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Channel: 世日クラブじょーほー局
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映画「フライト」を観る

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 監督ロバート・ゼメキス(「フォレストガンプ」「キャストアウェイ」)×主演デンゼル・ワシントン(「グローリー」「戦火の勇気」「ハリケーン」)とくれば、いやが上でも期待が高まるというもの。彼らの作品には、愛、名誉、勇気、信仰、不屈の精神を見ること必定であろう。

 当方は、先日鑑賞した映画「遺体」の悲痛さと感動の余韻さめやらぬまま、劇場に足を運んだ。

 果たして本作はどうか?はい、初っ端のシーンからあと5分を残すというところまで、ほとんど反吐が出そうだった。これがロバート・ゼメキスかと疑った。スクリーンには、デンゼル・ワシントン演じる卑怯でうそつきで、どうにも救い難いイタい男の自堕落な様がひたすら映されていく。

 彼は旅客機のパイロットで、しかもスゴ腕の持ち主だった。それゆえにそのフライト中、致命的な機体トラブルに見舞われてなお、大事故を回避し、結果大勢の人命を救うことにもなるのだが…。

 人は誰しも悩みや事情を抱えているもの。たとえ世に功なり名を遂げた人間であっても、否、そういう人間こそ一皮めくれば、他人に知られたくない弱点を抱えているものなのかもしれない。それは酒かもしれないし、ギャンブルかもしれない。あるいは、タバコや麻薬、はたまた女(sex)かも。いずれにせよ、ゆくゆくそれが命とりになることを先回りして理解するのは困難極まりなく、「わかっちゃいるけど…」と嘯くのである。

 人間―この摩訶不思議なまでに愚かで哀れな存在とは何なのか?その姿は、「自由」というプールで、いつしか息継ぎを忘れ溺れ死ぬ競泳選手のようでもあり、あるいは「自分には拘束衣を着る権利がある」と叫び、自らにせっせとそれをあてがう紳士にも思える。

 これはちょっと極端な例かもしれないが、この主人公が自分だと思えたときに、本作が人生の箴言的意味を持ってこようか。


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