたのが運のつき。ま、早い話が、はい、乗っ取りです。兄弟の脇の甘さも見逃せないが、公平を期せば、レイの存在なくして今日、我々は安価で手軽なハンバーガーの恩恵に預かれていなかったのも事実。ともかくもアメリカンドリームとやらは、燃え上がる野心はもとより、時に冷酷さなくしては土台無理ということか。

 

 ところでレイが毎晩、成功哲学を吹き込んだレコードを聴きながら、成功するための秘訣とは、「根気」だと繰り返し伝えるのは、今でもそれを生業とする者として、共感するところ。ただレイは、兄弟のシステムを模倣して別の屋号で一から始めるというやり方を取らなかった。”マクドナルド”という響きがアメリカ人好みで他をもって代えがたいとして、兄弟の虎の子の店に土足で上がり込んで、最後は追い出すという電通の鬼十則も真っ青の厚顔無恥ぶりを晒した。

 

 レイ・クロックの自伝「成功はゴミ箱の中に」のカバーには、ユニクロの柳井正社長とソフトバンクの孫正義社長のツーショットが載り、「これが僕たちの人生のバイブル!」とあるが、世界に冠たるグローバル企業となり、日本では「マック」の愛称で親しまれているマクドナルドの出発点には、レイ・クロックという機を見るに敏なビジネスマンによる触れてはならぬ消せない汚点が存在した。生き馬の目を抜く飲食産業なんてこんなものよと開き直られては困る。日本の「モスバーガー」はハンバーガーをスローフード化して、”出来立て”ならではのクオリティを実現。今現在、マックほどの売上ではないにせよ、業界で不動の地位を築いている。なお高齢者を積極的に雇って接客にあてている点もユニーク。とまれ、商売成功の秘訣は、効率化やスピーディさやデータ至上主義だけにあらず。政府の成長戦略にも、「稼ぐ力」のキーワードが躍るが、それだけを推し進めれば日本中がレイ・クロックであふれる返るだけだろう。プラスアルファの付加価値が必要。

 

 「本来、資本主義社会における会社(企業)は、地球(環境)、地域社会、顧客、仕入先、従業員、経営者、そして株主というステークホルダーの間でバランスをとらなければならない。」(三橋貴明著「亡国の農協改革」飛鳥新社)=「公益資本主義」という考え方こそ今の日本に必要だろう。ただ、当方のマック通いは当分やめられまいが。


世日クラブ35周年記念講演会のご案内

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世日クラブ35周年記念講演会

テーマ

  祈りと遺伝子

   ~良い遺伝子が目覚めれば人生が変わる~

 

(講師:村上 和雄氏)

 

 世日クラブ35周年記念講演会を10月4日(水)に開催いたします。

 講師には、村上和雄筑波大学名誉教授を講迎え、「祈りと遺伝子~良い遺伝子が目覚めれば人生が変わる」と題して講演いただきます。

 村上氏は、世界で初めて高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子の解読に成功した遺伝子学の世界的権威です。その後「心と遺伝子研究会」を立ち上げ、「笑い」が眠っている遺伝子をオンに変えることを証明しました。現在、「祈り」が遺伝子に影響を与えていることを研究されています。

 遺伝子の最先端の研究が、私たちの人生と健康をどう変えてゆくかを村上氏に語っていただきます。

 皆様の多数のご参加をお待ちしております。

 

<講師プロフィール>

むらかみ かずお

  1936年、奈良県生まれ。63年、京都大学大学院農学研究科農芸化学専攻、博士課程終了。同年、米国オレゴン医科大学研究員。76年、米国バンダビルト大学医学部助教授。78年、筑波大学応用生物化学系教授となり、遺伝子の研究に取り組む。83年、高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子の解読に成功、世界的な業績として注目を集める。イネの全遺伝子暗号解読のリーダーとして活躍した。現在、「心と遺伝子研究会」の代表を務めている。96年、日本学士院賞受賞。2011年、瑞宝中綬章受賞。主な著書に「生命の暗号」(サンマーク出版)「今こそ日本人の出番だ 逆境の時こそ『やる気遺伝子』はオンになる!」(講談社プラスアルファ新書)「幸せの遺伝子」(育鵬社)など多数。

 

【演題】「祈りと遺伝子~良い遺伝子が目覚めれば人生が変わる」
【講師】村上 和雄氏 (筑波大学名誉教授)
【日時】平成29年10月4日(水)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒100-0004 東京都千代田区大手町1丁目4-1
     KKRホテル東京10F「瑞宝」
【会場連絡先】03-3287-2921

【交通案内】東京メトロ東西線「竹橋駅」3b出口直結、千代田線「大手町駅」C2出口、都営地下鉄「神保町駅」A9出口よりそれぞれ徒歩5分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

映画「ザ・ウォ―ル」を観る

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 2007年、時のブッシュ政権はすでにイラク戦争の勝利を宣言していた。ここはイラクの砂漠のただ中にあるキャンプ跡。米陸軍の狙撃兵アイザック(アーロン・テイラー=ジョンソン)とシェーン・マシューズ(ジョン・シナ)の二人が丘の上に身を潜めつつスコープで覗き込む先は、まるで映画「ソウ」を彷彿させるようなシチュエーション。

 

 そこには頭を撃ち抜かれた5人と膝を負傷し息絶えた1人の死体が点々と転がっていた。そしてアイザックらが見つめる景色の一番奥には、破壊された建物の一部と思われる石積みの壁があった。敵は十中八九その裏に潜んでいるだろう。だが、待てど暮らせど何も起こらない。しびれを切らしたマシューズが、死体のある現場へ歩を進めてみると、あきらかに何かがおかしかった。.

 

 ここから二人は”ジューバ”と呼ばれるイラク軍の凄腕スナイパーが周到に仕掛けた罠に落ちていくことになる。これは究極の神経戦を描いた実話に基づく作品。

 

 戦争映画と言えば、ドンパチに決まっているわけだが、本作はあまりに異色。登場人物はほぼ3名。くだんの米兵2人と、ジューバは無線機を通した声だけ。ただスコープ越しの彼の視線が照準のついた風景として何度も映し出される。なお、映画の中盤には声だけのジューバ相手にアイザック役のアーロン・テイラー=ジョンソンが一人芝居を繰り広げるというシーンが続く。役者の力量がほぼ作品を決定づけると思われるが、受けた銃創の苦痛、見えない敵への恐怖、救助が見込めない孤独etc.…彼は出色の演技を見せてくれた。そこには、ニュースやマスコミでは絶対伝えない戦争のもう一つの姿があった。

 

 本作の監督は、マット・デイモン主演「ボーン」シリーズを手掛けたダグ・リーマン。大衆ウケなどどこ吹く風で、あえてエンターテインメント性を排し、誰も見向きもしないようなローカルなテーマにスポットを当てることもさることながら、アーロン・テイラー=ジョンソンという若き俳優一人の演技を最大限に引き出して作品をシンボライズさせた。ダグ・リーマンすげっ! 本作は色香のかけらもない、男の中の男の映画。

 

 ただ追記すべきは、米兵37名を殺害したとされ、米軍に恐れられたイラク軍スナイパー、ジューバのアメリカに対する沸き立つルサンチマンである。これはあえて言えば米国が背負った十字架。武力や経済復興や時間の経過が解決してくれるのでない。アメリカは今こそ自分自身に向き合わなければならない。

世日クラブ35周年記念講演会中止のお知らせ

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 10月4日(水)に予定しておりました世日クラブ35周年記念講演会、

「演題:祈りと遺伝子~良い遺伝子が目覚めれば人生が変わる(講師:村上和雄氏)」は、講師の事情により、中止となりました。

 

 皆さまのご期待に添えず、大変申し訳ございません。ご了承のほど、お願い申し上げます。

 

世日クラブ事務局

 

月刊ビューポイント10月号発行しました

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月刊ビューポイント10月号内容は以下の通り

 

★巻頭グラビア

 富士総合火力演習

 

★ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・中国、ハーバード大に巨額寄付

  ・イージス艦衝突事故、外部要因の可能性も

  

★アメリカ保守論壇

  ・暴走続けるトランプ大統領/機能する米民主主義

      チャールズ・クラウトハマー(米コラムニスト) 

 

★北朝鮮問題

  ・対北新国連制裁決議/迅速な履行がカギ握る

      古川勝久(国連北朝鮮制裁委員会元専門家パネル委員)

  ・北朝鮮危機と混迷するトランプ外交(世日クラブ講演)

      川上高司(拓殖大学海外事情研究所所長)

★高永喆の半島NOW

  ・虎の尾を踏んだ北朝鮮「誤判戦争」恐れる中国

 

★第3次安倍第3次改造内閣発足

  ・足元固め改憲へ反転を(編集局長代理・政治部長 早川一郎)

★第3次改造内閣 信頼回復へ始動

  ・一歩退き政局の鎮静化図る (政治部・武田慈樹)

  ・軍事的脅威の対処こそ急務 (政治部・小松勝彦)

  ・改憲へ誠意と粘り強さを (政治部・山崎洋介)

 

★自治体の「赤旗」購読問題

  ・富山県庁でも「赤旗」出費突出 

     公費購入による政党機関紙

  ・議員報酬から天引き  福島県須賀川市

 

★ワールド・スコープ

  ・エジプトに「日本研究所」創設

    アラブ世界の日本研究の窓口(カイロ・鈴木眞吉)

  ・南米ベネズエラ、国内分裂・内乱の危機

    強権独裁進める大統領(サンパウロ・綾村悟)

  ・リオ五輪から1年

    財政危機と治安悪化「負の遺産」に苦しむ

                    (サンパウロ・綾村悟)

  ・前法王批判が飛び出したバチカン

    保守派の本丸に改革派が攻撃開始(ウィ―ン・小川敏)

  

★沖縄から

  ・沖縄はIRの最適地

   中国のオンラインカジノが進出に意欲(那覇・豊田剛)

  ・FC琉球のイベント 陸自車両の出展中止

   地元紙の圧力に屈した可能性(那覇・豊田剛)

 

★インタビュー

 ・西田天香とダスキン創業者・鈴木清一

   「懺悔の生活」から「祈りの経営」へ――相大二郎(燈影学園長)

 ・国の主権とは何か

   憲法改正は主権回復の一歩――佐藤義信(歴史探訪ゼミナール主宰)

 ・政治と行政に物申す

    夢と理想語り冒険を―板橋一好(栃木県議会議員)

 

★防衛レーダー

  国の守り歌う「蛍の光」 (濱口和久)

 

★山田寛の国際レーダー

 ・シェルターのない被爆国 国民防護体制の整備を

 ・靖国「遊就館」の花嫁人形 中韓の若者に見てほしい

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html          

日本政策研究センター伊藤哲夫氏の講演を聞く

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 過日、正論を聞く集いが開催され、日本政策研究センター所長である伊藤哲夫氏が「憲法改正への道」と題して講演した。


 

 まず、先週の連休中に降って湧いた衆議院解散について、小池知事などが大義なき解散などと批判しているが、伊藤氏は、「今でしょ解散」という巷のネーミングを紹介し、ぴったりだと同意。その理由は、先月の内閣改造によって支持率が持ち直してきたこと、民進党は離党者が続出する混乱の中であり、小池都知事が目論む新党も体制が整わない状況というタイミングなどあげられる。だが、伊藤氏はそれだけでは安っぽいとして、ぜひ自分が一国の総理になったつもりで考えて欲しいと来場者に注文。北朝鮮を見据え、中国を見据え、国内の野党の動きを見据え、そしてあの巨大なマスコミ。その中で勝っていかなければならない総理の決断はものすごく重いものだとした。

 

 伊藤氏はこの解散も安倍総理の頭には憲法改正があるとし、かつ総理の政策遂行力は選挙に勝つことによってしか出てこないと解説。今度の選挙は自民党が議席を減らし、自公で3分の2を割るリスクがあるが、小池氏が主導する新党が候補者を立てれば、ある程度議席を獲得するだろう。これも改憲勢力に数えられるので、これを束ねれば3分の2を取れると読んでの解散と見立てた。

 

 さて、今年の5月3日憲法記念日に安倍首相は、憲法改正に関して、9条の1項2項をそのまま残したうえで、自衛隊を明記するという加憲論をぶち上げた。これに対して、自民党内でこれまで改憲について何も言ってこなかったような人が、加憲論はおかしい、2項を変えるのが筋という声を上げている。確かにこれは正論だが、実体はこれは憲法改正は10年待てという話しだと伊藤氏。なぜなら公明党が絶対乗ってこないから。公明党抜きにはいくら新党を束ねようが3分の2はムリと断言。公明党は不可欠な数字だと。3分の2を取れない案をいくら声高に叫んでも、改憲するなと言っているのと同じと切り捨てた。それだけでなく現状が固定化されてしまうと。それよりもたとえこの程度といわれても、やることによってやらないより効果は限りなく大きくなるはずだとした。

 

 なお、緊迫化する北朝鮮問題についてこれからわれわれ国民は腹をくくって判断していかなければならないときに、一番足を引っ張るのが、戦後の空想的平和主義だと伊藤氏。かつて北の指導者が金正日だったころ、保守の間でもよく耳にしたフレーズが、“北が一発日本に撃ってくれれば日本人は覚醒する”というものだったという。だが、伊藤氏はそれで変わるんだったら、とっくに変わっているよと反論したそう。実際はミサイルが飛んできたら、これ以上撃たないでくださいと白旗揚げて土下座するのが戦後70年間の日本なんだと。これを変えるというのは容易なことではないと念を押した。

 

 世論調査において9条2項の改正について、賛成派が上回る結果も出るようになってきたが、いつでも国民投票で勝てるという状況にはない。そこで、昨年9月ごろ伊藤氏を中心とする日本政策研究センターで、9条加憲論を打ち出したそうだ。これはかつて公明党も内々に検討していたし、民進党の前原氏もそういう考えであり、伊藤氏とすれば、戦後日本を変えるために、一歩でも半歩でも進めるべしという動機だったという。そして、今年の5月3日に、安倍首相が加憲論をぶち上げると共産党の赤旗が、あれの出所は日本政策研究センターという右翼団体だと攻撃し始めたそうだ。共産党にとっては実はこれが一番嫌な案だったというのだ。

 

 伊藤氏は3分の2を取ったということは、ゴルフでいえば、グリーンに乗ったということだと表現。ここで必要なのは正確無比なパッティングであって、ドライバーを振り回すことではない。パッティングとは9条加憲論であり、ドライバーとは勇ましい改憲論のこと。伊藤氏は、安倍首相とすればいかに妥協的であってもまず結果を出すという思いで出された提案だろうと。これまで70年間何もできない日本でいいのか、ならば行動を起こせと。

 

 9条加憲は、1項2項を残して、3項を足すのでなく9条の2という形で自衛隊を書き込むのが有力という。たとえば、「日本国民はわが国の平和を守り、国際平和貢献のために自衛隊を保持する」など。文言はどうであれ、このことは自衛隊が日本の国家制度の中核に位置付けられることを意味すると伊藤氏は強調。今まで自衛隊は憲法に謳われていないがために常に国家にとって第二義的存在だったが、今後は第一義の事柄になる。なお憲法第二章は、戦争放棄条項でしかなかったが、自衛隊が書き込まれることによって安全保障条項あるいは防衛条項ともなる。これは国民心理上きわめて大きいのだと解説。

 

 伊藤氏は朝日や共産党は自衛隊は憲法上の存在でなく、法律上の存在でしかないとして攻撃の対象としてきたと。もし加憲できれば、それが言えなくなる。共産党はこれまで自衛隊違憲論など自衛隊攻撃がその活動の3分の1くらいを占めてきた。これができないとすれば商売あがったりだ。朝日も同様。今度これまでと同様なことを言えばそれこそ憲法違反となる。こうなれば国民の議論は変わらざるを得ない。これで空想的平和主義は成り立たなくなるとした。

 

 最後に伊藤氏は今の憲法は国家を自分の力で守るということがどこにも書かれていないことを問題視。これがどれだけ日本国民の精神形成に影響を与えてきたかと糾弾。9条の2の加憲によってようやく自国の自立意思をもった普通の国になると。憲法9条加憲論、そう卑下するべからずと締めくくった。

映画「ダンケルク」を観る

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 ダンケルクとは、ドーバー海峡に面したフランスの小さな港町の名。1940年、第二次大戦のさ中、英仏連合軍の将兵40万人がナチスドイツ軍によってここに追い詰められていた。ドイツ軍機による空爆が襲いかかる中、連合軍は海路による脱出作戦を敢行。当初、英海軍の駆逐艦が派遣されるも空爆と魚雷で多大な犠牲を出したことを受け、急遽民間船徴用を開始。加えて海軍の船舶供出の呼びかけに、自国の兵士を救わんと我も我もとかけつけた漁船や遊覧船の数は850隻に及んだという。時間とのギリギリの戦いの中、最終的に34万人という兵士が救出されたのだ。

 

 本作は史実に基づき、ダンケルクの戦いにおける3つの視点から構成される。1つ目がダンケルク港の防波堤における主人公トミー(フィン・ホワイトヘッド)の1週間のサバイバル譚。2つ目は兵士を救出せんとして自前のボートをくり出す船長ミスター・ドーソン(マーク・ライアンス)のドーバー海峡(海)での1日の出来事。3つ目は救出作戦を援護するため派遣された英空軍機スピットファイアのパイロットであるファリア(トム・ハーディー)の空での戦いの1時間。この3つの異なった時間軸の視点が、ダンケルクにおける陸・海・空それぞれの戦いをシンボライズ。そして本来交わるはずのない三者が奇跡的にシンクロする時、訪れるクライマックスとともに観客は今なお語り継がれる”ダンケルク・スピリット”の一端を共有することになる。

 

 ただダンケルクの”戦い”とは名ばかりで、実際はドイツ軍によって敗走させられた英仏連合軍の撤退劇であり、かつ主人公であるトミーは自身の生き残りのためにひたすら注力するのだ。本作はこれまでの戦争映画の常識に照らせばかなり異色で、とくに玉砕を潔しとする旧日本軍が刷り込まれている日本人には眉を顰める向きもあるかもしれない。トミーとて、むろん心晴れやかなわけはなく、帰路、呵責で押しつぶされそうになるのだが、故国である英国民の反応はまったく意外なものだった。後にこの撤退が成功したことによって、のちに英本土防衛を固めることができたのも事実なのだ。

 

 IMAXカメラと65mmフィルムによる撮影とCGを極力使用しないリアリティの追及。周辺部をそぎ落としてフォーカスした情報のシンプルさ。観客は戦場に今まさに居合わせたような感覚に陥ること必定の圧倒的臨場感…。天才クリストファー・ノーランの醍醐味を体感する106分。

第175回世日クラブ講演会ご案内

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  テーマ

     「習近平新体制と東アジア危機」

 

(講師:遠藤 誉氏)

 

 世日クラブ第175回定期講演会を10月25日(水)に開催いたします。今回は、東京福祉大学国際交流センター長の遠藤誉氏を講師に迎え、「習近平新体制と東アジア危機」のテーマとなります。

 

 中国の習近平国家主席がさらなる権力集中を目指す、5年に1度の共産党大会が10月18日から開催されます。側近の登用や自らの政治思想を盛り込む党規約改正などを実現させる見通しです。2期目の習新体制がどのようなものになるのか。また、核・ミサイル開発を強行する北朝鮮に対する制裁で最大の鍵を握る中国ですが、その本音はどこにあるのか。対米、対日関係を含め、東アジア危機の中で、習新体制がどう動くかを遠藤氏に語っていただきます。

 

<講師プロフィール>

えんどう ほまれ
 1941年生まれ。日中戦争終結後も日本の独立回復まで中国で教育を受けた。1952年、日本へ引き揚げ。東京都立大学大学院理学研究科博士課程単位取得。千葉大学、筑波大学教授を歴任。現在は、東京福祉大学国際交流センター長(特任教授)、筑波大学名誉教授。著書に、「チャーズ 出口なき大地」(読売新聞)「毛沢東 日本軍と共謀した男」(新潮新書)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)など多数。

 

【演題】「習近平新体制と東アジア危機」
【講師】遠藤 誉氏 (東京福祉大学国際交流センター長)
【日時】平成29年10月25日(水)18:00受付開始、18:30開演
【会場】〒112‐0003 東京都文京区春日1-16-21 文京シビックセンター26階スカイホール
【会場に関する問い合わせ】03-5803-1100(財)文京アカデミー施設管理係
【交通案内】東京メトロ丸の内線、南北線の後楽園駅徒歩3分、都営地下鉄三田線、大江戸線の春日駅徒歩3分、JR中央・総武線の水道橋駅徒歩10分
【参加費】2千円(会員無料)

【主催/後援】世日クラブ/世界日報社、言論人フォーラム

【連絡先】世日クラブ事務局・柏木、電話047(314)5761、FAX047(314)5762、HPはhttp://senichi-club.net

 


リバイバル映画「野良犬」を観る

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 敗戦からしばらく経た東京。警視庁捜査一課の新米刑事である村上(三船敏郎)は、満員バスの中で拳銃を掏られてしまう。やがてその拳銃を使った強盗事件が発生。自責の念から上司である係長に辞表を提出した村上だったが、目の前でそれを破かれる。そしてベテラン刑事である佐藤(志村喬)の下に付き、捜査を自ら担当することになった。

 

 その後も村上の拳銃を使った事件が発生し、さすがに捜査一課も当惑の色を隠せない。そんな中、若さから功を焦り、捜査が上滑りしていく村上を諫めつつ、足で得た情報をもとに確実に犯人を追い詰めていくベテラン刑事佐藤。ついに犯人の潜伏先を突き止めるが…。

 

 1949年の黒澤明監督作品。敗戦から数年がたち、復興する街並みや人々の暮らし、そして川上哲治擁する巨人対ホークス戦の盛り上がりぶりを劇中のシーンに使用し、平和な時代の到来を活写する一方、まだ戦争の暗い影も色濃く残っている。村上はじめ、主な登場人物は復員兵であり、加えて戦争未亡人、戦争孤児などいたるところにその傷跡がみえる。村上ら兵隊は戦時中、お国のためとして、青春時代を生死を賭けて戦場に費やした。だが、復員してみれば、世間の風は冷たかった。傷ついた体と心にさらに塩をすりこまれる体験が一度や二度ではなかったはずだ。

 

 主人公の村上も犯人である遊佐も戦後、同じ立場から出発した。彼らは劇中”アプレゲール”(戦後派)という当時の流行り言葉で象徴される存在だった。その後、二人が進んだ道は正反対だったが、歯車が少し狂えば、立場が逆転してしまうこともあり得ただろう。事ほどさように人生とは紙一重。誰しもおのれの人生を振り返り、あの時ああしておけばとか、あんなことしなければなど、後悔の念もあろうが、逆にあの経験や決断があるからこそ今があるということも言えるはず。今現在が破滅的な人生でなければ、全て感謝してまた歩み出そうではないか。

 

 なお佐藤の家に招かれた村上がすっかり寝入った佐藤の子供

らのあどけない寝顔を見て、二人で破顔一笑するシーンが印象的だが、これはたとい貧しくとも健やかな家族の存在こそ平和の礎というメッセージであったろう。

 

 約70年前のモノクロ作品が、4Kリマスターによって、大スクリーンでもまったく遜色なく美しく蘇る。29歳の三船敏郎の愚直で清新な演技も眩しい。TOHOシネマズ系劇場の「午前十時の映画祭8」で上映中。

月刊ビューポイント11月号発行しました

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ビューポイント11月号の内容は以下のとおり

 

★フォトギャラリー

  カンボジアのアンコールワット遺跡群

★どう見る北の脅威(インタビュー)

  伊藤俊幸(元海将・金沢工業大学虎ノ門大学院教授)

   ・「核ICBM」完成は当分先

   ・米政権は軍事攻撃に慎重 (聞き手=早川俊行)

  ブルース・クリングナー(米ヘリテージ財団上級研究員)

   ・冷戦型の封じ込め政策を

   ・核保有容認は危険な考え (聞き手=ワシントン・岩城喜之)

★北暴走 揺れる韓国

  ・THAAD配備 反対派が資材搬入を”検問”

  ・戦術核再配備 6割賛成、「標的化」警戒も

  ・金正恩氏の素顔 過度な勝負欲、ソウル占領へ檄

  ・核凍結で米朝ディールも

   元青瓦台外交安保首席秘書官 千英宇氏に聞く

                       (聞き手=ソウル・上田勇実)

★ムスリム同胞団とアラブ

  モハメド・F・ファラハト氏(アルアハラム・政治戦略研究所)に聞く 

   ・カタール断交 米政権交代が引き金に

   ・同胞団の豹変 エジプト革命後に暴力化

   ・警戒するアラブ諸国 トルコが同胞団の拠点、欧州に浸透も

   ・オバマ米前政権の失策 過激派抑止とは逆の結果に  

                       (聞き手=カイロ・鈴木眞吉)

★高永喆の半島NOW

  中国も脅かす北朝鮮の核

★ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・北朝鮮の電磁パルス攻撃能力、人工衛星に搭載の可能性も

  ・中国、北にミサイル移動車両を売却

★ワールド・スコープ

  ・中国で小中学校に新教科書

    革命礼賛、国家意識が前面に(香港・深川耕治)

  ・韓国・文政権、高支持率にも危うさ

    世論左傾化、半島危機に非力(ソウル・上田勇実)

  ・比、泥沼化する麻薬戦争

    警官による未成年者殺害相次ぐ(マニラ・福島純一)

  ・半世紀迎えたASEAN

    全会一致主義に光と影(池永達夫)

  ・「夜と霧」のヴィクトール・フランクル没後20年

    現代人の魂を癒す精神分析学開拓(ウィーン・小川敏)

★沖縄から

  ・来年2月の名護市長選、自民は候補者選びで出遅れ

    市会派決定も県連公認出さず(那覇・豊田剛)

  ・米国統治時代の再評価を ジャーナリスト恵隆之介氏に聞く

    偏狭な「地方主義」に陥る知事(聞き手=豊田剛)

★持論時論(インタビュー)

  ・NYで磨いたインタビュー

    「武器は走りながら拾え」が信条

            (高橋克明・「ニューヨークBIZ」CEO兼発行人)

  ・小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業

    ふるさとに愛着を抱く子供に

            (北村善春・北海道教育庁学校教育局長)

  ・無宗教化社会でいいのか

    簡略化する葬式、お坊さんは発信を

            (瑞田信弘・浄土真宗本願寺派称賛寺住職)

  ・海の守護神・海上保安巡視船

    「正義仁愛」精神で治安守る

            (日當博喜・海上保安大学校名誉教授)

★救国救世ビジョンー家庭再建講座2

  第一章 少子高齢化がもたらす日本の未来 

    2.人口減少社会に未来はあるか

★防衛レーダー

  官民でシェルター設置を濱口和久

★国際レーダー

 ・拉致問題にも重大な時

   河野外相はバッジ着用を

 ・「人道上戦後最悪の危機」

   飢餓地帯支援も忘れまい(山田寛

★教育

  道徳授業パワーアップセミナー

   人生の分岐点で選択する力を育む(太田和宏)

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html    

中国腐敗の根源は一党支配体制 遠藤誉氏が世日クラブで講演

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中国腐敗の根源は一党支配体制

遠藤誉氏が世日クラブで講演

(世界日報10/26付1面より)
一帯一路への協力は危険

 中国問題に詳しい遠藤誉氏(東京福祉大学国際交流センター長)は25日、世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)で「習近平新体制と東アジア危機」と題し講演し、5年に1度の共産党大会を終えたばかりの中国新体制に対し「江沢民氏、胡錦濤氏、習近平氏の3代の赤い皇帝に仕え、政界入りに関心がなかった王滬寧氏(中共中央政策研究室主任)をチャイナセブン(政治局常務委員)に入れたことは、一党体制が揺らぐ危機意識があり、そばに置いておかないとやっていけないとの思いがあった」との見方を示した。。

 

 また遠藤氏は「腐敗一掃に動く中国だが、腐敗の根源は一党支配体制にあり、自己矛盾もいいとこだ」と批判し「ハエもトラも叩(たた)く」腐敗一掃運動の限界を明らかにした。

 さらに遠藤氏は核とミサイルによる挑発行動で極東の安全保障を揺るがしている北朝鮮に対し、「北朝鮮がグアムなどを攻撃し米が反撃すれば中国は中立を維持する」としながらも、「ひとたび米軍が38度線を越えて北へ進攻すれば、中国は直ちに必要な軍事介入をする」と予測した。

 そして遠藤氏は「中国が北朝鮮の核に徹底して反対するのは、日韓が核保有する懸念があることが最大の理由だ」との見解を述べた。

 なお遠藤氏は中国のユーラシア経済圏構築に動く一帯一路構想に対し、「日本の関与は中国の世界制覇に手を貸すだけで危険だ」と懸念を表明した。

 講演に先立ち、同クラブの近藤会長は「共産党大会を終えた中国は今後、ますます言論統制を強化してくる。65万人の在日中国人のうち、3万人がスパイ活動に従事しているともいわれ注意が必要」と訴えた。

 

映画「ミックス。」を観る

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 かつて天才卓球少女だった多満子(新垣結衣)も今ではすっかり普通のOL。ただ28歳となり、片付いていく友人を尻目に焦る毎日。そんな中、ひょんなことから同じ会社の卓球部のイケメンエースである江島(瀬戸康史)と急接近し、二人は付き合い始める。長かった冬が過ぎ、ようやく春が訪れたかとニヤケ顔の多満子だったのも束の間、クリスマスの晩、江島の部屋で新入社員の美人卓球選手・小笠原に江島が寝取られる現場に遭遇。怒り心頭に発した多満子はヤケ酒をあおり、その勢いのまま退職して田舎の実家に舞い戻ってきた。

 

 実家に帰ってみるとそこには亡き母(真木よう子)が経営していた卓球クラブが多満子の友人の弥生(広末涼子)によって細々と営まれていた。ただ、父(小日向文世)はそろそろクラブを畳もうかという。ところで多満子が天才少女と呼ばれるまでになったのは母親の度を超えたスパルタ教育によるものだった。多満子にしてみれば思い出すことすら苦痛のトラウマ状態で、母の死後、ラケットを握ることすらなかったのだ。

 

 そんな折、江島・小笠原ペアの活躍ぶりが伝えらえるテレビ映像を偶然目にし、メラメラと闘志が燃え上がった多満子が二人の打倒とクラブの再起に向けて立ち上がる。

 

 「ミックス」って、何のことはない、卓球の男女混合ダブルスのこと。ストーリーも取って付けたようなもので、ガッキーファンのための作品と言えなくもない。そう言う当方もTBS日曜劇場「空飛ぶ広報室」以来、ガッキーファンを自任するが、ただ回想シーンでのセーラー服姿の彼女にはさすがにオエっときた。本作の醍醐味はやっぱり登場人物の濃すぎるキャラとそのキャスティングの妙だ。真木よう子の鬼母ぶりも面白いし、遠藤憲一のひ弱で気のいい農家の主人もいい。広末涼子の元ヤンセレブ妻も味がある。わけても超ウケたのが中華料理店の中国人ホール係に扮した蒼井優。超荒っぽいサービスと中国語なまりの日本語で、端役ながら存在感たっぷり。中国人の店主役の森崎博之とのコンビもぴったりだ。しかし彼女よーやるわ。

 

 おっと、もう一人の主役を忘れたらいかん。多満子とペアを組む元プロボクサー萩原役の瑛太。彼は当方のこれまでの印象としては、イケメンだけど線が細いなというイメージしかなかったけど、本作では多満子がじわじわと心惹かれていくように、男前ぶりが際立ついい俳優になったなと。彼が発する「不器用でも一生懸命生きている奴を馬鹿にするな!」のセリフは本作の中核的メッセージでもある。もっとも今回、漫才師トレエン・斎藤さんとの長い絡みはイタかったけど…。それはそうと、彼のこれからの活躍にも期待したい。

 

 最後に、イマドキの男女の愛情表現を映してか、人目も憚らず抱きしめ合ってブチューとやるシーンに一言、欧米か!!

リバイバル映画「天国と地獄」を観る

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 大手靴メーカー・ナショナルシューズの常務である権藤(三船敏郎)は、自宅に押しかけてきた同社の現体制に不満を持つ経営幹部らと侃侃諤諤の激論を交わしていた。結局、職人気質の権藤と合理化を求める彼らとの反りが合わず、物別れに終わった。やにわに電話が鳴り、権藤が出てみると、「お宅の息子を誘拐した」との声。狼狽する権藤だったが結局、誘拐されたのは権藤家のお抱え運転手の息子だった。一旦は安堵するも、誘拐犯は人違いを認めながら身代金の要求を権藤に突き付けてきた。その額、まったく法外な3000万円で、この要求が呑めなければ子供を殺すという。

 

 折も折、権藤は会社の実権を握るための切り札を携え、一世一代の大勝負に今まさに打って出ようとする矢先だった。それを断念すれば、身代金は用意できる。権藤に土下座して泣きつく運転手の青木。だが、身代金の代わりにチャンスを棒に振るばかりか、人生の転落を余儀なくされるであろう。一晩悩み抜いた挙句、権藤が下した決断は? そしてこの並外れた知能犯と戸倉警部(仲代達矢)率いる警視庁の捜査チームの息詰まる攻防の結末はいかに?

 

 本作は1963年の公開であり、作中の設定もそのままだろうから、日本は高度経済成長の真っただ中。が、すでに富める者と富まざる者が存在した。いつの世にも格差は存在し、事の良し悪しは別として、利に聡い者とそうでない者の格差は歴然だ。権藤は絵に描いたようなブルジョアであり、庶民の暮らしを眼下に見下ろす小高い丘の上に白亜の豪邸を構えていた。一方、誘拐犯の竹中(山崎努)はその豪邸を長屋アパートの4畳半の部屋の窓から、うらめしそうに眺める毎日を送るプロレタリアートといえた。世情は60年安保闘争を機に学生運動の嵐が吹き荒れる時期であり、竹中も容易にアカにかぶれる環境と思想傾向にあったと思われるが、本作はそんな階級闘争史観には与していない。

 

 確かに権藤が常務を務めるナショナルシューズの幹部たち、いわゆる資本家らは、ひたすらその立身出世のため、顧客や従業員そっちのけで権謀術数を巡らすのに余念がない。そこは権藤とて野心家ではあるものの、彼は職人からの叩き上げで、情の人であり、部下からの信頼も厚かった。ただその権藤にしてからが、誘拐されたのが自分の息子か他人の息子かで対応が180度違う様子がうかがえる。本作はいわば極限状況において、人間に潜む業の根深さを抉りとってみせるようだ。とりわけ三船の存在感と山崎のそれに引けを取らぬ怪演が対峙するラストシーンには圧倒される。

 

 本作は、黒澤明の手になる半世紀以上前の作品ながら、主演である三船敏郎の脂の乗った演技もさることながら、スリリングなストーリー展開もまったく色褪せない、スクリーンにくぎ付けの140分。それだけでない。仲代達矢はじめ三橋達也、加藤武、東野英二郎、名古屋章、大滝秀治、山崎努などなど若き日の名優たちが脇を固める。わけても当時32歳の香川京子の楚々とした美しさにはうっとり。暫し、われ昭和ノスタルジーを堪能せり。東宝系劇場の「午前十時の映画祭8」にて上映中。

中国腐敗の根源は一党支配体制 遠藤誉氏が世日クラブで講演

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一帯一路への協力は危険

 

 中国問題に詳しい遠藤誉氏(東京福祉大学国際交流センター長)は25日、世界日報の読者でつくる世日クラブ(会長=近藤讓良・近藤プランニングス代表取締役)で「習近平新体制と東アジア危機」と題し講演し、5年に1度の共産党大会を終えたばかりの中国新体制に対し「江沢民氏、胡錦濤氏、習近平氏の3代の赤い皇帝に仕え、政界入りに関心がなかった王滬寧氏(中共中央政策研究室主任)をチャイナセブン(政治局常務委員)に入れたことは、一党体制が揺らぐ危機意識があり、そばに置いておかないとやっていけないとの思いがあった」との見方を示した。

 

 

 また遠藤氏は「腐敗一掃に動く中国だが、腐敗の根源は一党支配体制にあり、自己矛盾もいいとこだ」と批判し「ハエもトラも叩(たた)く」腐敗一掃運動の限界を明らかにした。 さらに遠藤氏は核とミサイルによる挑発行動で極東の安全保障を揺るがしている北朝鮮に対し、「北朝鮮がグアムなどを攻撃し米が反撃すれば中国は中立を維持する」としながらも、「ひとたび米軍が38度線を越えて北へ進攻すれば、中国は直ちに必要な軍事介入をする」と予測した。 そして遠藤氏は「中国が北朝鮮の核に徹底して反対するのは、日韓が核保有する懸念があることが最大の理由だ」との見解を述べた。 なお遠藤氏は中国のユーラシア経済圏構築に動く一帯一路構想に対し、「日本の関与は中国の世界制覇に手を貸すだけで危険だ」と懸念を表明した。 講演に先立ち、同クラブの近藤会長は「共産党大会を終えた中国は今後、ますます言論統制を強化してくる。65万人の在日中国人のうち、3万人がスパイ活動に従事しているともいわれ注意が必要」と訴えた。(世界日報10/26付1面より)

世界日報社から新刊出ました

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 毎週日曜日8:45~9:15にラジオ日本でオンエア中の「政界キーパーソンに聞くー21世紀日本への提言ー」は、ホスト役の元衆議院議員(厚生・自治政務次官)である政治評論家・長野祐也氏が毎回、与野党のキーパーソンを招き、その専門とする政策や時々刻々の政局などについてズバリ聞く番組で、今年で18年目を迎えました。

 

 この度、平成28年4月から平成29年3月までにオンエアされた同番組の内容を収録した長野祐也編集「日本が動く時~政界キーパーソンに聞くPART17」が世界日報社から出版の運びとなりました。350ページという大著ですが、自民党はじめ与野党の要人、特に共産党まで網羅する幅広い人選とラジオならではという本音がうかがえ、政治と政治家の人となりを知る絶好書です。

 

以下本書の内容

 

はじめに

目次

<第1部:白熱の対談>

・極東情勢踏まえ安保法で必要な体制を整備 (自民党幹事長・谷垣禎一

・歴史的な3党合意生かす改革実現を (前民主党政調会長・細野豪志

・景気と社会保障の両方の議論を (地方創生担当大臣・石破茂

・国民の合意形成し慎重に憲法改正を (自民党総務会長・二階俊博

・女性の元気を党に吹き込み対案示す姿を発信 (民進党政調会長・山尾志桜里

・伊勢志摩サミットで世界経済の認識共有でき成果 (内閣官房副長官・世耕弘成

・野党共闘で肉薄した北海道5区補選 (毎日新聞専門編集委員・倉重篤郎

・参院選で与党善戦、維新加え3分の2も視野 (アスク㈱代表取締役/選挙プランナー・三浦博史

・政治が劣化しあるべき姿を提示できない (毎日新聞特別顧問・松田喬和

・参院選―違う土俵で相撲取り政策論争深まらず (読売新聞特別編集委員・橋本五郎

・参議院選挙を振り返って (長野祐也

・共産党主導の野党政局を改めよ (民進党衆議院議員・長島昭久

・東京都知事選を振り返って (長野祐也

・「築城3年、落城1日」の緊張感で対処せよ (自民党副総裁・高村正彦

・持続可能性と独立性の回復こそ国家の課題 (前地方創生担当大臣・石破茂

・「税と社会保障の一体改革」を自公民で再確認を (厚生労働大臣・塩崎恭久

・「ご近所」のアジア諸国と手を握って前進 (自民党幹事長・二階俊博

・「大衆と共に」の立党精神でブランド政策を拡大 (公明党代表・山口那津男

・日本経済復興へのポストアベノミクスを本気で考える (民進党幹事長代理・玉木雄一郎

・50年後の理想の国家像を国会で議論せよ (読売新聞特別編集委員・橋本五郎

・日米同盟がなぜ必要か米国に理解させよ (政治アナリスト・横江公美)

・一国主義的な欧米、日本は「和の精神」を (自民党幹事長代行・下村博文

・野党第一党になり自民と戦う権利を得る (日本維新の会国会議員団政務調査会長・下地幹郎

・今年を振り返って (長野祐也

・2017年政治展望 (読売新聞特別編集委員・橋本五郎/毎日新聞特別顧問・松田喬和

・共産と組んで改憲議論できないのは本末転倒 (民進党代表代行・細野豪志

・予算、税制改正で「希望がゆきわたる国へ」 (公明党中央幹事会会長・漆原良夫

・かつてない長期政権になる可能性も (自民党広報本部長・平沢勝栄

・「野党は共闘」の大きな声に応える責任 (日本共産党書記局長・小池晃

・医療と介護の連携で地域包括ケアシステム推進 (自民党政調会長代理・田村憲久

・若い世代・人への投資を一番訴えたい (民進党政調会長・大串博志

<第2部:政局レポート>

第51回 トランプ勝利で必要な安倍総理の熟考

第52回 総選挙で「与党60議席減」の衝撃

第53回 ”相対的安定”は長期政権につながるか

第54回 不祥事が示す安倍政権の「緩み」

第55回 ウルトラ長期政権の挑むべき課題

第56回 自民・公明の亀裂は深刻か

第57回 憲法改正発言とウルトラ長期政権

第58回 「安倍1強」は変わるのか

第59回 内閣支持率急落と憲法議論の今後

第60回 安倍政権はいつまでもつか

第61回 安倍政権を支える?北朝鮮の脅威

 

(編集者略歴)

長野祐也(ながのすけなり)

 昭和14年6月27日生まれ。鹿児島市西田小、城西中、玉龍高校、中央大学法学部政治学科卒業。昭和38年4月、田中茂穂参議院議員秘書。昭和46年4月、鹿児島県議会議員。昭和55年6月、鹿児島県衆議院議員選挙史上最高点で当選。以来3期連続当選。衆議院第45代議事進行係、自民党遊説局長などを歴任。昭和62年11月、竹下内閣で厚生政務次官、平成元年6月、宇野内閣および8月、海部内閣で自治政務次官に就任。昭和63年1月、ロンドンエイズサミット日本政府代表。社団法人日本エアロビックフィットネス協会会長に就任。平成8年7月政界引退。同年9月、評論活動。桐蔭横浜大学法学部客員教授(政治学)、川崎医療福祉大学客員教授(社会保障論)を経て、現在、政治評論家。「ラジオ日本」パーソナリティ。鹿児島県薩摩大使。(社)日本評論家協会会員、放送人政治懇話会会員、千代田プレスクラブ会員。平成21年11月旭日重光賞(旧勲二等)受賞。


「救国救世」もまず知ることから

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 11月1日付、世界日報14面<国際企画>欄の連載、「山田寛の国際レーダー」は、「解放された女性たちのため 戦後70年談話を実践する時」の見出しで、ISなど過激派に拉致され、その後、解放された女性たちの苦悩とその支援への要請を記す。

 

 14年8月、モスル市北側のヤジディ教徒の村々が襲われ、男は殺され、6500人の女性と子どもが拉致され、女性、少女は性奴隷としてⅠS兵士に売買されたという。シリアのモスル解放直後の今年8月の時点でも3400人が未帰還。未帰還者はむろんだが、解放された女性たちも苦難が続くと。ニューヨークタイムズ紙記者が最近、そんな16歳の少女と会ったのだが、精神的打撃と栄養不良でこんこんと眠り続け、起き上がれなかったとのこと。解放女性の90%が、ある期間こんな具合で、その後も恐怖でおびえ続けているのだと。26歳の女性はニューヨーカー誌記者に、「心の中が壊れ、もう回復できない」と語ったという。

 

 拉致を実行する過激派は、ISをはじめ、ナイジェリアのボコハラムは5年前から2000人以上、ウガンダ北部を拠点としたキリスト教過激派「神の抵抗軍」は20年にわたって少年少女3万人を拉致し、うち8000人が少女だったという。近年、ここからも多くの被害者が解放されたのだそうだ。

 

 ただ、どこでも解放=幸福にならないと。上記の如く、心の傷は深く、なおその帰還が共同体や家族から歓迎されないことが多いのだと。なんとなれば、ボコハラムは拉致少女を自爆犯にも用いるし、警戒され、怖れられる。乳幼児を抱えて帰る女性も多い。HIV感染者も少なくない。居場所がなく貧困に苦しむというわけだ。

 

 そこで山田氏は安倍首相の戦後70年談話の以下のくだりを持ち出す。

「20世紀の戦時下、多くの女性の尊厳や名誉が深く傷つけられたことを、胸に刻み続ける。わが国はそうした女性たちの心に、常に寄り添いたい。女性の人権が傷つけられない21世紀とするため、世界をリードして行く」

 

 そして、山田氏は、「今でしょ!それを実行するのは」と政府の尻を叩くのだ。なおかつ、「慰安婦少女像」と違い、「21世紀の性奴隷の像」はどこにも建たないだろうが、とした上で、「日本の支援で笑顔を取り戻した女性の像を、皆の心の中に建てたいと思う」と結ぶ。

 

 長年読売新聞の特派員として、サイゴン、バンコク、パリを歴任し、最後はアメリカ総局長まで務めた山田氏。その特派員生活の中で、ベトナム戦争やカンボジア内戦、アフガン戦争、そしてインドシナ、アフリカ難民、アフリカの飢餓などを直接取材した経験をもつ氏ならではの実感のこもった叫びである。

 

 翻ってわれわれは「救国救世」を標ぼうするムーブメントの同士である。国内はもとより世界の困難な問題に目を向ける責務を負う。むろん個人としてできる事、できない事がある。ただ、無関心からは何の情熱も意欲も生まれてこない。少なくとも本件が示すような情報を常にインプットする努力は求められる。そのために世界日報はあるのだけどなぁ。

 

 韓国は旧日本軍による根拠薄弱な慰安婦問題をあげつらうことには熱心だが、本件が伝える状況に同等の怒りと正義感をもって積極的に支援しているとは寡聞にして聞かない。なおわがムーブメントは内輪ウケを狙った自己満足に終始するサロンと化していないか。彼女らへの悲痛な思いがその祈りのうちに込められているだろうか。やはり反省してみるべきだろう。日本と世界で喫緊かつ深刻な問題が山積している。まず知ることから始めよう。

緊急集会「尖閣・沖縄そして台湾~中国の侵略・覇権を断乎阻止しよう~」開催

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 11月11日(土)、都内において「尖閣・沖縄そして台湾~中国の侵略・覇権を断乎阻止しよう」が開催されました。メインは4名の識者による講演。

 

トゥール・ムハメット氏(日本ウイグル連盟会長)

 

 冒頭、来賓である日本ウイグル連盟会長のトゥール・ムハメット氏は、中共を「無慈悲、残虐、欺瞞」に満ちた集団と呼び、中共に侵略された祖国である東トルキスタンを独立させるべくリーダーであるラディア・カーディル女史を先頭に闘い続けるので、支援して頂きたいとあいさつ。

 

宮崎正弘氏(評論家・東シナ海を考える会代表)

 

 そして本会の主催者である「東シナ海を考える会」代表・宮崎正弘氏が基調講演。その中で宮崎氏は日本は主権国家でしょうかと問題提起。同胞が拉致されたとしたら、普通の国なら軍隊を派遣してでも取り返すはず。ところが日本では、米大統領が被害者家族に会ってくれてくれたから有難いというだけ。北朝鮮の核について、これは日本の安全保障にとって、直接の脅威だ。これまた普通の国なら、先手を打って空爆してしまうのが筋のはずだ。イスラエルはイラクのオシラク原子炉を自分たちの脅威だとして、空爆により破壊した。そしてイランで建設中だった原子炉にサイバー攻撃を仕掛け、シリアの原子炉施設お同様に空爆により破壊している。つまり自国の安全保障の脅威となるとわかれば、先制攻撃によりその脅威を取り除くというのが普通の国家のやるべきこと。それもこれも日米安保条約により、日本が保護領化したためだが、これを克服すべきだと述べた。

 

「沖縄の現状と国連報告」

我那覇真子氏(琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会運営代表委員)

 

 我那覇氏は中国空軍機による沖縄への領空侵犯が昨年1168回を数えたことを憂慮。そして島民としてはもはやこれは平和とは呼べないと危機感をあらわにした。それから外からの軍事的圧力に加え、内部からの情報工作があるとして、沖縄タイムズ・琉球新報をはじめとするマスコミを俎上に上せ、これらは諜報機関と呼ぶ方がふさわしいと断じて以下のような実例を示した。

 

 2016年末、公安調査庁が公表した「内外情勢の回顧と展望」において、「中国の大学・シンクタンクが沖縄独立求める団体関係者と交流深める」「中国に有利な世論 沖縄で作ることで日本国内の分断を図る狙いが潜むとみられる」と指摘したが、それに対する琉球新報の社説は、「ネット上の流布するデマや中傷をかき集めただけの文書だ。それを政府機関が作成し、堂々と発表するのだからあぜんとする」と書いた。さらに琉球新報、沖縄タイムスの記者が立ち入り禁止区域に侵入し警告にも従わなかった事があきらかになり防衛局は警告文書を報道各社へ送ったが、それに対する新報の社説は「明らかに工事の加速化を意図したメディア排除だ。許しがたい取材妨害であり、言論の自由を侵す暴挙と言わざるを得ない」と書いたと。

 

 なお我那覇氏は、「正す会」を立ち上げた理由として、どんな正しい主張や活動をやっても、それが伝わらなければ、なかったものとされてしまう。今、沖縄は、言論の場としての「制空権」を奪われた状態であり、その制空権奪還のためにという動機だったと語った。

 

 

 「東シナ海問題における台湾の役割」

李明峻氏(台湾安保協会副理事長)

 

 李氏は台湾が北東アジアにも、東南アジアにも属するという戦略的位置を占めると解説。そのうえで中国の海洋進出について、以下のように論じた。中国は太平洋進出とインド洋進出の両方をもくろむ。そのためには第一列島線をどうしても突破しなければならない。そしてそのルートは沖縄周辺を通るか南シナ海を通るかだが、それは台湾を挟むかたちとなっている。東アジアにはマラッカ海峡、台湾海峡、バシー海峡という重要な3つの海峡がある。そのうち後者2つは台湾がコントロールできる。よって中国はどうしても台湾を獲得したい。もし台湾が中国の一部になれば、日本の生命線は中国の手に握られることになる。その時日本は、再軍備するか、二等国家に転げ落ちるかの選択肢しかないと。

 

 ところで日本は外国との戦争はおろか、防衛戦争もできない国だと李氏。なぜなら、憲法第9条の縛りにより、国内法で制限されているとして次の5つの問題を指摘。まず軍法がない。自衛隊法は警察法。戦争する場合は軍事法廷が必要。2つ目はプラクティスコードがない。3つ目に予備軍がない。台湾は27万人の軍隊と予備軍が250万人。4つ目は緊急命令がない。5つ目は総動員法がないを列挙した。

 

 次にこれからの日台関係について李氏は、台湾と日本は軍事力は決して弱くなく、日台が協力すれば世界有数の強い同盟になれると。ただ今の日米台の軍事関係はかなりアンバランス。日米には日米同盟があり、台米間には台湾関係法がある。台湾の武器はアメリカが供給している。だが、日台間には何もない。ただ日本は憲法改正すれば、上記の問題は解決できる。蔡英文政権と国会も独立派の民進党が議席の過半数を占めたので、これからいろんなことができるとした。

 

 最後に李氏は、今現在日台両国におけるもっとも深刻な問題は、大多数の国民に危機感がないことだと警鐘を鳴らした。

 

「アメリカ軍から見た台湾と日本の防衛」

飯柴智亮氏(元米国陸軍大尉)

 

  飯柴氏は、アメリカの世界戦略を考える上でポイントとなる3つのワード―「戦略」、「作戦」、「戦術」について以下のように論じた。まず戦略には、国家戦略がありそれは4本柱(D・I・M・E)からなる。D=diplomacy(外交),Ⅰ=information(情報)、M=military(軍事)、E=economics(経済)。このうち、3つを押さえていれば、世界のスーパーパワーとなる。米国は今現在それを押さえている。国家戦略の下に位置するのが、軍事戦略。米軍は世界を戦域(theater)に分けている。米国本土を含む北方軍、中南米を含めた南方軍、欧州軍、アフリカ軍、中央軍、太平洋軍の6つ。米国は軍事戦略を考える際に、この戦域を中心に考える。軍事戦略の下にある作戦―例えば「航行の自由作戦」など―とは何か。一人の司令官(中将以上)の指揮下で、軍団以上の部隊が統一された目的に向かって行う軍事行動。作戦の中で、旅団以下で行うことを戦術(tactics)と言う。

 

 東シナ海問題について飯柴氏は、米国では戦域を使って太平洋軍の管轄の一部の問題として扱うと指摘し次のように論じた。台湾問題について今のトランプ大統領は本音では台湾の独立を望んでいる。台湾有事の際、米軍はどういう行動をとるか。中国は台湾侵略のためには空母三隻体制が必要とみて着々と進めている。その空母3隻に台湾が包囲されたとき、米軍はどう動くか。まずマラッカ海峡を封鎖する。そうなれば中国は1年以内に石油が枯渇するだろう。こういう事態を想定して、中国はマラッカ海峡を通らないルートの確保に懸命である。陸上のパイプラインや鉄道網などの整備がそうだ。ことほど左様に中国の国家戦略とはエネルギー戦略なのだ。だが、やはりマラッカ海峡は外せない。米国の太平洋軍が管轄するのは第七艦隊だが、その船舶によって中国のエネルギー補給船やタンカーなどすべて拿捕、通行不可、はては撃沈ということが行われる。インド洋の真ん中にディエゴガルシア島があるが、米国にとって重要な戦略拠点であり、中国船舶への攻撃が想定される。

 

 そして中国の実力について。中国の第一号空母「遼寧」はガラクタ。空母は単体では無防備であり、必ず艦隊を必要とする。艦隊は音楽に例えればオーケストラだ。交響曲を奏でるのに似ていて、全員が一紙乱れず行動する技術が必要であり、これは一朝一夕でできるものでなく、今のところ米国が追い抜かれる心配はない。対する米国はことし、最新型原子力空母(CBN78号)ジェラルド・フォード級が進水した。これは米国の軍事技術の粋を集めた自信作。ケータイに例えるなら、中国の空母はガラケーであり、フォード級の空母は最新型のスマホといえる。そして、CBN79の進水予定が2021年。CBN80が2024~25年予定。この三隻が完成すれば中国は手も足もでなくなる。更に最新型潜水艦やF-22の後継である第6世代の戦闘機の開発に入っている。中国は超限戦によってこれを妨害もしくは技術の盗用を仕掛けてくるだろうとした。

 

 最後に飯柴氏は、台湾が取られたら日本は全て終わりと断言。日本防衛のためにはまず台湾を防衛しなければならないと締めくくった。

 

「アジア解放の中国共産党との戦い」

 藤井厳喜氏(国際政治学者)

 

 藤井氏は、安倍首相が唱える9条加憲論に対して、非常に妥協的だとしながらもやらないよりはましだと発言。ただこれは現状の自衛隊を合憲とするだけであって、グローバルスタンダードの国軍には程遠い。李氏が指摘された軍法会議や軍内の司法制度などは国内法で整備しなければならないだろう。とにかくも人権や自由という問題やあるいは環境問題においても世界最悪の国が中国だ。これから南シナ海での米中の衝突は避けて通れないだろう。今現在、北の核・ミサイル危機が眼前にあるのは事実だが、北朝鮮より中国の脅威の方がはるかに大きいのだ。この事実に目覚めなければならないと喚起した。  

 

 最後に本会の後援団体である日本李登輝友の会事務局長の柚原正敬氏のあいさつ。

 

 第二次安倍政権下で安倍首相は前馬英九政権との間で日台漁業協定を結んだ。その際「北緯27度線を日本と台湾の海にしませんか」と持ち掛けた。アメリカにトランプ、台湾に蔡英文、日本に安倍という日台米関係にまたとない指導者がそろった。ただ日本には「台湾」と名の付く法律がない。米国では1979年1月1日「台湾関係法」制定。その年の4月10日にできた法律を中華人民共和国との国交樹立した1月1日までさかのぼって制定した。1982年7月、台湾に対する6つの保障を提案。台湾に武器を売却する場合事前に連絡しない、中国と台湾の間を仲介しないなどとならんで、台湾の主権に対する立場を変えないという文言がある。米国は去年、この提案の内容を連邦議会の下上両院が成文化した。共和党も民主党もこれを政治綱領に入れている。また米国は「国防授権法」を制定し、国防関係の高官が米台間を自由に行き来すると言う内容を盛り込んでいるし、さらに「台湾旅行法」を定め、政府高官が自由に行き来できるという内容になっている。日本版の「台湾関係法」=日台関係基本法が待ち望まれるところだ。

月刊ビューポイント12月号発行しました

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月刊ビューポイント12月号の内容は以下のとおり

 

★フォトギャラリー

 エジプトのクレオパトラ祭り

★衆院選2017

  ・9条改正の原点を忘れるな(政治部長・早川一郎)

 ◎衆院選大勝 安部政権への提言

   ・改憲先延ばしは政治の怠慢吉原恒雄・元拓殖大学教授

   ・少子化と地方創生こそ重要だ

         (ロバート・D・エルドリッヂ・エルドリッヂ研究所代表

   ・憲法改正へ守勢か攻勢に浅野和生・平成国際大学教授

★どう見る北の脅威

  ・米、中国との競争を最優先

      トーマス・マンケン(米戦略予算評価センター所長)  

  ・無人機が「対北SDI」に

      川村純彦(元統合幕僚学校副校長・海将補)

 ◎米で新構想、無人機で北朝鮮ミサイル迎撃(早川俊行)

 ◎無人機用いたミサイル防衛構想

      アーサー・ハーマン(米ハドソン研究所上級研究員)

★高永喆の半島NOW

  トランプ発言は対北心理戦

◇ワシントンから

  米シンクタンク、中国の圧力でシンポ中止

   汚職暴露の郭文貴氏が講演予定/懸念される言論の自由への介入(ワシントン・岩城喜之)

◇世日クラブ講演会

  中国腐敗の根源は一党支配体制

     (遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長

★宗教思想

  日本の看取りを考える全国大会

    生と死は教育の両輪(多田則明)

★ワシントン発 ビル・ガーツの眼

  ・中国、パキスタンに軍事施設建設

  ・中国人実業家・郭文貴氏巡りトランプ米政権内でも対立も

★ワールド・スコープ

  ・米でオピオイド蔓延が深刻化

    トランプ氏「国家の非常事態」(ワシントン・岩城喜之)

  ・ドイツ3党連立に不協和音

    難民受け入れ最上限公表(ウィーン・小川敏)

  ・パレスチナ統一政権樹立へ和解

    ファハタとハマス、10年の分裂終結へ(エルサレム・森田貴裕)

  ・在キューバ米外交官、相次ぐ健康被害

    トランプ政権、大使館閉鎖も検討(ワシントン・岩城喜之)

  ・後継見えぬ中国共産党大会

    習氏一強着々、3期目も視野(香港・深川耕治)

★WHO'S WHO ひと

  親から子への愛情伝える横山久吉郎・人形の「久月」社長

★沖縄から

  ・自民党が沖縄県議会で証拠挙げ翁長知事を追求

    「県民が自ら米軍に基地提供」 (那覇・豊田剛)

  ・衆院選沖縄4区、翁長知事派の仲里氏落選

    「オール沖縄」の一角崩れる (那覇・豊田剛)

★インタビュー

  ・米軍岩国基地

    朝鮮半島をにらんだ要衝の地(前野弘明・岩国市議会議員

  ・迫害下の新疆ウイグル

    中国、国外ウイグル人への強権

               (トゥール・ムハメット・日本ウイグル連盟会長

  ・脱北者の自由往来

    北送船主導した朝総連は解体を

               (川崎栄子・モドゥモイジャ代表

  ・高齢社会を生きる

    健康長寿の元は社会貢献にあり

               (中村實・全日本プロバス協議会会長

★防衛レーダー 

  9条論で自家撞着の共産濱口和久

★救国救世ビジョンー家庭再建講座3

  第一章 少子高齢化がもたらす日本の未来

    3.地方の消滅、そして日本全体の衰退へ

★国際レーダー

 ・フン・セン氏とスーチーさん 民主主義の死と正念場

 ・住民投票の宴のあと 民族独立の大困難時代(山田寛

★教育

 ・岩手県立種市高校の海洋開発科

     官民挙げて潜水士の育成目指す(市原幸彦)

 ・「歌舞伎のまち」石川県小松市

     市内の中学校が「勧進帳」を上演(日下一彦)

 

その他、論壇時評/メディアウオッチ/ビューポイント/社説 など

 

※月刊ビューポイント1か月無料試読出来ます。お申込みは下記URLをクリック!

http://viewpoint-web.com/otameshi.html   

  

映画「女神の見えざる手」を観る

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 銃による乱射事件が相次ぐアメリカ。事件の度に銃規制の世論が盛り上がるが、規制には至らずじまい。合衆国憲法修正第二条は、「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」とあり、これが米国民の銃保持による自衛の根拠だ。憲法で保障されている。今現在米国人が所有する銃の数は3億2千万の人口を超えるとされているが、銃の増加と殺人事件の件数には必ずしも相関関係はないという。

 

 銃規制反対の急先鋒で有名な全米ライフル協会(NRA)は、銃で自衛する人が増えることによって殺人事件は減ったとの見解を示しているようだ。そうだとしても銃規制法案が謳う銃購入者の履歴チェックの強化を反対する理由にはならないように思うし、また数が増えることによって、偶発的は暴発や自殺に使用される頻度が増えるのも事実だろう。本作で、暴漢が民間人によって射殺されるシーンがある。確かにそれは正義の行動として一人の人を救ったが、警察でもない一般人が自衛の名目一つで射殺できてしまう世界ってちょっと空恐ろしい気もする。

 

 そういうわけで、本作は米国人の琴線に触れる銃規制法案を巡って、ワシントン政界に巣くい虚々実々の駆け引きを展開するロビイストらの知られざる実態に迫るが、主人公エリザベス・スローン(ジェシカ・ジャスティン)が異常なのか、ロビイスト全体が異常なのか、こんなモンのさばらせて銃規制一つ実現できない米社会が異常なのか。その全部なのか…。要は世論が沸騰した際、一歩引いたスタンスで冷静に考えてみる必要があるということ。このフェイクニュース時代に自らの識見を高める不断の努力が欠かせない。

 

世界日報から新刊出ました

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 世界日報社から新刊、長野祐也編著「医療界キーパーソンに聞くPART4」が刊行されました。

 

 

 ラジオ日本で毎週月曜21:30~22:00にオンエア中の「長野祐也の医療界キーパーソンに聞く」。厚生事務次官や川崎医療関係福祉大学客員教授を務めたホスト役の長野祐也氏が、健康・医療・薬事・介護関係のエキスパート及び厚労省関係者と熱く語った対談集第4弾!

 

―本書の内容―

はじめに

<第1部:鼎談>

平成28年度の診療報酬改定と社会保障制度改革今村聡(日本医師会副会長)・渡辺由美子(厚生労働省保険局総務課長)

生涯健康脳 こんなカンタンなことで一生、健康でいられる!瀧靖之(東北大学加齢医学研究所教授)

湖山医療福祉グループの特色ある高齢者施設湖山泰成(湖山医療福祉グループ代表)・山下護(厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官)

さわらびグループの運営する福祉村は、医療介護施設の集合体山本左近(医療法人さわらび会副理事長・統括本部長)・山下護(厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官)

在宅歯科医療に向けての取り組み堀憲郎(日本歯科医師会会長)・田口円裕(厚生労働省医政局歯科保健課長)

ホリスティック医学は、体・心・命が一体となった人間を丸ごと対象とする帯津良一(帯津三敬病院名誉院長)

人は血管から老化する池谷敏郎(医療法人社団池谷医院院長)

天皇陛下の心臓バイパス手術の執刀医、これまでの歩み天野篤(順天堂医院院長)

ジェネリックからオーファンドラッグ事業へ大原誠司(大原薬品工業株式会社代表取締役社長)・山下護(厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室企画官)

がんの教育、予防、検診及び緩和ケア垣添忠生(日本対がん協会会長)・丹藤昌治(厚生労働省健康局がん・疾病対策課がん対策推進官)

食べるほど「美肌」になる食事法木下あおい(インナービューティープランナー・栄養管理士)

その医者のかかり方は損です長尾和宏(医療法人社団裕和会長尾クリニック院長)

感染症対策の重要性大曲貴夫(国立国際医療研究センター国際診療部長・感染症内科院長)

浅沼一成(厚生労働省健康局結核感染症課長)

我が国では民間医療機関が医療の主体となっている伊藤伸一(日本医療法人協会会長代行)

佐藤美幸(厚生労働省医政局医療経営支援課長)

国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン加藤照和(日本漢方生薬製剤協会会長・株式会社ツムラ代表取締役社長)

感染症に対する政府の新たなる取り組み山田安秀(内閣官房内閣審議官)

地域の生活者の相談相手、それが健康サポート薬局山本信夫(日本薬剤師会会長)・辺見聡(厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長)

厚生労働行政が担うこれからの社会保障田村憲久(自民党政務調査会長代理)・加納繁照(日本医療法人協会会長)

保険医療2035、新しい保険医療体制への転換を目指して山本雄士(株式会社ミナケア代表取締役)・高木有生(厚生労働省保険局医療介護連携政策課データヘルス・医療費最適化対策推進室長)

国のジェネリック医薬品の使用促進政策吉田逸郎(日本ジェネリック製薬協会会長・株式会社東和薬品代表取締役社長)・嶋田勝晃(厚生労働省医政局経済課後発医薬品使用促進専門官)

大地よりも広く、海よりも深く、空よりも高く、太陽よりも熱く島田潔(板橋区役所前診療所所長・医療法人社団平成医会理事長)・伯野春彦(厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長・在宅医療推進室長)

病気は人生の夏休み樋野興夫(順天堂大学医学部教授・がん哲学外来理事長)・濵卓至(厚生労働省健康局がん・疾病対策課課長補佐)

絶望を希望に変える癌治療横内正典(横内醫院院長)

緩やかな糖質制限、ロカボで食べるとやせていく山田悟(北里研究所病院糖尿病センター長)

医療という社会的共通資本、その資源配分は自律的専門集団の判断に委ねられるべきもの横倉義武(日本医師会会長)・鈴木康裕(厚生労働省保険局長)

睡眠は飛行機の整備のようなもの 睡眠は心身をメンテナンスし、明日に備えて機能回復を図る遠藤拓郎(医療法人社団スリープクリニック理事長)

日本の寝たきりを半分にする武久洋三(日本慢性期医療協会会長・医療法人平成博愛会博愛記念病院理事長)・佐々木健(厚生労働省医政局地域医療計画課長)            

※肩書は対談当時のもの

 

<第2部:社会保障レポート>

第43回 「ICTを活用した『次世代保健医療システム』の構築に向けて」

第44回 「平成29年度税制改正について」

第45回 「療養病床の在り方等に関する議論の整理について」

第46回 「『地域共生社会』の実現に向けて」

第47回 「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案について」

第48回 「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書について」

第49回 「『こども保険』について」

第50回 「医療法等の一部を改正する法律について①」

第51回 「医療法等の一部を改正する法律について②」

第52回 「自殺対策について」

第53回 「平成30年度厚生労働省関係予算概算要求について」

 

(編著者略歴)

長野祐也(ながのすけなり)

 昭和14年6月27日生まれ。鹿児島市西田小、城西中、玉龍高校、中央大学法学部政治学科卒業。昭和38年4月、田中茂穂参議院議員秘書。昭和46年4月、鹿児島県議会議員。昭和55年6月、鹿児島県衆議院議員選挙史上最高点で当選。以来3期連続当選。衆議院第45代議事進行係、自民党遊説局長などを歴任。昭和62年11月、竹下内閣で厚生政務次官、平成元年6月、宇野内閣および8月、海部内閣で自治政務次官に就任。昭和63年1月、ロンドンエイズサミット日本政府代表。社団法人日本エアロビックフィットネス協会会長に就任。平成8年7月政界引退。同年9月、評論活動。桐蔭横浜大学法学部客員教授(政治学)、川崎医療福祉大学客員教授(社会保障論)を経て、現在、政治評論家。「ラジオ日本」パーソナリティ。鹿児島県薩摩大使。(社)日本評論家協会会員、放送人政治懇話会会員、千代田プレスクラブ会員。平成21年11月旭日重光賞(旧勲二等)受賞。

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